コロナ禍によるリモートワークの業務効率化ツールの一つとして、社内ポータルサイトの活用という選択肢があります。このツールを導入すると業務で必要な情報を一元化されるだけでなく、社内のコミュニケーションの活性化につながります。
本記事では社内ポータルサイトの導入方法をはじめ、メリットや活用のポイントを解説していきましょう。

社内ポータルサイトとは?
社内ポータルサイトとは、企業が従業員向けに公開している権限つきの情報サイトです。基本的に従業員以外は閲覧できないようになっています。
なお、「ポータル(portal )」とは、和訳すると入り口や扉を意味しており、 社内ポータルサイトの「ポータル」の意味合いは、従業員が社内で提供している情報にアクセスできるための入り口のことです。簡単にいえば、社内だけで利用できるサイトを指します。実際に社内のレポートやスケジュール管理、情報の共有や連携を抜けもれなく使える役割が備わっています。
社内ポータルサイトが業務で活用されている社会背景
近年、社内ポータルが業務で活用されています。その背景として挙げられるのが、業務のDX化・コロナ禍によるテレワーク奨励・働き方改革です。この流れによって、自宅など仕事場所が多様化したテレワークにおいては、社内ポータルサイトの活用によって対面で確認しなくても資料やデータが「どこに、何があるか」ということを明確にし、業務とコミュニケーションの円滑化につなげる対策が取られるようになっています。
類似サービスとの違い
社内ポータルサイトには、類似しているサービスが存在します。その違いについて解説します。
社内 SNS
社内SNSはLINEなどのSNSのような機能を備えている、従業員同士のコミュニケーションツールです。それに対し、社内ポータルサイトは情報の一元管理や社員の情報共有が主な機能となっています。
グループウェア
グループウェアとは、従業員のタスクと業務スケジュールを社内で共有できる機能です。一方、社内ポータルサイトは従業員のスケジュール管理のほかにも掲示板機能やSNS機能も備わっているのでマルチに活用できます。
ただし、近年グループウェアは、クラウドタイプの多機能なものもリリースされているので、機能の違いがなくなってきています。
社内掲示板
社内掲示板は、学校の黒板や掲示板にお知らせを貼り付けるように、Web上で掲示板を設け、情報をお知らせする機能を指します。過去の掲示板の情報も検索すればチェックできるので、そこから必要な情報を入手できます。社内ポータルサイトにも掲示板機能がありますが、双方の違いはさほどありません。
社内イントラサイト
社内イントラサイトは、内部のネットワークをつなげるウェブサイトです。基本的に外部のインターネットからアクセスができなかったり、閲覧に制限がかかっていたりすることがあります。社内ポータルサイトも社内で共有したい情報管理として使われるため、社内イントラサイトとの大きな違いはありません。
社内ポータルサイトの主な機能
社内ポータルサイトの主な機能は、次の9つです。
1,社内チャット
社内チャット機能は、従業員同士でコミュニケーションを取るツールであり、メールよりも手軽にできるのがポイントです。「@○○○さん」といったメンション機能などを活用すれば、相手にダイレクトにメッセージを届けることができるので、連絡の見落としが回避できます。ほかにも「○○○チーム」といった業務のグループごとに複数の宛先指定と作成もできるので、仕事に関する進捗連絡がスムーズに行われます。
また、掲示板機能を活用すれば、会社全体に対する情報共有も簡単です。特に部署の垣根を越えたコミュニケーションはハードルが高い場合がありますが、こうした機能を使えば部署というくくりに縛られることなく、部署をまたいだ質問やノウハウ共有なども簡単に行われるようになります。
2,社内wiki
社内wikiは、従業員がケースバイケースで社内の情報やナレッジを集め、共有を目的としたツールです。導入によって、従業員が持っている情報・知識・ノウハウを集約および共有することで、業務効率化を図れます。
例えば、就業規則や業務マニュアル、FAQなどをまとめて置くと、各自でチェックできるようになるので、問い合わせを受ける手間が省けます。
