育児休業制度とは?給付金の申請から改正ポイントを解説

    育児休業制度は一定の条件を満たした従業員が取得できる制度です。申請にはいくつかのステップが必要となっているので、企業の担当者は一連の流れと情報を知っておくことが肝心です。

    今回は育児休業制度に関する受給や申請方法、改正のポイント、現状などにフォーカスして解説してきましょう。

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    育児休業制度とは 


     
    育児休業制度は、「育児・介護休業法」に定められた両立支援制度の一つです。「子どもの看護休暇制度」や「短時間勤務」も同じ法律のなかに含まれています。

    休業は、1歳未満の子ども1人につき、1回取得できます。保育所に入所できない場合は、最長2歳まで延長できます。

    育児休業と育児休暇の違い

    育児に関する休みでよく混同されるのが「育児休業」と「育児休暇」です。 育児休業とは基本的に1歳になる前の子どもを養育する目的とした休みであり、企業の従業員であれば女性だけでなく男性も取得できます。

    一方、 育児休暇とは就学前の子どもを養育する目的として取得する休みで、主に子どもの園行事や病気時の看護などの目的として取得することが可能です。

    育児・介護休業法の改正内容【令和4年4月から段階的に施行】

    育児・介護休業法が令和3年6月に交付され、令和4年4月1日から段階的に施行されます。

    出生直後の時期に柔軟な育児休業を取得できるようになる(2022年4月~施行)

    これまで育児休業の申請は育児休業を取得する1カ月前までとしていましたが、2週間前までの申請に変更となる予定です。子どもの出生後8週間以内に4週間(=28日)まで取得が可能となります。

    雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置が事業主の義務となる(2022年4月~施行)

    企業側は従業員が育児休業を取得しやすくするためにも研修や相談窓口などを設けるなどをして雇用環境を整備することが義務化される流れとなります。

    ほかにも従業員のなかで妊娠や出産予定(※本人または配偶者)の申し出をした場合、個別への周知や意向確認の措置をすることも企業側の義務となります。

    育児休業の分割取得(2022年4月~施行)

    従来の育児休業は原則として分割で取得ができませんでしたが、育児休業を分割して2回まで取得可能。また、1歳以降に育児休業を延長する場合に関しては1歳や1歳半の時点に絞っていましたが、育児休業を開始する日を柔軟に対応できるようになります。

    育児休業に入っている従業員の家庭の状況をみながら育児休業を分割および調整ができるようになるでしょう。

    有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件が緩和(2022年4月~施行)

    改正前の場合、契約社員やパートタイマーといった有期雇用者の育児休業は、継続されて雇用された期間が1年以上、かつ1歳6カ月までの間に契約満了が決まっていないことが条件でした。

    改正後はこれらの条件がなく、有期雇用の従業員も正社員といった無期雇用労働者と同じ条件で育児休業を取得できます。

    育児休業取得状況の公表が義務化される(2023年4月~施行)

    従業員数1,000人を超える企業に対し、育児休業などの取得の状況を公表することが義務化されます。なお、公表する内容とは、男性の「育児休業等の取得率」および「育児休業等と育児目的休暇の取得率」の2つ。これらは省令で定める予定です。

    育児休業の取得条件および対象者

    育児休業は子どもが産まれたら誰でも取得できるとは限りません。取得条件と対象者は以下の3つです。

    ・同じ雇用主に継続して1年以上雇用されていること(=入社1年未満従業員は対象外)
    ・子どもの1歳の誕生日を過ぎても継続雇用が見込まれていること
    ・子どもの2歳の誕生日の前々日までに雇用契約の期間が満了しており、かつ雇用契約が更新されないことが明確でないこと

    なお、育児休業は婚姻関係がある従業員だけでなく、事実婚の従業員も対象となっています。企業の担当者は該当しないケースも知っておくと、対応がしやすいかもしれません。

    育児休業給付金(育休手当)とは?

