コアタイム

    コアタイムとは?導入時の就業規則の変更や運用ポイント解説

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    近年、働き方改革や多様な働き方を実現するためフレックスタイム制を導入する企業が増えています。また、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけにテレワークを導入した企業も増加しました。

    このような自由な働き方を実現する上でキーとなるのが「コアタイム」です。この記事ではコアタイムについて詳しく解説します。

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    コアタイムとは?

    コアタイムとは、「この時間からこの時間までは必ず勤務しなくてはならない」と決められた時間のことを指します。たとえばコアタイムが「11時〜15時」に設定されている場合、9時〜18時で勤務しても11時〜20時で勤務しても問題ありません。

    コアタイムは必ず設定しなければならないものではなく任意で設定されますが、ミーティングやチームでの予定が組みにくいという理由からコアタイムを導入する企業が多いようです。

    また、コアタイムは労使協定で合意があれば自由に定められます。たとえば1日の中でコアタイムを分けたり、曜日によってコアタイムを変更できるのです。

    多くの企業ではミーティングの予定をいれるなどの業務の進めやすさから、従業員が集まりやすい時間帯をコアタイムに設定しています。フレックスタイム制で従業員の働き方にある程度の柔軟性を持たせつつ、従業員同士のチームワークを保つためにコアタイムを活用することで、企業と従業員の双方の業務の進めやすさと柔軟な働き方のバランスが取りやすくなります。

    フレックスタイム制とは?

    フレックスタイム制とは、企業と従業員の間で結ばれた労使協定や就業規則の範囲内で、従業員が自由に始業・終業時間を決められる制度のことを指します。労働時間を1日単位で管理するのではなく、上限3ヶ月単位のスパンで清算できることが特徴です。

    企業は就業規則を作成し、労働者と労使協定を結んだ上でフレックスタイム制を導入する必要があります。( 労働基準法第32条第3項参照

    フレックスタイム制の仕組み

    フレックスタイム制基本モデル

    出典: 東京労働局 フレックスタイム制の適正な導入のために

    フレックスタイム制では原則出社していなければならない時間帯(コアタイム)と自由に働く時間を決められるフレキシブルタイムによって運用されます。

    コアタイムもフレキシブルタイムも企業によって自由に設定が可能ですが、極端にフレキシブルタイムが少ない場合や出勤・退勤時間のどちらかのみフレキシブルタイムを導入している場合などには、フレックスタイム制とは認められないケースがあります。

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    コアタイムを導入する目的は?

    フレックスタイム制を導入している企業において、コアタイムを設定する目的は何でしょうか。

    フレックスタイム制は従業員の生活に合わせた多様な働き方を実現したり、通勤ラッシュを回避する、などのメリットがあります。

    一方、企業側からみると従業員の労働時間を管理するコストがかかる、業務上のコミュニケーションが取りづらくなるなどのデメリットも。

    このようなデメリットを軽減させる目的で、企業はコアタイムを導入しています。コアタイムがあることで全従業員が必ず勤務している時間があり、ミーティングやチームでの作業などの予定が立てやすくなりコミュニケーションが円滑に行えるのです。

    フレックスタイム制の4つのメリット

    ではフレックスタイム制を導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。従業員側、企業側2つの面から確認してみましょう。

    1.【従業員側】仕事とプライベートを両立しやすくなる

    フレックスタイム制を導入することで、朝早くから仕事をスタートし夕方は早めに仕事を終えて、趣味を楽しんだり子どもを早く迎えに行くことも可能です。

    反対に朝はゆっくり過ごしてから仕事をスタートさせても問題ありません。プライベートが充実することで従業員の心身ともによい影響があり、仕事へのモチベーションアップも期待できます。

    2.【従業員側】通勤ラッシュを回避できる

    東京などの都心部では通勤ラッシュがあり、毎日満員電車にのり出社するまでに疲れ切っている従業員もいるのではないでしょうか。フレックスタイム制なら通勤ラッシュ時間を避けて通勤ができます。

    3.【企業側】育児・介護による従業員の離職を防げる

    内閣府男女共同参画局の「 第1子出産前後の女性の継続就業率及び出産・育児と女性の就業状況について 」によると、2017年に出産のために離職した人は推定約20万人です。また、総務省の「 平成29年就業構造基本調査 」によると2017年には約10万人が介護のために離職しています。

    育児や介護を担う年代は働き盛りでもあるため、全従業員一律で始業・就業時間を管理することは企業にとって貴重な戦力を失うことにもなりかねません。フレックスタイム制を導入することで子育てや介護がしやすくなり、大切な従業員の流出を防ぐことにもつながります。

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    4.【企業側】多様な人材の採用が期待できる

    フレックスタイム制を導入し従業員にとって働きやすい環境になれば、既存の優秀な人材の離職を防げるだけでなく、育児・介護中の優秀な人材の採用も期待できるでしょう。

    近年では多様な働き方ができる企業が増えていることから、柔軟な働き方ができる企業の人気は高まっています。

    フレックスタイム制のデメリット3つ

    ではフレックスタイム制にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。導入する際にはこれから紹介する点を考慮し制度を構築することが大切です。

