稟議とは?

    稟議とは?スムーズに承認されるコツや制度のメリット・デメリットを解説

    稟議は、企業や組織において関係各所の承認を得る手続きのひとつです。稟議制度を採用している企業では、取引先との契約や備品の購入を行う際に「稟議書」の提出を求められます。では、スムーズに承認を得るためにはどのような稟議書を作成すればよいのでしょうか。

    この記事では、稟議制度についての概要から稟議書の作成方法、稟議制度を活用することによるメリット・デメリットなどを解説していきます。伝わりやすい稟議書を作成するポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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    稟議とは?

    稟議とは、自分の権限だけでは決定できない事柄について、その内容を説明する「稟議書」を作成して上層部へ回覧させ、承認を得る手続きのことです。稟議が必要となるシーンは企業によってさまざまですが、例えば取引先との契約や物品の購入、新しい従業員の採用などがあります。

    多くの企業や組織において、意思決定の権限を持つのは部署の上長をはじめとした上層部です。しかし、度々発生する契約や購入、採用などの意思決定について、毎回上層部が集まって会議するわけにはいきません。そこで行われるのが稟議であり、最終的な決定権を持つ人が承認すると、稟議内容を実行に移すことができるようになります。

    「稟議」と「決裁」の違い

    権限のある人に承認をもらう手続きとしては、稟議のほかに「決裁」があります。稟議は複数の関係者に回覧して段階的に承認を得ていくものであり、決裁は権限を持つ人が最終判断を下すものです。ただし、稟議における承認も権限を持つ人による決裁であるため、稟議は決裁手続きのひとつであるとも考えられるでしょう。

    また、稟議と決裁のどちらが適しているのかは、企業の規模や必要とされる意思決定スピードなどによって異なります。

    稟議が必要なケースは企業によって異なる

    企業において稟議が必要になるケースは、基本的に「上層部を集めて会議を起こすほどでもないが、一社員の権限だけでは決定できない事柄が発生した時」です。その基準は企業によって異なりますが、具体的には次のようなケースで稟議が必要とされることが多いようです。

    ・備品の購入
    ・取引先との契約締結
    ・新規人材の採用
    ・出張の可否  など

    これらの多くは「費用が発生する」「人事部が関わる」といったシーンです。企業によっては「○万円以上の費用が動く場合は稟議にかける」など、明確な基準を設けていることもあります。

    企業における稟議は主に3種類

    企業で行われる稟議は、主に契約稟議・購買稟議・採用稟議の3種類に分けられます。

    ①契約稟議

    契約稟議とは、外部との契約を締結する際に行う稟議のことを指します。特に企業対企業の取引契約では、多額の費用が発生するケースも少なくありません。

    その契約に関する価格・条件設定・日程・期限・担当者・返品規定・契約を反故にした場合のペナルティなどの内容を稟議書に記載し、関係者に回覧して承認を得ます。

    ②購買稟議

    購買稟議とは、社内で使用する備品などを購入する際に行う稟議のことを指します。パソコンや車などの高額な備品だけでなく、企業によっては文房具や事務用品などの購入についても、稟議にかけるところもあります。

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    ③採用稟議

    採用稟議とは、新規人材の採用の際に行う稟議のことを指します。新卒・中途の正社員だけでなく、パートアルバイト、派遣社員、契約社員など、新しく従業員を雇用する場合に行われます。企業の求める人物像に適した人材か、採用条件や人数は適切か、といった内容を稟議書に記載し、採用関係者や上層部から承認を得ます。

    稟議書に記載すべき7項目

    稟議書には、次のような項目を記載して作成しましょう。

    ①起案日・起案者名・所属・社員番号など

    稟議書には、いつ誰が提案したものかが分かるよう、起案日・起案者名を明記する必要があります。起案者名は氏名だけでなく、所属や社員番号なども記載するとよいでしょう。

    ②申請番号・決裁番号

    一般的に、稟議書には企業全体もしくは部署ごとに申請番号を振って管理している企業が多いようです。あらかじめ社内で申請番号取得のフローを作っておき、取得した番号を記載します。決裁後には決裁番号を割り振るようにし、それも記載しましょう。

    ③申請内容を表す件名

    稟議にかける内容が分かりやすいように、件名を記載します。たとえば「○○社との契約について」「パソコンの購入について」「正社員の新規採用について」など、ひと目で見て分かるよう簡潔な件名にしましょう。

    ④申請内容の詳細・理由

    承認を受けたい内容について、その詳細や必要性を分かりやすく記載します。たとえば購入稟議の場合、物品名や購入の目的、購入先、購入時期、購入することによるメリットや効果、購入しなかった場合のリスクやデメリットなどを明確にして、承認を受けるための説明を記載することが大切です。

    なお、申請事項の書き方に関するポイントについては後述しますので、ぜひ参考にしてください。

    ⑤金額・予算の内訳・支払い条件など

    費用が必要な内容については、見積書などを入手してできるだけ正確な金額を記載しましょう。予算の内訳や支払い条件なども合わせて記載し、予算内なのかどうかについてもチェックできるとよいでしょう。

