ライフプラン設計こそガイアックスの根幹。上田社長が語る独特の社内制度と出社しがいのある場所づくり【EX Summit登壇者インタビュー】

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    株式会社OKANが主催する、エンプロイー・エクスペリエンスに着目した日本初の経営者と総務・労務・人事担当者が集う日本最大級のカンファレンスイベント<Employee Experience Summit>が3月7日(水)に行われました。当日はより深い内容をお届けできるようサミットの前段として、トークセッションに登壇されるゲストに、株式会社OKAN代表取締役 CEOの沢木が、バックグラウンドや実践されている取り組みを伺ったシリーズを掲載します。

    お二人目は、「テーマ3:なぜ急成長する企業は働く環境に投資するのか?」に登壇される株式会社ガイアックス 代表執行役社長 上田祐司氏。

    上田祐司氏
    株式会社ガイアックス 代表執行役社長

    1974年大阪府生まれ、1997年同志社大学経済学部卒業。大学卒業後は起業を志し、ベンチャー支援を事業内容とする会社に入社。一年半後、24歳で起業。30歳で上場を果たす。 ガイアックスでは、「人と人をつなげる」のミッションの実現のため、これまでのソーシャルメディア事業に加え、シェアリングエコノミー事業の拡大や関連する企業への投資を強化している。 社団法人シェアリングエコノミー協会の代表理事、また、社団法人日本ブロックチェーン協会の理事を務める。

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    株式会社ガイアックス 代表執行役社長 上田祐司氏

    強力な精神的エネルギーをメンバーからどう引き出すか

    ー(沢木)まずお聞きしたいのが従業員や働く環境に投資をする、働きやすさを考える部分に関して、ご自身が何か意図して動かれているかについてです。またガイアックスのメンバーは、そういう意識はお持ちなのでしょうか。

    (上田氏)まず、私は効率的にできることやものをよいと思っています。そして世の中に変化は常にあって、その変化の方向に世の中が動いていっていると思っています。それを素直に受け止めて、変化の方向に遅れないようにしているのですが、この部分は普段、遅れがちになっていることが多いですよね。変化に対しての感覚は共通してガイアックスのメンバーにもあると思います。

    -なるほど。その点ですと、今回EX Summitの会場となる『Ngatacho GRID』や社内マネジメントなどの取り組みは、一般的な企業とはまた違う印象があるのですが、なぜそういうアクションや共通感覚が生まれるのでしょうか?

    弊社は事業戦略のミッションに「人と人をつなげる」を掲げ、フィロソフィー(経営理念)として、「使命で動く」を置いています。企業ってさまざまなリソースを組み合わせて事業をおこなっていますが、その中の精神的エネルギーについては無限だと思っています。無限の「世の中を変えてやる!」という精神的エネルギーを投下し、有限であるお金と組み合わせることによって、事業は更に大きくなると考えています。その精神的エネルギーをメンバーからどうやって引き出すのかということを、ミッションやフィロソフィーとして大切にしています。

    ー精神エネルギーを最大化するために本当にマインド的な理念的な話もあれば、そもそも発揮できる環境や働き方の話もあり、そして「働きがい」と「働きやすさ」には因果関係があると思っています。

    「働きがい」と「働きやすさ」は近いジャンルではありますが、「働きやすさ」の逆サイドには「生きがい」があるのではないかと。これを設計するライフプランは非常に重要で、「自分は一体何のために生きているんだ」とか、「僕は何年後に何を成し遂げるんだ」をどんどん追求していきます。こういう”その人らしさ”を最大限に出していったほうがよいアウトプットに繋がるのではないでしょうか。

    たとえば人とのコミュニケーションが苦手な人は苦手のままで、朝礼が苦手な人は苦手のまま。逆に好きな人もいる。そこに対して会社的な一律感ではなく、その人の中で、自分の目指すものと一致している仕事のほうが高いパフォーマンスを発揮できると思います。

    付け加えると、若手の方が結果を出しやすいですね。それはガイアックス特有のものではなく、一般的にも。投資という意味で考えても、若手の方がパフォーマンスはよい。だから若い人が大手を振って歩かないと、確率論においても、再投資サイクルの中で損してしまいます。そういう雰囲気がガイアックスで作られています。だから「働きやすさ」という観点でいくと、若手が自然体に働くことができて、自分の夢をしっかりと話せる雰囲気作りが大切なんです。

    出社しがいのある場所をつくる

    ーなるほど。社内の取り組みや制度、Nagatacho GRIDもそこに通ずる部分はあるのでしょうか?

