エンゲージメントとは?定義と注目される理由、向上の成功事例を紹介

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    「エンゲージメント」は、近年、人材・採用・組織開発の分野で注目されているキーワードです。人材不足・雇用形態の多様化など、現代の企業をとりまく環境で、重要な人材戦略のひとつと考えられています。

    この記事では、「組織(企業)」と「従業員」の関係性を示す「従業員エンゲージメント」に焦点をあて、考え方や効果を解説するとともに、向上させるために必要な取り組みについて説明します。

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    エンゲージメントとは?

    エンゲージメントとは、もとは「約束」や「誓約」を意味する単語ですが、用途によってさまざまな意味を持ちます。

    企業におけるエンゲージメントは、生産性向上につながる、従業員と企業の結びつきの強い状態を表す概念です。組織と個人の成長が連動し、互いに貢献しあえる関係性のことを指します。

    たとえばセールス領域では、企業と顧客の関係性構築を指し「顧客エンゲージメント」と呼ばれます。

    従業員エンゲージメントが広まったきっかけ

    従業員エンゲージメントとは、明確な定義はありませんが、人事領域では経営課題として取り組む企業の動きにあわせ、いくつかの代表的な考え方があります。

    そのひとつが、世界的規模で世論調査を実施するアメリカ・ギャラップ社のものです。同社によれば、従業員エンゲージメントとは、「組織に対して強い愛着を持ち、仕事に熱意を持っている状態」であるとされます。

    また、グローバルコンサルティングファームのウイリス・タワーズワトソンでは、従業員エンゲージメントを「会社・組織が成功するために、従業員が自らの力を発揮しようとする状態が存在していること」としています。

    このように、従業員エンゲージメントとは組織にコミットメントする従業員の「状態」を示すものです。1990年代に入り、ゼネラル・エレクトリック社が経営の最優先課題に従業員エンゲージメントを据えたことをきっかけに着目されるようになりました。

    従業員エンゲージメントでは、個人のスキルや経験をいかに会社の成長に合わせて投下させるか、また会社の目指す方向性と連動して個人の成長を促せるかに注力しています。さらには、企業の業績と関連する調査も複数あり、組織のミッションを達成するためには、従業員エンゲージメントの向上が不可欠と考えられています。

    従業員満足度・ロイヤリティとの違い

    エンゲージメントは、従業員の心理状態や会社との関わり方を示す考え方のため、「従業員満足度」や「ロイヤリティ」といった似た概念と混同されることがあります。それぞれ、従業員の組織に対する意欲を測る考え方ですが、会社との結びつきの方向性に違いがあります。

    従業員満足度」は、従業員が会社の用意した労働条件・環境・給与等にどれだけ満足しているかを示す指標です。従業員から、環境や待遇に対する評価という点が特徴です。

    ロイヤリティ」は、従業員の企業に対する忠誠度合いを示すものです。愛社精神と表現されるように、ロイヤルティの高い従業員は献身的に組織に尽くします。ただし、企業とは上下の関係性に置かれます。

    エンゲージメントは企業と従業員が双方向の関係性によって結びつきを強めていくものです。企業が従業員の意欲を引き出す取り組みを行い、従業員は組織へのコミットメントを高めていきます。

    エンゲージメントが注目される理由

    エンゲージメントが、企業の成長と人材戦略の重要なポイントとして考えられているのは、労働市場や働き方の変化が関わっています。

    人材確保の重要性が増大

    働き方改革でも掲げられているように、日本は「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」に直面しています。人材不足という課題を解決するには、子育てや介護をしている人、高齢者、外国人労働者、若者など、様々な状況にいる人々が働きやすい環境を整える取り組みが求められます。

    また、有効求人倍率が高い状態で推移している近年、売り手市場により企業の採用は難易度を増しています。今いる従業員の定着を促すことが、新規に高スキル人材を採用しようと奮闘するよりも、組織にとって良い影響をもたらすかもしれません。

