高齢者雇用を促進しよう!理解しておくべきを企業メリットと就業規則

    高齢者雇用は法律によって各企業の対応が義務づけられ、企業には高齢者が意欲とスキルに応じていつまでも働き続けられるような体制を整える責任があります。高齢者の雇用の推進のために、高齢者雇用に関する法律、企業側のメリットや対策や就業規則を理解し、そして国からはどんな支援があるか把握していきましょう。

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    法律で定められた高齢者雇用に関する義務

    高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」がの一部が改正され、2013年4月から施行されています。「改正高年齢者雇用安定法」とも呼ばれ、この改正により、65歳まで働き続けることが可能な世の中となりました(全企業で適用されるのは2025年から)

    この改正によって企業に課せられた義務を確認していきましょう。きちんと準拠していない企業は、厚生労働大臣による指導・助言の対象にもなりえるので、しっかりと理解し対応を行う必要があります。

    定年を60歳以上の年齢に定める

    企業が定年を設定する際に、60歳を下回ることはできません。必ず、60歳以上の年齢を定める必要があります。(高年齢者雇用安定法第8条)

    65歳までは安定した雇用をする措置をとる

    定年を65歳未満に設定している場合は、65歳までの雇用を確保するために以下のいずれかの措置をとる必要があります。(高年齢者雇用安定法第9条)

    1、定年の引き上げ:定年を65歳以上に引き上げる
    2、継続雇用制度の導入:本人が希望すれば定年後も65歳まで引き続き雇用継続する制度
    3、定年の廃止:定年を定めずに雇用を継続する

    自社ではどの措置をとるべきかの参考に、令和元年度の調査結果をみてみましょう。高齢者雇用確保措置をのある企業のうち、上記3つのうちどの措置をとっているかの内訳です。

    多くの企業が継続雇用制度の導入を実施していることが分かります。定年の引き上げや定年制の廃止の方が人事制度改定の負荷が高い、人件費の負担が高くなる可能性があることから、継続雇用制度を採用する企業が多いようです。


    参照元:令和元年「高年齢者の雇用状況」集計結果

    離職時に必要な対応をとる

    企業は、解雇などによって離職が予定されている中高齢(45歳以上65歳未満)の社員に対して、本人が希望する場合は、求人の開拓といった再就職の援助をする必要もあります。(高年齢者雇用安定法第15条)さらに希望があれば「求職活動支援書」の作成と交付を行う義務があります(高年齢者雇用安定法第17条)。

    また、雇用する高年齢者等が1か月以内に5人以上が解雇等により離職する場合は「多数離職届」をハローワークに提出しなければなりません。(高年齢者雇用安定法第16条)

    高齢者雇用に関する状況を届け出る

    従業員31人以上規模の企業は、毎年6月1日現在の高齢者雇用の状況をハローワークに報告する必要があります。

    報告の内容は、具体的には以下となります。
    ・定年制の状況
    ・継続雇用制度の状況
    ・従業員の年齢構成

    報告時期である6月になると報告用紙が送られてきますので、記載した上で返送しましょう。また、電子申請も可能です。

    新たに70歳までに引き上げる改正案が施行予定

    政府は、70歳まで働くことができる“70歳までの就業機会確保を企業の努力義務”とする、高年齢者雇用安定法などの改正案を閣議決定し、2020年3月に国会で成立しました。2021年4月から適用され、政府は将来的な義務化も視野に入れています。既存の3つの選択肢である、1.定年引き上げ、2.継続雇用制度の導入、3.定年制の廃止にプラスして、以下も企業に求める内容となっています。

    4.企業やフリーランスを希望する人への業務委託
    5.自社が関わる社会貢献事業に継続的に従事できる制度

    今後の流れとして認識しておきましょう。

    高齢者雇用を行う際の制度設計と就業規則

    高齢者を雇用する場合、どのように制度設計すればよいでしょうか?ここでは、制度設計の際のポイントを解説していきます。

    自社の正社員を再雇用する場合

    就業規則本則とは別に「嘱託社員就業規則」を作成し、以下のような条件を定めていく必要があります。

    ・嘱託社員の定義
    ・有期雇用になること(1年と定める場合が多い)
    ・更新は65歳までであること
    ・更新の基準(健康状態や勤務状態など)

    また、自社の社員の再雇用の場合、正社員に比べて給与面などで不合理な待遇とすることを避ける必要があります。嘱託職員と正社員との間に不合理な待遇差があることは、労働契約法大20条に違反します。

    そして、待遇面だけでなく、正社員の時と全く異なる職種になることも要注意です。例えば、経理事務だった従業員に清掃業務に従事するように命じるばど、明確な職種変更が起きた場合も、従業員とのトラブルになり裁判に発展する場合があります。

    外部から高齢者を雇用する場合

    60歳以上の従業員を新たに外部から雇用する場合は、無期転換ルールの特例除外がされない点に注意しましょう。無期転換ルールとは、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約 (無期労働契約)に転換できるルールです。

    定年後に同一事業主に有期雇用される従業員については、特例でこのルールが適用されないのですが、外部からの雇用の場合は適用の範囲となります。

    ・就業規則で、60歳を越えて正社員になった従業員向けの定年を別途定める
    ・雇用契約書で、有期雇用契約の更新上限を定めておく

    このような制度設計をして、無期転換ルールの適用が除外できるような精度設計をしておくことがよいでしょう。

    高齢者雇用がもたらすメリット

    ここまで高齢者雇用に関するルールを説明してきましたが、高齢者を雇用する企業側のメリットはどんなものがあるのでしょうか?

