社員寮・社宅の運営方法・メリット・平均金額をまるっと解説

    目次

    感覚的に社員寮・社宅がどんなものかはわかっていても、いざ社内の稟議にかけたり、社内で社員寮・社宅について提案を求められたりした場合、困ってしまう実務担当者は少なくありません。

    そして、求職者視点の社員寮・社宅の情報は数多く見られますが、実務担当者視点で役に立つものはなかなか見つかりません。

    そこで、実務担当者が実際に使える社員寮・社宅の情報をここではお伝えできればと思います。

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    社員寮・社宅とは?

    ここでは、会社・企業側から社員寮・社宅に対して興味関心が高まるようになった背景や外部を取り巻く環境、社員寮・社宅の種類といった、そもそもの話についてお伝えします。

    社員寮・社宅の現状

    昨今、社員寮・社宅が改めて求められるようになった背景には、空前の人不足が横たわっています。少子化の影響などもあり2017年7月には有効求人倍率が1.46倍と40年以上ぶりの高水準となり、会社・企業の採用意欲とは裏腹に人の採用が極めて困難な時流となっています。

    中小企業などでは社員の確保ができず、人不足が原因で倒産に陥るケースさえ現れ始めているほどです。求職者の募集に有用な福利厚生への注目が高まり、その中のひとつである社員寮・社宅が見直されるようになったのです。

    実際、株式会社レオパレス21が行った「寮・社宅に関する意識実態調査2017」によれば、人事・総務に携わる方の実感として、約半数の50%程度の方が社員寮・社宅を保有することの意義を実感、「福利厚生として寮・社宅を提供していることが採用(募集)人数に影響があると思う」と回答しています。

    社員寮・社宅の種類

    社員寮・社宅の種類についてお伝えしたいと思います。

    一般的な社員寮・社宅の形態である社有型と借り上げ型の概要と、メリット・デメリットに関しても触れていきたいと思います。

    社有型の社員寮・社宅

    社有型の社員寮・社宅とは、文字通り、「会社・企業側が土地や建物を保有しているタイプの社員寮・社宅」です。

    会社・企業の資産であるため固定資産税はかかってしまいますが、月々の家賃などのキャッシュアウトが発生しない点が社有型の社員寮・社宅のメリットです。

    一方、社員寮・社宅は、会社・企業の資産ゆえに高額の初期投資が必要となり、場所や間取りを変えたり社員数に応じて調整することもできません。長年利用すると資産価値は徐々に低下していきますし、管理に要するコストや修繕費がかかってしまう点もデメリットといえます。

    社有型の社員寮・社宅の平均家賃(一般的な一人部屋の場合)

    社有型の社員寮・社宅の家賃は11,302円が平均金額となっています。

    企業規模によって、個人の負担額は変化しますが、いずれの場合も個人で賃貸するよりもはるかに安いといえるでしょう。下記は社有型の社員寮・社宅の平均家賃のグラフです。

    出典元:「独身寮・社宅に関する実態調査」一般財団法人労務行政研究所

    借り上げ型の社員寮・社宅

    借り上げ型の社員寮・社宅とは、「賃貸物件を会社・企業側が不動産会社などから借り受けて、社員に対して提供するタイプの社員寮・社宅」です。

    当然、物件のオーナーは会社・企業ではなく、その会社・企業と無関係な方がオーナーであることも少なくありません。初期投資なしで、必要なタイミングで必要な場所、必要な量を確保することができることが借り上げ型の社員寮・社宅のメリットです。

    ただし、社員寮・社宅をごとに場所探しや手続きが発生するため、契約時・解約時にも面倒な手続きが発生します。また、物件内で問題ごとが発生したり、契約を反故にする等のトラブルが発生した際、ペナルティが発生することもある点もデメリットであるといえます。

    借り上げ型の社員寮・社宅の平均家賃(一般的な一人部屋の場合)

    借り上げ型の社員寮・社宅の家賃は12,181円が平均金額です。

    借り上げ型のほうが社有型に比べ、個人の負担額は多い傾向があります。一般的には借り上げ型のほうが初期費用が掛からない分、短期的なランニングコストを高くかかるのです。そのため、借り上げ型の家賃設定は、社有型に比べ個人負担の金額が高く設定されているケースが多くなります。下記は借り上げ型の社員寮・社宅の平均家賃のグラフです。