    こうした、人材不足の状況とあわせて、企業は長時間労働という従来の働き方から脱却し、かつ高い生産性を維持することが求められています。そのためには、企業が従業員から選ばれる組織である必要があり、その上で個人のパフォーマンスが最大化されなければいけません。こうした状況に対して、従業員の熱意を高め業績向上につなげるエンゲージメントが重視されています。

    従業員マネジメントの難しさ

    働き方の多様化も、企業がエンゲージメントを重視する要因となっています。

    非正規雇用の増加に加え、近年ではテレワーク・副業という新しい働き方も増えています。これまでの、オフィスで週5日顔を合わせる働き方を前提としたマネジメントでは、異なる働き方の従業員全員に対して、モチベーションアップを促すのは難しいと感じている管理職も多いでしょう。

    正社員以外に、業務委託・派遣といった組織とのコミットメント度合が異なる従業員が増えれば、それだけ企業の方向性の理解度に差が生まれます。そのような差が、組織の一体感醸成を妨げる要因になります。

    テレワークが進めば、上司が部下の労働時間や仕事量を管理するのがどんどん難しくなるでしょう。顔を合わせないことでのすれ違いや、一人で仕事する孤独感が引き起こすモチベーションの低下も問題になります。

    企業は、どうすれば多様な働き方にあわせて、従業員の組織への愛着を育て仕事に対して熱意をもっている状態に導くことができるのか、より考え取り組まなければいけません。

    働く価値観の多様化

    働き方の変化以外に、働く価値観の多様化にも目を向ける必要があります。

    最近の調査では、仕事と家庭・プライベート(私生活のバランス)を重視する傾向が増加しています。また、新入社員の会社を選択する理由として、「能力・個性を活かせる」「仕事が面白い」が上昇しており、「給与の高さ」や「企業の安定感」といった、これまで主流な入社理由に新たな判断軸が加わっています。

    なぜ働くのか、という価値観の変化は働くモチベーションの変化です。そのため、企業はどうしたらこれまでの価値観とは違う人々の働く意欲を高められるのか考えなくてはいけません。

    結果を出した従業員に、ボーナスといったインセンティブを支払う以外に、「会社が自分のやりたい場を用意してくれる」「自分の仕事をちゃんと評価してくれる」と感じてもらえる取り組みが求められています。従業員が組織を信頼していることが、個人のパフォーマンスにも大きく影響します。

    コロナ後の経済成長のためにエンゲージメントを意識

    エンゲージメントが注目されるようになってから約30年。依然として、企業の成長に欠かせない考え方として捉えられています。

    PwC Japanが実施した「2021年度世界CEO意識調査」において、日本のCEOの45%が今後競争力を高めていくために、「従業員のエンゲージメントやコミュニケーションを変化させていく」と回答しました。この数値は、世界全体の30%という結果を上回るものです。

    コロナ後の経済成長のために、従業員エンゲージメントの重要性を意識している企業が多いことがわかります。

    参照:PwC Japan、「第24回世界CEO意識調査」の 日本調査結果を発表

    エンゲージメントを高めるために必要な3つの要素

    では、どのようにしたらエンゲージメントを高めることができるのでしょうか? ウイリス・タワーズワトソンによれば、エンゲージメントの向上には「理解度」「共感度」「行動意欲」の3つの要素が必要であるとされています。

    ①理解度

    理解度とは、従業員が会社の進む方向性を具体的に理解し、支持できる状態であることを指しています。つまりは、企業のビジョンや成長戦略で語られる方向性と従業員の方向性が一致している状態です。理解度を高めるためには、企業は明確な経営方針を作り、従業員に対して説明することが求められます。

    ②共感度

    共感度とは、従業員が属している組織やともに働く仲間に対して、帰属意識や誇り、愛着の気持ちを持っている状態を示しています。共感度が高いことで、組織にコミットする意欲が生まれます。また、仲間とフォローしあいコミュニケーションを活性化させるといった、組織の一体感にもつながります。