3,掲示板機能
掲示板機能では、業務や人事など社内で発信すべき情報を短時間で複数の人に伝達できます。また、部署やチームの枠を越えた情報共有や問い合わせができる機能もあるので、コミュニケーションの活性化につながります。
4,ストレージ機能
ストレージ機能が備わっていれば、業務で使うあらゆるファイルの管理ができるようになり、お目当てのファイルが時短で見つけやすくなります。また、ファイルの容量が少なくなるとアラートが入るので、その際にファイルの管理も可能です。業務で大容量のファイルを送る場合、ストレージ内の保存先情報をチェックおよび送付するだけで簡単にファイルの共有ができます。
5,ワークフロー機能
ワークフロー機能は、社内ポータルサイトのシステム上で交通費精算をはじめとする社内のワークフロー上で承認申請などを行います。承認の判子を捺印するために出社する手間がなくなるので、テレワーク中に申請が可能です。
6,スケジュール管理機能
スケジュール管理機能は、社内ミーティングや取引先との打ち合わせ時間、1on1などを登録できます。ほかにも従業員個人のタスク入力やスケジュールのリマインドも可能です。自分と関わりのある従業員のスケジュールも表示できるので、取り込み中や有給取得などの情報も入手でき、連絡のタイミングも調整ができるようになっています。
また、多くのスケジュール管理機能は、会議室などの施設管理機能とも紐づいているので、会議室などの社内施設の予約などができます。
7,プロジェクト管理機能
プロジェクト管理機能の主な使い方は、プロジェクト目標やタスクを管理したり、進捗状況の確認したりすることです。目標や進捗がチーム内でリアルタイムにわかるので、プロジェクトの各担当者が何をするべきかが把握しやすくなり、今後の計画が容易に進みます。
8,勤怠管理機能
勤怠管理機能の活用によって、オンラインで出退勤の状況を登録するだけでなく、有給休暇や残業の申請も勤怠管理機能上で対応できます。従業員が登録した情報は自動で集計および反映できるので、勤怠担当の負担と手間も大幅に省けます。
9,レポート機能
社内ポータルサイトのレポート機能には、過去に保存および蓄積したデータをピックアップすれば、グラフや表を作成できる機能が備わっています。社外からアクセスすることでスムーズにお目当ての情報を探せます。データが揃っていれば、プレゼンテーションやレポートで使う資料も短時間で作成可能です。
社内ポータルサイトの製品事例
社内ポータルサイトをこれから運用したいという場合、どのような製品があるのか知りたいという方もいることでしょう。この章では製品事例をピックアップしました。ご参考にしてみてくださいね。
日本企業の業務に合わせた設計|Garoon(ガルーン)
出典先:Garoon
Garoonは、サイボウズ株式会社がリリースしているグループウェアであり、業務効率化などを考慮し、幅広い世代が使いやすく、かつ現場でも管理職層にも馴染みやすい仕様にしています。10名ほどの零細企業から大手企業まで網羅しており、Microsoft 365などといった他のシステムと連携しています。
組織課題に合わせてカスタマイズ|TUNAG(ツナグ)
出典先:TUNAG
株式会社スタメンが提供するTUNAGは、組織が抱えている課題解決に合わせてオリジナルの設計で対応できるシステムです。社内での施策を浸透させるために、タイムラインや制度一覧画面だけでなく、チャットやカレンダーなどの機能も設けています。また、TUNAGの分析ダッシュボードにおいては、従業員のエンゲージメント状態と施策の効果を可視化することで、改善すべきポイントを見つけられます。
社内ポータルサイトを活用するメリット・注意点
こちらでは、社内ポータルサイトの活用のメリットおよび注意点を紹介します。
メリット
社内ポータルサイトを活用することで得られるメリットは主に次の5つです。
①テレワークやペーパーレス化の推進