    育児休業給付金(以下、育休手当)とは、育休手当の条件を満たし申請を行うことで、国から給付金をもらえる制度のことを指します。

    また、育休手当は企業から支給されるものではないので、企業の担当者は育休手当が国の雇用保険から支払われるということを知っておきましょう。

    育休手当の受給条件

    育休手当は、申請時と給付期間中にそれぞれの条件を設けています。企業の育休申請の担当者は、後で抜け漏れがあったなどのことがないよう、以下の条件について十分理解する必要があります。

    申請時の条件

    申請時の基本的な条件については次の3つです。

    1歳未満の子どもがいること

    育休手当は原則として1歳未満の子どもがいる従業員に給付となっていますが、支給する対象期間の延長となる場合は1歳6か月または2歳までの誕生日まで給付の対象となります。

    雇用保険に加入していること

    育休手当の給付を受ける条件として、企業の雇用保険に加入していることが必須です。昨今、働き方の多様化によって、さまざまな雇用形態で契約している企業もあるので、企業の担当者は個々の雇用形態についても確認しておきましょう。

    被保険者期間が育児休業の取得前から換算して12カ月以上であること

    育休をスタートするまでに2年間で月11日以上働いた月が12カ月以上の実績があれば、おそらく育休手当の対象となるでしょう。ただし、勤続1年半未満の正社員や契約社員やパートタイムとして就業している従業員は、雇用保険期間などの状況により対象外となる場合があります。

    企業の担当者は、育休手当を申請する従業員が条件を満たしているかどうか、申請前に状況を確認しておきましょう。

    給付期間中の条件

    育休手当は給付期間中にも条件を設けています。条件から外れてしまうと給付がストップすることもあるので、企業の担当者は対象の従業員に前もって伝えることが必要です。

    育児休業開始前の1ヶ月の賃金の支払いが8割以下

    育児休業期間中に勤務している場合、通常(=育児休業前)の賃金の8割以下なら、育休手当が継続されます。

    育児休業中に働いている日数が1カ月あたり10日以下

    育児休業期間中に勤務している場合、通常(=育児休業前)の賃金の8割以下なら、育休手当が継続されます。

    育休手当の計算方法

    育休手当は育休期間中、毎月同じ支給額ではなく、2カ月ごとに金額が変動するのが特徴です。また、実際の受給額に関してはこれまでの賃金とひと月あたりの就業日数を考慮して算出するため、受給者によって異なっています。計算方式については、次の表のとおりです。

    日数 計算式
    育児休業開始から180日 [休業開始時賃金日額×支給日数]×67%
    (※支給日数は基本30日で算出、雇用形態により日数に変動あり)
    育児休業開始から181日目以降 [休業開始時賃金日額×支給日数]×50%
    (※支給日数は基本30日で算出、雇用形態により日数に変動あり)

    育児休業制度を促進する制度

    育児休業取得が進まないなかで、男女ともに取得しやすくするために、2つの制度があります。

    パパ・ママ育休プラス

    参照:東京都 家庭と仕事の両立支援ポータルサイト

    「パパ・ママ育休プラス」では、母親だけでなく父親も育児休業を取得する場合、1年リミットの育児休業の期間を2カ月間延長できるため、子どもが1歳2カ月になるまで育児休業を取得することが可能です。

    事実婚の従業員でもパパ・ママ育休プラスが適用されますが、育児休業を取得する従業員が入社1年未満だったり、育児休業を申請した日から1年以内に雇用の期間が終了予定の場合は、パパ・ママ育児プラスの対象から外れます。企業の担当者は育児休業予定の従業員がパパ・ママ育休プラスの対象であるかどうかを事前に確認しておきましょう。

    要件
    ・配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
    ・本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
    ・本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること

    注意点
    ・1人当たりの育休取得可能最大日数(産後休業含め1年間)は変わりません

    パパ休暇

    参照:東京都 家庭と仕事の両立支援ポータルサイト

    母親の出産後8週間以内の期間内に、父親が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度父親が育児休業を取得できる制度です。これにより母親の職場復帰をサポートすることができます。

    要件
    ・子の出生後8週間以内に育児休業を取得していること ②
    ・子の出生後8週間以内に育児休業が終了していること

    産前から育児休業の手続きと留意点

    従業員が育児休業をスムーズに取得し、育児休業給付金を受給するには、企業の担当者が産前から育児休業までの流れを理解しておくことが必要です。

    そのためには手続きや用意すべき書類に内容を把握しておきましょう。一連の流れと準備するもの、留意点については次のとおりです。

    手続きの流れ

    企業の担当者が育児休業の手続きをする流れについては以下のとおりです。

    ①従業員向けの必要書類を準備し、記載および提出してもらう

    育児休業取得が決定している従業員向けに以下の書類の記載と提出を依頼します。なお、これらの書類は社内管理用とハローワーク提出用があるので、抜け漏れがないかどうかチェックしましょう。