    ③行動意欲

    行動意欲とは、組織の成功のために、求められる以上のことを進んでやろうとする意欲がある状態を示しています。高い行動意欲を持続させるには、成果に対する周りからの適切な評価や、社会に貢献できているといったやりがいが必要です。納得感のあるフィードバックや、組織に必要とされている実感が、従業員の行動意欲を高めます。

    エンゲージメントが企業に必要とされる理由

    エンゲージメントが、企業の成長と人材戦略の重要なポイントとして考えられているのは、労働市場や働き方の変化が関わっています。

    人材不足により、働き続けてもらう重要性が増加

    働き方改革でも掲げられているように、日本は「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」に直面しています。人材不足という課題を解決するには、子育てや介護をしている人、高齢者、外国人労働者、若者など、様々な状況にいる人々が働きやすい環境を整える取り組みが求められます。

    また、有効求人倍率が高い状態で推移している近年、売り手市場により企業の採用は難易度を増しています。今いる従業員の定着を促すことが、新規に高スキル人材を採用しようと奮闘するよりも、組織にとって良い影響をもたらすかもしれません。

    こうした、人材不足の状況とあわせて、企業は長時間労働という従来の働き方から脱却し、かつ高い生産性を維持することが求められています。そのためには、企業が従業員から選ばれる組織である必要があり、その上で個人のパフォーマンスが最大化されなければいけません。こうした状況に対して、従業員の熱意を高め業績向上につなげるエンゲージメントが重視されています。

    多様な働き方の推進によるマネジメントの難しさ

    働き方の多様化も、企業がエンゲージメントを重視する要因となっています。

    非正規雇用の増加に加え、近年ではテレワーク・副業という新しい働き方も増えています。これまでの、オフィスで週5日顔を合わせる働き方を前提としたマネジメントでは、異なる働き方の従業員全員に対して、モチベーションアップを促すのは難しいと感じている管理職も多いでしょう。

    正社員以外に、業務委託・派遣といった組織とのコミットメント度合が異なる従業員が増えれば、それだけ企業の方向性の理解度に差が生まれます。そのような差が、組織の一体感醸成を妨げる要因になります。

    テレワークが進めば、上司が部下の労働時間や仕事量を管理するのがどんどん難しくなるでしょう。顔を合わせないことでのすれ違いや、一人で仕事する孤独感が引き起こすモチベーションの低下も問題になります。

    企業は、どうすれば多様な働き方にあわせて、従業員の組織への愛着を育て仕事に対して熱意をもっている状態に導くことができるのか、より考え取り組まなければいけません。

    個人の働く価値観の多様化

    働き方の変化以外に、働く価値観の多様化にも目を向ける必要があります。

    最近の調査では、仕事と家庭・プライベート(私生活のバランス)を重視する傾向が増加しています。また、新入社員の会社を選択する理由として、「能力・個性を活かせる」「仕事が面白い」が上昇しており、「給与の高さ」や「企業の安定感」といった、これまで主流な入社理由に新たな判断軸が加わっています。

    なぜ働くのか、という価値観の変化は働くモチベーションの変化です。そのため、企業はどうしたらこれまでの価値観とは違う人々の働く意欲を高められるのか考えなくてはいけません。

    結果を出した従業員に、ボーナスといったインセンティブを支払う以外に、「会社が自分のやりたい場を用意してくれる」「自分の仕事をちゃんと評価してくれる」と感じてもらえる取り組みが求められています。従業員が組織を信頼していることが、個人のパフォーマンスにも大きく影響します。

    コロナ後でも日本ではエンゲージメントは重要視される

    エンゲージメントが注目されるようになってから約30年。依然として、企業の成長に欠かせない考え方として捉えられています。

    PwC Japanが実施した「2021年度世界CEO意識調査」において、日本のCEOの45%が今後競争力を高めていくために、「従業員のエンゲージメントやコミュニケーションを変化させていく」と回答しました。この数値は、世界全体の30%という結果を上回るものです。コロナ後の経済成長のために、従業員エンゲージメントの重要性を意識している企業が多いことがわかります。