社内ポータルサイトは、インターネットがつながっている環境であれば、自宅などから接続できるので、テレワーク下でも情報共有がしやすくなります。テレワーク下では対面でのコミュニケーションが不足しがちですが、社内ポータルサイトが定着していれば、コミュニケーションの不足が補えます。加えて、資料を紙に印刷せず、PDFなどの電子化したものをフォルダに保管しているので、エコとペーパーレス化の加速にもつながります。
②業務効率化が進む
既に作成されたフォーマットに必要な情報を入力するだけで、ワークフローの申請ができるため、無駄な時間が少なくなり、業務効率化が叶います。資料や文書を最初から作成する手間もないので、ほかの業務にもスムーズに着手できることでしょう。
③コミュニケーション活性化に繋がる
社内ポータルサイトがあれば、同じ部署やチームだけでなく、社内で違うチームのメンバーともコミュニケーションが取りやすくなり、社内の活性化にもつながる見込みがあります。企業の規模によっては、遠隔地で勤務している従業員との情報交流も容易になるでしょう。
④情報管理が一元化できる
社内ポータルサイトは、社内の多くの情報を一つに集約および管理できるだけでなく、タイプ別に情報が整理されているので、情報を探しやすくなります。
⑤社内からの問い合わせ対応が減る
社内ポータルサイトにアプリの設定や勤怠など社内でも大切な情報マニュアルを設けていれば、各自が内容をチェックするので、担当者への問い合わせが減ります。担当者が問い合わせ対応で1日が終わったということがなくなるので、ストレスも軽減され、業務に専念しやすくなります。
注意点
社内ポータルサイトの主な注意点は2つです。
①コストと時間がかかる
社内ポータルサイトを構築するには、コストがかかります。自社でどのような観点でポータルサイトを選ぶかということを事前に話し合う必要があります。カスタマイズの数が多いとさらにコストがかかるので、どの機能を優先して採り入れるかということも話し合う必要があります。
②利用習慣が定着しないケースも
社内ポータルサイトを導入しても、全従業員が受け入れて活用するとは限りません。なかには前のやり方で貫く人もいるかもしれません。社内ポータルサイトを選ぶ場合、自社と従業員の特性に合った選び方と、トライアルで使ってみてストレスフリーで使えているかなどを見極めて選ぶのが重要となります。
社内ポータルサイトをうまく活用するポイント
社内ポータルサイトをうまく活用するには、どのようなことをすれば良いのでしょうか。こちらではポイントについて解説していきましょう。
導入の目的を明確にし、社内に共有する
社内ポータルサイトを導入する場合、必ずやるべきなのが、従業員に向けた情報共有です。「なぜ導入したか」「導入のメリットは何か」「導入したらどのような点が改善されるか」などを明確にしておくと、従業員も納得でき、その後の業務がスムーズにやり取りができます。
運用の責任者を定める
社内ポータルサイトは、問い合わせのことを考えて、運用責任者を決めておきましょう。責任者がいると社内ポータルサイトの運用もスムーズに進み、かつサイト全体にも統一感が出ます。
サイトは1つにまとめる
企業のなかでも規模が大きい場合、複数の社内のサイトが存在するケースがあります。複数ある社内のサイトを1つのポータルサイトにまとめ、デザインなどを合わせておくと、従業員も使い勝手の良さを感じ取れるでしょう。
シンプルでわかりやすいデザインに仕上げる
社内ポータルサイトのデザインを考えるのも大切ですが、こだわりすぎると使い勝手が良くないという場合もあります。利用者目線を大切にしながら、シンプルで、かつわかりやすいデザインを第一に構築していきましょう。
情報はこまめに更新する
社内ポータルサイトを運用する目的の一つは、リアルな情報を従業員に届けることです。常に新鮮な情報が見られるよう、情報更新をこまめに行いましょう。
自社の状況に合わせてツールを選択しましょう
社内ポータルサイトは、従業員の業務効率化だけでなく、コミュニケーションの活性化も図れる、お役立ちのマルチツールです。そして情報の共有もしやすいので、離れた場所で働いていても出遅れにならずに済みます。これから自社で社内ポータルサイトを導入する場合は、メリットと活用するポイントを知るだけでなく、自社の状況も把握しながら最適な社内ポータルサイトを考えていきましょう。