    出典元:「独身寮・社宅に関する実態調査」一般財団法人労務行政研究所

    社宅・社員寮を運営するメリット・デメリット

    社宅・社員寮を会社・企業が実際に運営すると、どのような効果を得ることができるのか見ていきましょう。

    既に挙げた採用強化などのメリットがある一方、いくつかデメリットも存在します。実際に、社宅・社員寮を検討する際の一助にしていただければと思います。

    社宅・社員寮を運営するメリット

    はじめに、社宅・社員寮を運営する際のメリットについてみてみましょう。福利厚生の中でも住環境に直接かかわるものであるため、様々な効果が期待できます。

    採用強化・人材定着につながる

    社員寮・社宅を用意することで、社員に対して優れた住環境を提供することが可能となります。

    仕事が終わった後のリフレッシュの場で良い環境を提供することで、社員の意欲向上を図ることができます。また、利用料を割安にすることで社員の可処分所得が高くなり、実質的な賃上げに等しい効果を与えることができます。

    そのため、既存の社員に対しては従業員満足度とロイヤリティ、定着率の向上が可能となり、求職者に対しては会社・企業の魅力度を高めることが可能となります。

    従業員管理に寄与する

    社宅・社員寮を社員に対して用意することで、社員の状態を把握・コントロールすることが可能です。

    会社からの通勤距離が非常に遠い社員の負担を軽減させたり、食事などの提供で体調管理を行うなども可能です。また、住居の場所や状態が把握できているため、欠勤時などに大きな問題が発生していないかなどタイムリーに把握することが可能となります。

    転勤者の負担が軽減できる

    会社・企業側が住宅環境を用意するため、社員を仕事に集中させることが可能です。

    中でも、転勤者や新入社員などにとってのロイヤリティ向上に寄与することが多いものです。なぜなら、仕事を覚える、環境に慣れることに精一杯な中、自分で住環境の交渉を行う負担を一部減らすことが可能のためです。

    社員寮・社宅は新たな環境で働く社員に対して特に効果が高いのです。

    社内のコミュニケーション活性化

    日常的にコミュニケーションを活性化できます。また、仕事の悩みを同僚や上司にがすぐに相談できる環境にあるため、早期の問題解決、そして成長機会につながるケースも。

    防犯面で安心

    会社の同僚や先輩、上司が近い場所に住んでいるため、防犯面で安心。

    女性に限らず、「一人暮らし」に防犯面で不安を感じる方は多くいます。そのため、社員寮・社宅のような、常に同じ会社の方が近くにいる環境を求める方も多いようです。また、社員寮・社宅では、「管理人」が常駐しているケースも多く、「セキュリティ面に惹かれた」という声も。

    社員寮・社宅を運営するデメリット

    社員にとって住環境が会社・企業と密着してしまうことに起因するものが社宅・社員寮の主なデメリットです。

    オンオフの切り替え

    仕事を終えても、社内の人間との関係性が続かざるを得ないため、オンオフの切り替えが難しくなりがちです。

    特に、家族も交えて入居する旧来一般的であった集合団地型の社員寮・社宅などではこの傾向が顕著で、少なからず弊害も招いていたようです。けれども、新入社員が仕事や会社・企業文化に定着する意味では有効であり、後述するAcroquest Technology株式会社など社員寮・社宅を上手に活用している会社・企業も少なくありません。

    コミュニケーション範囲が限定的になる

    社員寮・社宅内で人間関係が完結してしまい外の世界との接点が乏しくなる可能性がある点も社員寮・社宅のデメリットであるといわれています。

    接する人が均質化し、交流や情報取得、自己啓発の機会が乏しくなってしまう可能性があるのです。けれども、後述するように、社外の人間も利用するシェアハウス型の社宅も徐々に現れ始めています。

    規則が厳しくなりがちに

    長期運営をしていくことで、徐々に規則が厳しくなっていくこともデメリットに。

    利用者全員にとって快適な住環境を提供するために、どうしても最低限の規律とルールが必要になります。様々な方が生活しているため、トラブルが発生するたび「決まりごと」が増えがちです。こうした決まりごとを一人暮らしに比べ「窮屈」と感じる方も多いようです。

    個人で美化に対する意識が出てしまう

    トイレ、キッチン、お風呂等の共同スペースについては、多くの方が使うことで、綺麗にしてもすぐに汚れてしまうデメリットも。

    管理人による定期的な清掃が行われますが、「それでも気になる」「定期清掃まで待てない」という方は、自ら掃除をする必要があります。マナーが悪い方がいる場合、トラブルの原因になることも。