    参照:PwC Japan、「第24回世界CEO意識調査」の 日本調査結果を発表

    エンゲージメント向上で期待できる効果

    それでは、エンゲージメントの向上にはどのような効果があるのでしょう。企業に与えるポジティブな影響をみてみましょう。

    人材定着・離職率の低下

    従業員が愛着を感じるような組織つくりをすることで、人材が定着し、離職率が改善されます。

    従業員の離職率が下がれば、組織の中に経験年数の高い人材が増えます。業務を安定的に行うことができるため、サービスレベルが向上し、顧客からの信頼や満足度向上が期待できます。

    採用力強化につながる

    エンゲージメントが高い社員は、会社に信頼を寄せています。自身のスキルやキャリアを伸ばす場に最適であると感じており、仕事を通じて社会の役にたっているといったやりがいを実感する頻度も多いです。

    エンゲージメントの高い社員の存在は入職希望者に魅力的にうつりやすいため、結果として採用面によい影響をもたらします。

    モチベーション維持

    たとえ組織に献身的に尽くす人でも、満足する結果が得られなかった時には大きな失望を抱きます。心理的に落ち込むだけでなく、蓄積された疲労が身体にあらわれることもあり、仕事を続けていく妨げとなりかねません。

    従業員の仕事ぶりを適切に評価する仕組みがあることは、モチベーションを維持するうえで重要なことです。長い目でみて、企業と従業員間で信頼関係があることは好循環を生み出します。

    円滑な従業員間コミュニケーション

    エンゲージメントの高い従業員は、周りのメンバーにも良い影響をもたらします。組織へのコミットメントが高まっており、業務ノウハウをマニュアルにまとめたり、勉強会を開いたり、自らのスキルをチームに貢献する自発的な動きが生まれやすくなります。

    また、エンゲージメントの向上で会社の方向性を理解する従業員が増えるため、「組織の目標達成にどうすればいいか?」を念頭においた建設的なコミュニケーションが増えるでしょう。

    業績の向上

    エンゲージメントの向上と企業の業績アップには正の相関があることが明らかになっています。

    たとえば、2012年にタワーズワトソン(現:ウイリス・タワーズワトソン)が公開した資料では、50のグローバル企業への調査で判明した従業員エンゲージメントと業績の関係性に触れています。それによれば、様々な要因があるとしつつも、持続可能なエンゲージメントが高い企業は、低い企業と比較して3倍も高い業績を示しています。

    また、ギャラップ社もエンゲージメントの高い企業のほうが低い企業と比較して、生産性や収益性などビジネスの成果に良い影響をもたらすとしています。

    エンゲージメントを高めるために必要な3つの要素

    では、どのようにしたらエンゲージメントを高めることができるのでしょうか? ここでは、エンゲージメントの向上に必要とされる「理解度」「共感度」「行動意欲」の3つの要素を説明します。

    ①理解度

    理解度とは、従業員が会社の進む方向性を具体的に理解し、支持できる状態であることを指しています。つまりは、企業のビジョンや成長戦略で語られる方向性と従業員の方向性が一致している状態です。理解度を高めるためには、企業は明確な経営方針を作り、従業員に対して説明することが求められます。

    ②共感度

    共感度とは、従業員が属している組織やともに働く仲間に対して、帰属意識や誇り、愛着の気持ちを持っている状態を示しています。共感度が高いことで、組織にコミットする意欲が生まれます。また、仲間とフォローしあいコミュニケーションを活性化させるといった、組織の一体感にもつながります。

    ③行動意欲

    行動意欲とは、組織の成功のために、求められる以上のことを進んでやろうとする意欲がある状態を示しています。高い行動意欲を持続させるには、成果に対する周りからの適切な評価や、社会に貢献できているといったやりがいが必要です。納得感のあるフィードバックや、組織に必要とされている実感が、従業員の行動意欲を高めます。