    通ずる部分は多いですね。社内制度の面でいうと、たとえば、私は稟議書について、内容にかかわらず全て許可を出すんです。稟議書って、伸び伸びと働くにはデメリットしかないと個人的には思っています。またガイアックスでは、部署の独立採算制を採用しています。通常は、上から部署予算を割り振るでしょうが、自部署で採算計画を作ることと引き換えに、予算の権限を与えています。

    あとは情報共有でも同じようなことが言えますね。弊社では取締役会も含めてすべての議事録を社内に公開していて、それにより上司部下の関係なく同等の情報を得ることができます。だから上司が部下に何かを必要以上に伝える・教える工程がなくなるんです。私も9割5歩ぐらい社内の状況が見えていて、この部分はすごく大切にしています。また裁量労働、かつ出社に関しても全社的に管理せず部署ごとに決めていて、クラウドソーシングの利用も推進しています。

    そして、この先を考えた時に、確実に日本企業はクラウドソーシングと競っていくことになります。なぜなら自由出社は、出勤しない=アウトプットで評価するということですから。アウトプットだけで比較する場合、社員とクラウドソーシングとの間に差はありません。つまり、自由出社は、従業員サイドではなく会社サイドにとって有利な制度なんです。ですが、自由出社によって誰もオフィスに出社しないことのリスクも感じていました。クラウドソーシングでは、組織が有機的に繋がることで生み出される価値や方向性が生まれにくい。それを解決するには出社をして欲しい…となると会社を、”出社しがいのある場所”にしなければいけない。”出社しがいがある”って何かと考えると、やはり「出会い」なのかなと。

    ーでは、Nagatacho GRIDをどのように”出社しがいのある場所”として創っているのでしょうか

    単純なミーティングですとオンライン通話で足りてしまう。”出社しがいのある場所”を創るには、出会い自体が頻繁に発生するようにしたり、ランチ会などのイベントを多く企画したりするしかないですね。GRIDは地下含めて7フロアあるのですが、ガイアックスはほぼ1フロアしか入居していないんです。極端にいうと、コワーキング施設の中にガイアックスを放り込んだようなスタイルですね。

    少し前に世の中の産業構造が変わってきて、これまでのピラミッド型組織が、末端の社員を含めたネットワーク型組織になるという話が出ていました。その時に違和感を覚えていたのですが、よくよく考えたら、すでに「組織の末端もパワーになる」という考えそのものが古くなっているのではないかと。

    ー組織という枠組みで、閉じてしまっているわけですからね。

    そうなんです。我々と、フリーランサーやクラウドソーサー、GRIDでよく出会う人達やイベントに来てくださる方、もっというと社内でも正社員と契約社員の区別がつかなくなってきている。

    たとえば福利厚生でGRIDの1階カフェでランチをディスカウントするとなった時に、「GRIDに入居している他の会社はどうします」という意見が出るぐらいです。もはや組織という形ではなく、ミッションとかフィロソフィー、「こういう世の中を作るぞ」という気持ちが場の磁力となっている。磁力に砂鉄を置くと山になりますが、その磁力がどんどん強くなって、今は大きな山になっている雰囲気があります。

    ー場所に対して投資をしている意識はあるのですか。

    投資の面だけでなく、私はビジネスモデルを作るタイプなので、GRIDの入居費やフリースペースの貸し出しなどを、収入源の一つとしています。フリースペースもイベントをやっていないときはGRIDメンバーが使えるように効率的に活用もしています。ひとつの収入源でもあり社員のための投資でもあり、ただそこにある精神としては、”コミュニティ”という意識を持っているんです。