    社員寮・社宅の運営方法

    ここでは、社有型と借り上げ型に関係なく、実際に社員寮・社宅を運営する際にポイントとなる点をお伝えします。規則や管理体制、賃料など細かな点も挙がりますが、万が一に備えてあらかじめ整備をしておきましょう。

    社員寮・社宅を通じた目的を設定する

    社員寮・社宅は少なからずコストのかかる福利厚生制度です。

    それだけに、どういった目的を実現するために導入するのかを見定める必要があります。住環境も含めた社員の健康実現なのか、社員の定着度・ロイヤリティ向上なのか。

    前者であれば食堂などを設ける必要もあるでしょうし、後者であれば入居者同士が仲良くなるような取り組みがあるほうが望ましいでしょう。

    社員寮・社宅の規則を決める

    社員寮・社宅の利用者の資格や、利用開始の際の手続き方法、利用者が守るべき事項や禁止事項を設定します。

    社員寮・社宅は一般に利用者の年数制限を設け退去が前提となる場合が多いため、後から問題のなることのないように細かめに設定しておくことが望ましいでしょう。

    社員寮・社宅の管理体制を決める

    社員寮・社宅の管理をそこに住む社員だけで行うのか。それとも管理人を招くなど他の誰かの力を借りるのかを決定する必要があります。

    いずれにしても、基本的な運営は社員が行うことになり、社員寮・社宅内のイベントや行事の企画から、掃除清掃の当番など、管理の範囲や体制はあらかじめ検討しておきましょう。

    社員寮・社宅の賃料の検討

    社員寮・社宅の利用者の負担金額を設定します。

    この制度を導入する目的や実現したい結果、そもそもの相場感に応じて設定すべき金額は変化します。意図を持った設定を行うことで、社員寮・社宅のを取り入れる効果も上がることでしょう。

    企業事例

    ここでは、実際に社員寮・社宅を活用している会社・企業の事例をご紹介します。

    いずれも働き甲斐のある、従業員満足度の高い会社として有名な会社。社員寮・社宅を採用する際のヒントにしていただければと思います。

    Acroquest Technology株式会社

    Great Place To Work(R) Instituteが実施する「働きがいのある会社」ランキングで3度の第1位を獲得したAcroquest Technology株式会社。

    新横浜の本社の徒歩圏内に設置され、30人近くが一度に集まることのできる談話スペースが設けられています。交流・懇親を促す懇親会やイベントから、テック企業ならではの技術的な話し合い屋ミーティングまで、積極的な活用がなされています。

    男子禁制の女子女子専用シェアハウスも有し、毎晩23時からのデザートタイムを開催。いずれも社員同士の盛んな交流の様子は対外的にも発揮されており、採用の際などでも有効に機能しているとのことです。

    社員寮・社宅に関する様々なサービス

    ここでは、社員寮・社宅を活用する際に役立つ運営代行・サービスを紹介いたします。

    保有施設の一括管理やリノベーション、サービスの一括紹介までその範囲は多岐にわたります。

    社有施設運営代行サービス | 日本社宅サービス株式会社

    社員寮・社宅をはじめとする社有施設をワンストップで運営代行するサービスです。

    社宅管理代行や物件オーナーへの支援、グループ会社とのネットワークを活用し物件の診断から、物件の維持・管理設計、実務までワンストップで対応可能です。

    社宅代行・法人仲介|株式会社マイナビ

    社員寮・社宅にはじめて携わる会社・企業に対して、物件や管理などのサービスを提供する外部の会社・企業の紹介を行っています。多くの分野と連携しているため、準備や事務作業など担当者の負担軽減が可能です。

    リノリース|株式会社TRN

    老朽化した社員寮・社宅にリノベーションを実施、賃貸物件に再生する事業を展開しています。

    入居者満足度の向上に様々な知見を有すること、工事費と借上賃料のバランスがよく費用対効果が一番高いことが特徴です。

    まとめ

    以上、社員寮・社宅に関してみてきました。

    こうした制度が注目を集めるようになった背景や、社員寮・社宅の種類、運営の際の留意点や、実際に有効に活用している企業、運営の際のサービスなど、留意点は色々とあります。けれども、一番重要なのは、社員寮・社宅を通じて何を実現したいのかに尽きます。社員の住環境に直接影響を及ぼせるため、目的と合致していれば、社員寮・社宅が有効に働く可能性は高いものです。

    今回の内容が、皆様のそうした目的を見定める上での一助になれば幸いです。

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