    エンゲージメントを測る際の指標と測定方法

    では実際のところ、自社の従業員はどれだけのエンゲージメントを抱いているのでしょうか。エンゲージメントを可視化するために、測定の指標と測定方法について触れておきましょう。

    エンゲージメント測定の指標

    エンゲージの測定には、エンゲージメント総合指標、エンゲージメントレベル指標、エンゲージメントドライバー指標の3つの指標があります。

    エンゲージメント総合指標

    ・eNPS(employee Net Promoter Score):自分の働く企業を知人・友人にどれだけ勧めるかどうか
    ・総合満足度:企業への満足度はどれだけか
    ・継続勤務意向:現在働いている企業で今後も働き続けたいと思うか

    この指標では、従業員の企業への評価がわかります。具体的には、以下のような項目から、企業を総合的に見た際に従業員がどのような印象を抱いているかを知ることができます。

    エンゲージメントレベル指標

    エンゲージメントレベル指標では、自分の業務にどれだけ熱意をもって取り組んでいるかを測ることができます。

    UWES(ユトレヒト・ワーク)尺度が元になっており、仕事に対する熱意、没頭、活力の3点で判断されます。

    エンゲージメントドライバー指標

    ・組織ドライバー:人間関係、職場環境など組織と従業員との状態
    ・職務ドライバー:職務の満足度・難易度、当事者意識に関すること
    ・個人ドライバー:個人がもつ資質が業務に及ぼす影響

    エンゲージメントドライバー指標は、上記のような項目で構成されている指標です。それぞれの項目は、エンゲージメントをはかる際の最終的に判断する項目となります。

    エンゲージメントの測定方法

    測定にあたっては、自社で実施する場合とアウトソーシングする場合の2パターンがあります。

    自社で実施する場合には、上記の指標に合わせた質問をつくり、Web形式またはペーパー形式でアンケート調査行うなど実施するまでに準備が必要になります。業務を増やしたくない、余裕がないという方はアウトソーシングしてしまうのも一つの手です。

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    エンゲージメント向上につながる施策

    エンゲージメントの向上には、多様化する個々の価値観を把握し、尊重した働き方を整えることが大切です。そのために企業ができる取り組みについて紹介します。

    エンゲージメント向上のための実働チームを発足する

    エンゲージメントを高めるためには、トップダウン方式ではなく従業員が主体となって施策を展開する方法が効果的です。目指すべき方向性に、足りない部分はなにかと従業員自らが考えることで、組織の実態に沿った解決策が見えてきます。

    チームには高いパフォーマンスを発揮していたり、メンバーサポートなど組織への貢献が高い社員を選ぶのがよいでしょう。エンゲージメントの高い社員のモデルケースにもなります。

    エンゲージメント調査を行う

    エンゲージメント向上の取り組みのため、もう一つ重要なのが現状の把握です。エンゲージメントとは心理状態を表すものです。そのため、数値化して客観的指標を持つことが組織の状態を把握する重要な一歩になります。

    結果をもとに、スコアの低い分野から改善します。大規模な改革に取り掛かろうとするのではなく、小さな課題から改善し、PDCAを回しながら広げていく方法もあります。

    また、単発の調査で終わるのではなく、年に1回など定期的に実施することが重要です。継続した結果を蓄積することで、改善された点やエンゲージメントの変化を確認することができます。

    働く環境を整える

    従業員に働く意欲がどれだけあっても、あまりに多い労働負荷や長時間労働が存在するような環境では個人のエンゲージメント維持は難しくなります。

    そのため、働きやすい職場作りに力をいれましょう。長時間残業をなくすよう、業務負荷やフローを見直す。時短勤務・テレワークといった働き方に合わせた評価方法を考えるなど出来ることはさまざまです。