    ⑥承認者コメント欄

    「承認する・しない」だけでなく、「なぜ承認するのか・しないのか」を記載できる承認者コメント欄を設けると、情報共有や差し戻しの理由が確認しやすくなります。

    ⑦押印欄

    最下部などに、承認したことを示す押印欄を設けます。なお、承認者だけでなく財務責任者や出金担当者の枠なども設けておくと、より決裁状況を把握しやすくなるでしょう。

    スムーズに通すには?稟議書作成のポイント5つ

    稟議書は、承認・決裁を得ることを目的とした書類です。スムーズに稟議を通すためには、情報が分かりやすく読みやすい稟議書を作成するひつようがあります。ここでは、そのポイントを5つご紹介します。

    ①最も重要な結論から提示する

    稟議書を作成するときは、最も重要なポイントである結論から提示しましょう。何について書いてあるのか分かりづらい稟議書では、承認まで時間がかかったり稟議が通らないことも考えられます。「何を承認・決裁してもらいたいのか」を初めに明記し、その後から理由や背景について説明することを心がけるとよいでしょう。

    ②専門用語を多用しすぎない

    専門用語を多用すると、伝えたいことが伝わりづらくなってしまいます。第三者が読んでも理解しやすいよう、専門用語は平易な言葉に置き換えるか、注釈をつけて用語の補足を行うなどの工夫をしましょう。

    ③リスクやデメリットには対処できていることを示す

    稟議書には、メリットだけでなくデメリットやリスクといったマイナス要素についても記述します。その上でメリットの方が大きいと示したり、リスクへの対処ができていることを示すなど、「マイナス要素はカバーできているので問題ない」と伝えるのがベストです。

    ④具体的なデータや見積書を用意する

    稟議内容を申請する理由やメリットの大きさなどについて述べるときは、具体的なデータを示すと説得力が増して承認を得やすくなります。期間はどれくらいか、利益はどれだけ生まれるのか、その根拠はどこにあるのか、といったデータや資料を準備しておきましょう。費用については見積りを入手して、明確な金額を提示できるようにするとよいでしょう。

    ⑤あらかじめ関係者に情報共有しておく

    稟議をスムーズに通すためには、あらかじめ関係者への根回しを行うことも大切です。特に大きな金額の費用が発生する場合や判断に迷う内容だと考えられる場合は、事前に情報共有をしておくとスムーズに話が進みやすくなります。なぜその内容を稟議にかけたいのか、どういったことを計画しているのか、といったことを日頃の会話の中で発信しておくと、承認を得られやすくなるでしょう。

    稟議制度のメリット・デメリット

    日本の企業の多くで採用されている稟議制度には、この制度ならではのメリット・デメリットがあります。

    メリット

    まずはメリットから見ていきましょう。

    ①毎回会議を行わなくて済むため、コスト削減につながる

    複数の関係者から承認を得る必要がある案件でも、稟議制度を利用すれば会議を開く手間や時間を削減することができます。特に関係者が多数の部署にまたがっている場合は、会議の時間調整を行うだけでも時間や人員コストがかかってしまいます。

    稟議書を回覧させれば、会議を開くのと同等の内容説明や承認の意思確認ができるため、業務負担の軽減にもつながるでしょう。また、稟議で承認を得た範囲内であれば、業務をスピーディーに進めることが可能になります。

    ②記録が残るため、事実確認がスムーズになる

    稟議書に記載された内容は文書として記録に残るため、事実確認がスムーズになります。たとえば上層部から「なぜこのパソコンを購入したのか?」と指摘があった場合でも、稟議書があれば説明がしやすくなるでしょう。

    なお、稟議書は法律上では明確な保存期間が定められていません。しかし、「承認・決裁を得るための書類」ですので、きちんと保管しておくことが望ましいと考えられます。

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    ③計画そのものについて改めてチェックできる

    稟議書に記載された計画は、関係者全員が確認します。そこで改めて計画そのものに不備がないか、社内で認識にズレが生じていないかなど、ダブルチェックできるのも1つのメリットだと言えるでしょう。

    デメリット

    反対に、稟議制度ならではのデメリットもあります。

    ①稟議書の提出から承認まで時間がかかる場合がある

    稟議書は、提出から承認までに時間がかかる場合もあります。会議の場で口頭説明を行えばすぐ終わる話でも、稟議書を作成して回覧させて最終的な承認を得るまでには、何日もかかってしまうことも考えられます。このスケジュールに遅延が出ることで、契約のチャンスや採用予定者を逃してしまう可能性もあるでしょう。

    それを防ぐためには、あらかじめ関係各所への根回しを行ったり、承認の権限を持つ上長の予定を把握しておいたりと、スムーズに承認を得られるような工夫が必要です。

    ②責任の所在が曖昧になることもある

    稟議制度ではひとつの内容に関して複数の関係者が承認を行うため、問題が発生した際に責任の所在が分からなくなることもあります。申請者は、万が一問題が発生した場合にはどう対処すべきかについて、あらかじめ直属の上司に相談しておくとよいでしょう。

    伝わりやすい稟議書を作成して業務をスムーズに!

    稟議制度は、一社員の権限だけでは決定できない事柄について、稟議書を回して上層部からの承認を得る方法です。会議を開くほどの内容ではない場合に、会議にかける時間や手間を削減できるというメリットがありますが、スムーズに承認を得るためには稟議書の作成にコツが必要になってきます。

    申請の内容や目的によっても書き方は異なりますが、いずれにしても読み手にとって内容が伝わりやすい稟議書になるよう心がけることが大きなポイントです。申請事項に抜け漏れがなく、簡潔で分かりやすい記載内容になっているかどうかを確認しながら、スムーズに承認を得られる稟議書を作成しましょう。

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