ビジネス構造の変革が起きている。デロイトがエンプロイー・エクスペリエンスに着目する理由


    株式会社OKANが主催する、エンプロイー・エクスペリエンスに着目した日本初の経営者と総務・労務・人事担当者が集う日本最大級のカンファレンスイベント<Employee Experience Summit>が3月7日(水)に行われました。当日はより深い内容をお届けできるようサミットの前段として、トークセッションに登壇されるゲストに、株式会社OKAN代表取締役 CEOの沢木が、バックグラウンドや実践されている取り組みを伺ったシリーズを掲載します。

    今回は「管理部門こそ花形部署へ!これからの企業経営を変えるのは攻めの管理部門!」に登壇するデロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ヒューマン キャピタル ディビジョン シニアマネジャー田中公康氏。デロイトはなぜエンプロイー・エクスペリエンスを重視するのか。また企業が取り組むべき組織づくりについて伺いしました。

    デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ヒューマン キャピタル ディビジョン シニアマネジャー

    外資系コンサルティングファーム,IT系ベンチャー設立を経て,現在は組織・人事コンサルティング部門にて,主に人事中計・要員計画,組織再編,営業改革等のプロジェクトに従事。直近では,人事・IT領域の豊富な経験を活かしてIT・モバイルを活用した営業・店舗改革などの業務改善プロジェクトを手掛けている。

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    エクスペリエンスビジネスへ変革する中で企業が成長できる組織作りが急務である

    ー現在、田中さんはデロイト トーマツ コンサルティングにてどのようなことに取り組まれているのでしょうか?

    私はもともと違う職種で働いており、デロイト トーマツ コンサルティング(以下、デロイト)に転職し、コンサルティングを担当していました。途中で一度会社を辞めて、仲間とベンチャー企業を起こした後に、またこの会社に戻り、現在に至るという経歴です。最初のデロイト時代はいわゆるIT系を担当し、ベンチャーではモバイル分野においてビジネス展開していました。その中で、テクノロジーの進化は生活もビジネスを変えるということを実感しました。そして組織人事も大きなインパクトを受けるとも思いましたね。またベンチャーを企業した経験や、アントレプレナー(起業家)の方たちの姿から、大企業のオペレーション的な働き方は、いつか行き詰まるだろうと思いました。そういったことから、デジタルテクノロジーと組み合わせて、いかに生産性高く、イノベーティブな仕事のやり方を実現するかにフォーカスしながら、今はさまざまな企業様を支援しています。

    ー御社がEmployee Experience(エンプロイー・エクスペリエンス)というキーワードをよく使われていますが、ここにフォーカスしたきっかけはあるんでしょうか?

    ここにフォーカスした理由は3つの分脈から説明できます。まず国際規模でデロイト・トーマス グループがエンプロイー・エクスペリエンスというワードを打ち出した大きな流れがあります。

    また私は、人間は経験量と質がすごく大切だと思っています。では自らそれらを向上させたいときに、従業員目線でどんなことができるか洗い出してみると、できる経験自体が少ない。マネジメント管理の考え方から全てが決められて、オペレーションを回すことに最適化の仕組みになっているからです。これはいち従業員からすると非常に窮屈ですよね。だからもっと従業員に目を向けるべきだと考えています。

    そしてビジネスの構造自体がプロダクトアウト(会社の方針や作りたいもの、作れるものを基準に商品開発を行うこと)からマーケットイン(顧客の意見・ニーズを汲みとって製品開発を行うこと)に移っています。この考え方を踏まえたときに、サービスを提供する側の人間が、プロダクトアウト的な環境下に働いていていいのでしょうか。要は、消費者目線にビジネスが移るのであれば、自分たちも従業員目線で物事を考えていかなければ、よいものを作れないということです。

    ーデロイト自体がグローバルでエンプロイー・エクスペリエンスを打ち出す背景には何があるのでしょうか?

    発想としては、先ほどのマーケットインへの流れのように、ビジネスの思想が変わってきていることにあると思います。大きな世界の中で「エクスペリエンスビジネス」という事業構造へ変革している。大きなパラダイム転換が起きてということです。だから単にエンプロイー・エクスペリエンスだけを取り出すのではなく、ビジネスが変わるなら、人も変わり、それに適した形でのマネジメントを提供し、環境を整備しなければなりません。だから組織・人事の専門家である我々としても、コンサルティングをしている中でカスタマーエクスペリエンスを優先事項にあげています。

    ーなかなかこの流れがきているからと言っても、経営者の目線が高くないとエンプロイー・エクスペリエンスに対しての施策は簡単に進まない実状があります。では改めてなぜ企業がエンプロイー・エクスペリエンスを取り組み必要があるのでしょうか。

    日本だけで考えると少子高齢化の問題が一番大きいのではないでしょうか。多くの企業が、優秀な人材が取れない、またはせっかく取れたのに辞めてしまうという課題を抱えています。昔は単に人がたくさんいました。今は真逆で、若い世代の人口は少なく、ミレニアル世代といわれるように価値観が多様化しています。

    そういった中で、企業は優秀な若手に共感してもらうミッションやビジョンなどを打ち出していかなければ、人を惹きつけることはできません。そしてこれらを口先だけでなく、体現していかなければなりません。会社の価値観に沿った形で人々が集まり、それに沿った行動やその行動を裏付けるような制度やファシリテーションなどが一気通貫で揃っていなければ証明できなくなってきているんです。だからこそ、エンプロイー・エクスペリエンスという考え方が重要になってきます。これは採用面で非常に感じることですね。

    また先ほどにもあったビジネス構造が変わっている中で、生産性を高め、イノベーションを起こしていくことをどう実現していくかが企業の成長で重要になってきます。優秀な人材を取れたとしても、その中でコラボレーションやお互いを刺激し合い新しいアイディアを生み出せる環境を作り出さなければ意味がない。ですが、多くの企業は定常業務を回すことに最適化されているので、機動的に運用できるような仕組みに変えていかなければなりません。だからこそ、働き改革や健康経営と言われていますよね。ただこの中には生産性やイノベーションといわれる「攻め」と、福利厚生や労働時間規制などの「守り」の軸があります。私は「守り」の部分はやって当たり前であり、本質的には「攻め」が大事であると考えています。

    だから会社のミッションやビジョンを実現するために、そして企業が成長するために、それに紐付いた組織を作っていくべきだと思っています。

    ー貴重なお話ありがとうございました。

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