    <リフレッシュ休暇を導入する>

    リフレッシュ休暇とは、年齢や勤続年数に応じて心身の健康維持のために付与される休暇のことです。

    例えば、勤続年数5年目の従業員には連続で5日、10年目の従業員には連続で10日の休暇を付与するなどの施策が考えられます。また、勤続年数が長い従業員に向けて旅費や自己啓発のための補助金を出すこともエンゲージメント向上につながりそうです。

    <心理的安全性を高める>

    Google社が効率的なチームの要素として公表したことで、注目を集めた心理的安全性

    ひとりひとりが安心して働くことができることは、チームで働くうえで非常に重要な概念とされています。身近に相談しやすい相手のいることは働きやすさに繋がってくるため、働きやすいチーム作りは必要です。

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    個人の成長を促す施策を行う(キャリアアップ)

    単に報酬を得る場ではなく自身のスキルアップにつながる職場は、従業員の意欲を高めるものです。

    新しいプロジェクトに挑戦できたり、別の分野で新しい経験を積んだり、またはこれまでのスキルを活かせる仕事を任されることで、従業員の自信を育てることができます。

    <社内勉強会を行う>

    業務では接触することのない部署との横のつながりは、組織力を高めるためにも必要なものです。

    部署間の垣根を超えたコミュニケーション機会を設けることで、自部署のスキル向上に繋がるとともに情報共有や部署同士の連携がしやすくなるでしょう。

    <自己啓発支援を行う>

    組織として企業の未来を担っていけるような人材育成は重要ですが、スキルアップをすべき分野は従業員それぞれによっても異なります。

    担当業務に生かせるような資格の取得、学びたいことが学べるeラーニング、海外出張のための英会話スクール費用補助など、従業員のスキルアップを促進できるようなサポートを行いましょう。

    企業のビジョンをしっかりと伝える

    エンゲージメントの要素である「理解度」を高めるために、会社のビジョンを伝える機会を持ちましょう。

    <全社イベントを開催する>

    全従業員が参加するイベントを開催することで、企業全体で改めてビジョンを見つめ直すことができます。

    コロナ禍によりリモート環境となった企業では、オンライン上での全社会議、交流会を実施することができるでしょう。

    <社内報をつくる>

    社内報は、企業のビジョンを浸透させるうえで非常にうまく働いてくれます。

    社内向けの広報ツールとして使うだけでなく、定期的にビジョンを認識してもらえるような発信を行うことで社内コミュニケーションも活発になることが期待できます。

    <経営者との1on1の機会をつくる>

    新入社員の入社後、企業に慣れるためのオンボーディングで経営者との1on1の機会を設けるのもエンゲージメント向上に有効です。

    1on1を通じて、従業員の企業に対する理解を深めながら信頼関係を築くこともできます。経営者自ら企業のビジョンを伝えることで、従業員の理解度も深まるに違いありません。

    ほかにも、コーポレートウェブサイトに表示する、チームの定例会で触れる、社内プラットフォームでアナウンスする、採用メッセージとリンクさせるなど、あらゆる場でビジョンを発信していきましょう。

    納得感のある人事・評価制度をつくる

    ちゃんと評価されていると感じることで、仕事へのモチベーションが継続します。納得感のある人事・評価制度のためには、働き方や目標に適切な方法を検討する必要があります。

    たとえば、近年増えているテレワークでは、上司と部下が物理的に同じ空間にいないため、「働いている様子」を評価することは難しくなります。また、従業員に与えられている目標に応じた評価軸を設けなくてはいけません。

    制度の基盤となる目標値・評価方法を個人に合わせて丁寧に作ることが、納得感のある評価制度につながります。

    <行動指針を体現している従業員を表彰する>

    企業において、理念を実現していくために設定される行動指針は評価をするうえでも重要な役割を果たします。

    普段から行動指針を体現している従業員の表彰制度をつくれば、全従業員に対して理想の姿を示しやすくなります。それだけでなく、表彰された従業員は今後のモチベーションにもつながるため、企業にとっても従業員にとっても嬉しい制度となります。