    ーそもそもどなたがGRIDの発起人だったのでしょうか。

    弊社のメンバーで、一般社団法人シェアリングエコノミー協会の事務局長も務める佐別当ですね。ただ、以前よりガイアックスメンバーの何人かは、入居しているオフィスビルから、もっと倉庫や学校跡のようなスペースに移転すべきという気持ちを持っていました。とりあえず物件を探し始めたのですが、全然見つからず、1〜2年は腰を据えて探そうということになりました。ところが半年ぐらいたった時に、この物件がポッと出てきたんですよ。

    天王洲アイル周辺の倉庫や、大田区の小学校あたりをイメージしていたんですが、永田町で一棟丸々貸し出し、そしてこの使い込まれた感じ…これはこれで悪くないな!となりました。その時に漠然とコミュニティを作りたいというイメージが湧き上がっていました。

    ライフプラン設計こそガイアックスの根幹


    ーガイアックスさんでは今までお伺いした思想がそれぞれに浸透していて、各々が自分の考えを持って形にしていると思います。どうやったら、そういう風土ができるのか知りたいですね。

    そう仰っていただけるのはすごく嬉しいです。それは、まさに先ほどの「若手が大手を振って歩く」ということと潜在的に繋がっています。人はほとんどのケースにおいて、会社の中で劣化していってしまう。寄せては引いていく波に削られていく岩のように、ものごとについてしっかり考えなくなったり、自分の大切なものを失っていったりします。それを邪魔しないように、「フリー」、「フラット」、「オープン」にして、そしてできればライフプランも立てることによって、加速させていく。

    そして若手が活躍できる場作りを加速させる方法がもう一個あります。会社のトップや上司が何かいうのではなく、身近な人、横に座っている人が社会に切り込んでいくのを日頃から見てると、ものすごいインパクトを与えられるんですね。

    たとえば海外へ行くのを怖がっている人がいる。ですが、周りの友達がどんどん行っていたら、「じゃあ自分も」とハードルだと思わずに自然に行くことができる。それが一番重要だと思いますね。「邪魔しない」、「ライフプランを立てる」、「やんちゃな集団が周りにいる」ということが、人を”やんちゃ”にし、活躍させられると思います。そして私たちはもう後戻りできない状況なんです。この方向へGRIDも含め舵をきったので、中途半端に終わることはできないと思っています。

    ー仮に上田さんがガイアックスのあと、一般的な企業に代表としていきなり着任しました。そこをガイアックスの思想みたいにしていこうとした時に、何から取りかかりますか?

    そうですね…ライフプランですかね。

    ーそこが根幹なんですね。

    根幹かもしれないですね。

    -ちなみにライフプランを立てるのは、どのようにおこなっているのでしょう。

    創業して8年目までぐらいは、何歳ごとに、仕事面、プライベート面など60歳まで設計するシートを使っていました。徐々にアップデートしていって、事業ごとのフォーマットやパワポで表現していたりするケースもあるので、最近は形式にはこだわっていないですね。

    ー事業部でやらないという選択は?

    ガイアックスの大切な基本ルールですので全事業部がやっています。ライフプランと、コーチングの一つである報酬決定の面談を三ヶ月ごとにおこなっていて、そこで自分の給与プランを出さなければならない。ですがこれがメインではなく、ライフプランから年間計画を導いて、この三ヶ月で年間計画の何をするかを決めていきます。

    未来には色んなパターンがありますが、その時のベストプランを出してもらって、それをほぼ承認しています。低い目標を出して、給与をもらおうとする人が現れそうですが、ライフプランから入ると仕事の目線も下がらないので。だから三ヶ月ごとに未来の給与プランを見直して、事前に握るというのは数少ないガイアックスの重要度が高いルールなんです。

    ーそのライフプランや給与の面談の中で、働く環境に関するフィードバックをもらって、それが全社的に反映されていくことはあるのでしょうか。

    定期的なアンケートを取って、課題となるものを潰しています。アンケートで働く環境についての項目を入れていて、それについての回答内容をピックアップして管理部門に流していますね。

    ーありがとうございました。当日はより突っ込んだことを聞いてみようと思います。

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