    高齢者の活躍推進は、事業や組織にどうポジティブな面があるのかをきちんと把握した上で実行していくことが重要です。法律で定められているからという理由で推し進めてしまうと、高齢者社員にとってもその他の従業員にとっても良い状況をもたらさないでしょう。

    以下に、高齢者が活躍する場合の企業のメリットを挙げていきます。

    経験による専門知識やスキル、人脈の伝承

    高齢社員は、長い経験ゆえの専門性のある知識や積み上げられたスキルを持つ傾向があります。また、社内や業界内での人脈も価値ある資産になるかもしれません。

    そういった知識やスキル・人脈を、若い世代に伝承していく役割として事業や組織に貢献してくれる可能性が高いです。また知識やスキルのみならず、仕事への姿勢やマインドについても、お手本となってくれることも期待できます。

    多様な価値観・ダイバーシティの促進

    ビジネスでは多様な価値観の重要性に注目が集まっています。ダイバーシティ経営は、多様な人材を活かすことでイノベーションをうみ価値創造につなげるという考え方です。市場ニーズが多様化した現在では、同質化した組織よりは、多様な人材がいた方が、経営や事業に良い影響を与えると言われています。

    女性や外国人といった性別や文化のダイバーシティと同様に、高齢者もまた多様な視点をもたらすダイバーシティを持った人材でしょう。

    働きやすさ改善や従業員の職場定着

    高齢者が働きやすい環境を整えることで、高齢者以外の従業員にとっても働きやすい職場になるという効果も見込めます。高齢者に合わせた健康面での配慮や柔軟な働き方が、育児中や介護中の社員、傷病中の社員、外国人といった人材が働く環境作りにも役立つのです。

    また、活躍する高齢者が職場にいることで、職場で長く働くイメージが湧いたり、中高年の社員のモチベーションが向上したりと、従業員の定着につながる効果もあります。

    高齢者を雇用する際に必要な社内体制

    では、上記のメリットが創出されるように活躍してもらうためには、どのような社内体制が必要なのでしょうか? 実際に高齢者を職場に受け入れる場合や雇用を続ける際に必要になってくるサポートを挙げていきたいと思います。

    強みや経験を生かした役割配置をする

    どのような役割で活躍してもらうのかをこれまでの経験や本人の意向も踏まえて合意しましょう。役割や配置に納得がいかないとモチベーションの低下に繋がってしまいますので、経験やスキルがきちんと活きる業務に従事できるように十分に検討すべきでしょう。

    また、本人のみでなく、周囲の社員に対しても、役割を伝えて理解してもらうことも重要です。例えば、「●●●のアドバイザー」であるとか「○○分野のマイスター」というような分かりやすい役割で伝えると受け入れやすいです。定期的に振り返りを行い、役割や業務の見直しをしていくことも重要です。

    健康や体調面への配慮を行う

    高齢になると、以下のような身体的変化が起こりやすくなりますので、配慮が必要になります。

    ・視力や聴力の低下
    ・判断力、注意力の低下
    ・定期的な通院がある

    また、家族の介護をしながら働くケースもあるでしょう。配慮した勤務体系やリスクのない業務内容、チーム体制にして無理なく働けるような環境を用意しましょう。

    サポート体制を整える

    パソコンや業務機器といった慣れないツールの操作が必要な場合、サポート役を立てる、分かりやすいマニュアルや手順書を作成するなどの対策をとりましょう。

    業務が滞ってしまう高齢者がいる場合、若手社員にしわ寄せがいって不満につながる可能性もありますので、マニュアルや手順の整備は業務の効率化や平準化の意味でそれ以外の社員にもメリットがあることをy伝えておくと良いでしょう。

    高齢者雇用をする企業への助成金

    企業が高齢者雇用を推進していく場合、厚生労働省からの支援を受けることができます。ここでは高齢者雇用に関わる助成金を紹介しますので、ぜひ支援の活用も検討して、推進を進めてください。

    特定就職困難者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

    企業が、60歳以上の高年齢者などの就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れた場合に受けることができる助成。
    詳しくはこちら

    高年齢者雇用開発特別奨励金(生涯現役コース)

    企業が、65歳以上の高年齢者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れた場合に受けることができる助成。
    詳しくはこちら

    65歳超雇用推進助成金

    65歳以上への定年引上げや高齢者への雇用管理制度の整備を行い、高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換する措置を講じた企業が受けることができる助成。
    詳しくはこちら

    ※各の助成金の要件や金額については厚生労働省のホームページに掲載されています。

    また助成金の他にも「65歳超雇用推進プランナー」や「高年齢者雇用アドバイザー」に無料相談ができると言った推進支援もあります。

    高齢者雇用を通じて人材定着を

    労働人口が減っていく日本では、企業にとって人材の確保や定着は大きな課題です。意欲とスキルがある高齢者を即戦力としていかに活躍してもらうか?は重要なテーマでしょう。また、高齢者雇用のメリットは、ご紹介したとおり高齢者のみならず他の従業員にとっても良い職場環境を整えるきっかけにもなります。ぜひ本記事を参考に自社における高齢者雇用について検討し、推進していただければと思います。

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