    <インセンティブ制度を導入する>

    インセンティブ制度とは、物質的なものから評価的なものまでさまざまな形で従業員に報酬を付与する仕組みのことです。

    自社のビジョン実現に貢献する行いをした従業員に対してインセンティブを与えることでモチベーションが維持され、正当な評価がなされることへの安心感を与えることができます。全体として健全な競争を生むため、企業の成長も期待できるでしょう。

    エンゲージメント向上の好事例

    エンゲージメントの向上につながる企業の取り組み事例をいくつか紹介します。

    従業員エンゲージメントをKPIに規定 | キリンホールディングス株式会社

    2027年に向けた長期経営構想のなかで、経営戦略と人材戦略の連動を掲げたキリンホールディングス株式会社は、従業員エンゲージメントを、グループ全体の「KPI(重要業績評価指数」に規定しました。

    従業員エンゲージメントを「従業員が会社の方針を理解し、共感しているか。そのうえで自ら行動できるか」とし、従業員が考える仕事の目的(パーパス)と会社が提供する(パーパス)の共感が、人材と組織の活性化につながると考えています。

    経営戦略と人材戦略を社内・社外に説明するための対話ツールとして、従業員エンゲージメントのKPIを位置付けている点が特徴です。

    ランク付けの無い評価制度で個人の成長を後押し | アドビ株式会社

    アドビ株式会社では、2021年よりランク付けを廃止したノーレーティングの評価制度「チェックイン」を導入しました。チェックインでは、社員一人ひとりの成長を後押しすることを目指し、継続的な面談を通じて上司と部下のリレーションシップを構築します。

    定期的なコミュニケーションの場があることで、従業員が「サポートされている」と実感できるようになり、評価の納得感が向上。チャレンジに積極的になったり、個人パフォーマンスが向上したりする効果が表れています。また、離職率の大幅減、株価の上昇と、企業成長につながっています。

    エンゲージメントサーベイを実施し労働環境を改善|味の素株式会社

    味の素株式会社では、従業員の「働きがい」を測る手段として2017年よりエンゲージメントサーベイを採用。高いモチベーションを維持し、仕事に意欲的に取り組める労働環境の向上を目指しています。

    初回のサーベイでは約8割の社員が「働きがいを実感している」と回答。同社ではサーベイでの定期的な現状把握とともに、働きがいと生産性向上の取り組みとして所定労働時間の20分短縮や、「どこでもオフィス」という業務内容や場所を問わずにリモートで働ける制度の導入でテレワークを推進するなど、積極的なワークスタイルの改革に取り組んでいます。

    個人と企業のビジョンをつなぎモチベーションアップ|株式会社あつまる

    株式会社あつまるでは経営者が率先してメッセージを発信し、従業員個人のビジョンを明確にすることによって「働きがい」を創出しています。

    代表の石井氏は「リーダーを生み出す会社」を目標とし、働きがいのある会社ランキング(2020)では日本とアジア、女性ランキングの3部門でベストカンパニーに選出。

    企業理念の浸透と従業員の幸せが追及されている同社では、若手リーダー人材が次々と生まれる好循環が生まれています。

    高めあう文化で従業員同士の信頼関係を構築|株式会社コンカー

    株式会社コンカーでは、「No Feedback, No Concur」という合言葉を通して従業員同士で高めあう文化の定着を目指しています。

    日常的に改善点を伝えあいフィードバックを行うことが従業員の不満を溜めず互いに成長していける文化につながると考え、実践されている同社。そうした文化が建設的な対話を生み、従業員の心理的安全性にも結びついているといえます。

    働きやすい環境を整えてエンゲージメント向上へ

    働く環境を整えることは、エンゲージメントの向上には欠かせません。なかでも、育児や介護と仕事の両立のための補助、セミナー参加費支給といったキャリアアップ支援など、個人のニーズに合わせた福利厚生は、働きがいのある組織づくりにつながります。

    従業員に高い意欲を持って働いてもらうための施策を検討している方は、まず福利厚生の整備について考えてみるといいでしょう。

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