    1.勤怠管理が複雑になり、労務に負担がかかる

    フレックスタイム制では従業員ごとに始業・終業時間が異なります。そのため同じ時間帯に仕事をしていても1人は就業時間内、もう1人は残業中という状況もありえます。

    管理職や労務などの給与計算担当者は、より細かい勤怠管理をしなければなりません。

    2.ミーティングなどの時間が限定される

    フレックスタイム制を導入している場合、ミーティングなどは基本的にコアタイム内で設定します。コアタイムは一律の就業時間の場合よりも短いため、タイミングによっては従業員同士のスケジュールがなかなか合わないことも考えられます。

    3.社内のコミュニケーションに工夫が必要

    始業・終業時間を従業員が自由に決められると、従業員同士が顔を合わせる時間が減り、コミュニケーションも少なくなる可能性も。コアタイム中の限られた時間で良好な関係を維持するために、コミュニケーションにも工夫が必要です。

    たとえばコアタイムのランチタイムに親睦会を行うなど、積極的にコミュニケーションをとる機会を作りましょう。

    フレックスタイム制の導入時にやるべきこと

    フレックスタイムを導入するには、就業規則に明記し労使協定を結んでおく必要があります。それぞれ具体的に何が必要か解説します。

    就業規則等への規定

    就業規則の中で、フレックスタイム制の導入を明記しなければなりません。具体的には始業時間、就業時間の決定を従業員の決定に委ねる、という趣旨の文言を就業規則に明記しておきましょう。

    その他、有給休暇の取り扱い方や総労働時間に不足があった場合の給与計算方法なども定めておく必要があります。

    労使協定の締結

    労使協定でも、フレックスタイム制の基本方針を明記します。そして明記した労使協定の内容をもとに、従業員の過半数で構成される労働組合やその代表が決定を下します。

    この労使協定で定めなければならない基本的な項目は以下の6項目です。

    1.対象となる従業員の範囲
    2.フレックスタイムの精算期間(3カ月位以内)
    3.清算期間の起算日
    4.清算期間内のそう労働時間
    5.1日の標準労働時間
    6.コアタイムとフレキシブルタイムは何時から何時までの間か

    コアタイムの設定における注意点

    実際にコアタイムを設定する際に、コアタイムを設定した時間帯や長さによっては、従業員の柔軟な働き方が実現できなかったり、企業側の担当者の勤怠管理が煩雑になってしまいます。

    企業・従業員の両方にとってよい制度になるよう注意点を解説します。

    多くの従業員にとって働きやすい時間帯にする

    コアタイムの開始時刻が早朝であったり、終業時刻が夜であったりすると、それぞれの従業員にあった柔軟な働き方ができなくなります。

    コアタイムは多くの従業員にとって働きやすい日中の時間帯に設定しましょう。

    コアタイムは長すぎず短すぎない時間で設定する

    たとえばコアタイムが1日2時間しかない場合は従業員にとって自由度が高い一方、ミーティングなどを設定しにくくなります。また、コアタイムが1日7時間の場合には、フレックスタイム制のメリットである柔軟な働き方ができなくなります。

    企業・従業員の双方にとって運用しやすいバランスの取れた時間で定めましょう。

    コアタイムを固定の時間にしない

    コアタイムを固定の時間にせず、曜日や繁忙期などの時期によって変更する方法もあります。たとえば繁忙期にはコアタイムを長めに設定し、閑散期には短く設定することも可能です。

    勤怠管理は少し複雑になりますが、企業にとって繁忙期などは業務が進めやすくなり、閑散期には従業員の自由度があがり働きやすさが増すことから、満足度のバランスが取れるでしょう。

    深夜・早朝の労働は避けるように周知する

    フレックスタイム制でも、夜22時〜朝5時の間に労働した場合には深夜労働に該当します。そのため企業は割増賃金を支払う必要があります。

    「フレックスタイム制だから」と従業員が22時〜朝5時の間に勤務すると、企業は想定していた人件費よりも多く支払わなければならなくなるため、注意しておきましょう。

    コアタイムへの遅刻・早退・欠勤などをした場合

    コアタイムに遅刻・早退・半休を取得した場合はどうなるのでしょうか。フレックスタイム制の場合には期間内の労働時間で勤怠を管理するため、たとえコアタイムに遅刻・早退・欠勤をしても総労働時間を満たしていれば原則欠勤時間控除はできません。

    しかしコアタイムに遅刻・早退が続くと、コアタイムを設定している意味がなくなり業務に支障が出る場合があります。そのため就業規則であらかじめコアタイムに遅刻・早退が発生した場合には欠勤時間控除の対象と定めておくことも可能です。

    また、人事評価にコアタイム内の遅刻・早退の有無を入れることで、遅刻・早退を抑制する効果が期待できるでしょう。

    コアタイムを活用して生産性と従業員満足度をあげよう

    フレックスタイム制は企業・従業員の双方にとってメリットがある仕組みですが、従業員同士のコミュニケーションが減る可能性があるなどのデメリットもあります。コアタイムを設定することでフレックスタイム制のデメリットを軽減し、双方にとってよい制度になるでしょう。

    また、コアタイムは繁忙期や曜日によって自由に設定できるため、業務にあわせて柔軟に運用することが可能です。

    コアタイムを上手に活用して生産性をあげつつ、従業員が働きやすい環境を整えましょう。

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