    <社内管理用>
    ・育児休業申出書:従業員自身が育児休業の期間などの必要事項を記載

    ※育児休業申出書の書式は国で統一されたものはありませんので、厚生労働省の育児・介護休業等に関する規則の規定例のページなどから確認し、最適な書式で運用します。

    <ハローワーク提出用>
    ・育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金申請書:育児休業中に支給される給付金の手続きする際に必要な書類、銀行口座を記載する箇所あり
    ・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書:育児休業給付金を算定する書類であり、2枚目に育児休業する従業員の確認印欄があるので、捺印
    ・母子健康手帳の写し:出産予定日が記載されているページ
    ・受け取り口座通帳の写し:手書き申請の場合のみ適用、電子申請に関しては不要

    ※「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金申請書」は、2つの書類が一緒になっています。ハローワークインターネットサービスの育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書からダウンロードできるので、プリントアウトし対応。

    従業員が出産後に申請した場合、出産日などの情報が記載されている母子手帳のページ写しが必要なので、申請した従業員に準備するよう依頼します。

    ②ハローワークに必要書類を提出する

    従業員から「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金申請書」、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」、「母子健康手帳の写し」書類を提出してもらいます(※手書き申請の場合は受け取り口座通帳の写しも必要)。企業の担当者のチェックが完了したら、ハローワークに提出します。

    ③育児休業取扱通知書を交付し、従業員に渡す

    ②の手続きが完了したら、企業の担当者は「育児休業取扱通知書」を交付します。対象の従業員とのトラブルを避けるためにもこちらの通知書に主に以下の項目を記載しましょう。

    ・育児休業する期間:職場復帰の予定日など
    ・休業期間中の取扱い:給与支払いに関する有無、社会保険、所属部署など
    ・休業後の労働条件:復職後の待遇、配属先、担当する業務など
    ・その他:育児休業期間の連絡先や手段、福利厚生など

    また、通知書に関しては、育児休業中は労働していないため社会保険が免除されていることと、住民税の支払いがある旨についても通知しておきます。

    申請および提出に関する留意点

    コロナ禍でリモートワークやオフィス出入りの制限が限られている場合もあるため、従業員同士の書類の受け渡しや提出がコロナ前よりスムーズにできないこともあるかもしれません。

    なお、育児休業取得申請は1カ月前となっています。例えば2021年11月1日から育児休業をするなら2021年10月1日より前の日程で(※土日や祝日とぶつかるときはもう少し前倒しにするのが妥当)、書類を提出させるよう促し、余裕を持ってスケジュールを調整しましょう(※2022年4月からは育児休業取得前の2週間前までが申請のリミット、後述参照)。

    書類については、国やハローワークのホームページから入手ができるので、企業の担当者は従業員にリンク先をメールやチャットで連絡しておくと手間が省けるかもしれません。

    育児休業を設けるメリット

    企業が育児休業を設けるメリットとして、主に次の5つです。

    離職率が下がり、従業員が継続して働ける

    子どもの誕生は人生のなかでも幸せなライフイベントです。一方で子育てしながら仕事を続けるとなると「子どもが病気になったら仕事先に迷惑がかかるのではないか……」といった不安を抱くケースも少なくありません。

    そんな従業員の不安要素を払拭するためには、企業側が子育て中の従業員に対し、仕事と両立しやすい環境づくりと最適な仕事のアサインに注力する必要があります。

    企業側のこのような取り組みによって、子育て世代の離職率を下げることができ、子どもを育てながら継続して仕事をこなせる従業員が増えるでしょう。優秀な人材も継続して働く割合も高くなるので、企業の発展にもつながります。

    人材が集まりやすくなる

    企業側が育児休業制度に積極的な姿勢で取り組んでいると、それが社内だけでなく社外でも話題になることがあります。企業の担当者が中途採用の求人などで企業の育児関連の制度に触れることで、企業の取り組みに共感する人材が集まりやすくなるでしょう。

    女性活躍推進につながる

    育児休業は一定の条件を満たしていれば、性別関係なく取得できる制度です。特に仕事と子育ての両立を図りたい女性従業員にとって育児休業を取得し、復職し再び活躍できることは企業内の女性活躍推進にもなります。

    若手層に向けのロールモデルになる

    従業員が育児休業を経て復職し活躍している実績が複数あると、若手従業員のロールモデルになることもあります。身近な先輩たちの活躍が若手層に良い刺激となり、「子どもが産まれてもこの会社で仕事を続けたい」という前向きな思いが芽生えるかもしれません。

    日本における育児休業の取得の現状

    時代の流れに伴い、育児に関する休業や休暇に関する制度が何度か改正されています。こちらの項では、今の日本における育児休業を取得に現状について解説していきましょう。

    男性の育児休業取得率が右肩上がりだが、まだ低い数値

    厚生労働省から発表された2020年度の雇用均等基本調査によると、男性の育休取得率が12.65%でした。下記のグラフでもわかるように、12.65%という数値は過去と比べて高い数値ではあるものの、はじめて2桁台を達成したという結果です。

    参照:令和2年度雇用均等基本調査|厚生労働省

    また、性別における育児休業の取得率を比較すると女性が10年以上80~90%キープしているのに対し、男性は1桁台ないしは10%越えという数値なので、男性の育児休業取得率がまだ低いということがわかります。

    職場が育児休業を取得できる雰囲気でない

    子どもが産まれたときに育児休業を取得したい男性従業員も少なからずいますが、実際のところ取得に至らなかったというケースもあります。

    初めての育児だからこそ家族と一緒にいたい、上の子どものお世話をしたい……という思いがあっても業務の兼ね合いで育児休業を取得できる雰囲気でなかったという声も挙がっているそうです。

    企業側は育児休業を取得しやすくするよう業務を属人化せず、ほかのメンバーでも回せる仕組みづくりを考える必要性があります。

    育児休業を取得すると収入が減少してしまう可能性がある

    育児休暇を取得すると社会保険料の支払いが免除されたり、出産一時金の支給があります。

    一方で、育児休暇給付金は育児休業開始日から半年は賃金の67%。育児休暇スタートから半年を超えると賃金の50%となります。収入面の減少を気にして、男性のなかには育児休業を取得しないというケースも発生しています。

    育休促進するために企業ができること

    企業側が従業員に育児休業を取得してもらうにはどのようなことをすれば良いのでしょうか。こちらの項では企業側ができることついて解説します。

    男性も育児休業を取得できるような仕組みづくりをする

    前にも述べたとおり、日本での男性の育休休暇取得率は、まだ低い数値です。

    その理由の一つとしてチーム内の仕事のアサインや連携などが十分できていない点が挙げられます。男性従業員も安心して育児休業を取得できるようにするには、企業側が現場の声を反映した仕組み作りが必要です。

    育児休業を取得予定者向けの引継ぎをしやすくする

    前でも述べましたが、育児休業を取得しづらい理由の一つが仕事の兼ね合いです。

    安心して育児休業を取得できるようにするためにも企業全体で引継ぎがスムーズに行われる雰囲気を作ることが重要です。また、「●●さんが育児休業を取ってしまうと仕事が回らない」という仕事があったら、その仕事をどのようにしてチーム内の複数メンバーで回すのかという話し合いを設け、改善するも必要です。

    育児休業を取得事例があれば随時情報を共有

    育児休業の事例はインターネットで検索すれば、複数の情報が洗い出されます。ただし、自分とは身近でない方の情報であればなかなか育児休業中のイメージがつきにくいものです。

    育児休業を取得しやすくするためには、社内で育児休業を取得した従業員の事例をピックアップするのも一つの手です。ほかにも身近な育児休業における事例を挙げることは、育児休業の理解度のアップにもつながるかもしれません。

    育児休業中の従業員との連携を行う

    育児休業中の従業員が復職しやすいように、企業の担当者は定期的に会社の状況について情報を共有したり、近況をヒアリングしたりしましょう。

    このようなコミュニケーションによって、育児休業が完了し復職した従業員も安心して子育てや仕事の両立ができるよういなります。

    男女ともに育児休業が取りやすい環境作りが重要

    育児休業制度は性別に関係なく子どもの年齢(月齢)など条件を満たしていれば、取得できる休みです。時代の流れや子育て事情の変化もあり、これまで何度か制度の改正が行われてきましたが、女性よりも男性の取得率が低い現状となっています。

    企業の担当者は従業員それぞれの働き方や仕事のアサイン、申請のタイミングなどを考慮しながら育児休業を取得できる環境づくりに注力するのが必要です。

    このような柔軟な働きかけにより、育児休業を経た子育て中の人材が継続して働けるようになり、従業員だけでなく企業にとってもプラス効果をもたらすでしょう。

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