業務効率化に欠かせないITツールである「グループウェア」。
「便利そうだけれど、今ひとつ機能がよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。ここでは、グループウェアの主な機能の説明に加え、導入することで得られるデメリットを解説します。今後、グループウェアの導入を検討している方は、参考にしてください。

グループウェアとは?
グループウェアとは、業務効率化を促進するためのソフトウェアのことをいいます。
複数のメンバーが関わる仕事では、円滑な意思疎通が効率化の鍵を握ります。グループウェアは、書類やスケジュールの共有、会議室など施設予約のほか、メール・チャット機能など、コミュニケーションを円滑にするためのさまざまな機能を備えています。
社内で活用するだけでなく、取引先など対外的にも活用可能です。業務効率化、生産性向上、コミュニケーション活性化といった組織の課題解決につながります。
グループウェアの代表的な機能
グループウェアは多くの機能を備え、情報共有やコミュニケーションの活性化など、さまざまな角度からグループでの協働をサポートします。以下に、「情報共有機能」「コミュニケーション機能」「業務効率化機能」の3つにわけ、代表的なグループウェアの機能についてご紹介します。
情報共有機能
社内で業務に関する情報を共有する機能です。組織内で情報を蓄積し活用するための機能が備わっています。
スケジュール管理
個人の日々のスケジュール管理とグループでのスケジュール管理が同時に行えます。上司のスケジュールを確認し、空いた時間帯にミーティングを設定するというように、日程調整を効率よく実施できます。会議の参加者に一斉に通知を送り、出欠確認ができるものもあります。
ファイル共有
文書、写真、動画といった各種ファイルを共有するための機能です。必要に応じて公開する対象と権限を設定できます。ファイルのファイルのダウンロードも可能です。
文書管理
グループウェアでは、さまざまな種類の文書ファイルを管理することができます。リアルタイムでの共同編集、履歴の管理、アクセス権限など、業務効率化のために必要な機能が備わっています。
プロジェクト管理
プロジェクトの進捗管理を行う機能です。プロジェクト進行に必要なタスクとスケジュールを可視化し、メンバーと共有。終了したタスクをフラグ立てすることで、進捗状況を一目で把握できます。
コミュニケーション機能
メンバー間のコミュニケーションを迅速化・活性化させるための機能です。社内だけでなく、社外とのやり取りでも活用できます。
WEBメール
グループウェア上で操作できるメール機能です。パソコンにメール機能をインストールする必要がなく、インターネットにアクセスできる環境であれば、デバイスを問わず利用できる点が特徴です。
チャット
社内で利用されるコミュニケーション機能です。テキストのやり取りを主体とし、メールのような件名や署名が不要なため、気軽に利用できます。複数人とのリアルタイムコミュニケーションも可能です。ファイル添付やタスク管理機能を備えているものもあります。
ポータル
ポータルとは、グループウェアのトップページをいいます。その日のタスクやスケジュール、新着メールなどの情報のほか、良く利用する機能を集約して表示できます。業務に取り組む際にその日のタスクや重要事項を確認するなど、効率的な情報収集を助けます。
社内SNS・掲示板
社内でのコミュニケーション機能です。社内SNSは、短いつぶやきにスタンプでリアクションを返すといった、社員間での気軽なコミュニケーションを促進できます。掲示板は、全社向けのお知らせの掲示や、速報性のある共有事項の掲載に適しています。
WEB会議
音声・画像を共有し、遠隔地同士で会議を実施できるWEB会議機能は、現代の働き方で重要性を増しています。グループウェアに搭載されたWEB会議機能は、スケジュールと自動で同期しているため、日程調整から会議への招待リンクの発行といった一連の流れをノンストップで行えます。
業務効率化機能
情報の共有・可視化を用いて業務を効率化し、生産性を高めるさまざまな機能が備わっています。
設備予約
社内の共有設備の予約状況を共有できる機能です。会議室、プロジェクター、社用車といった共有設備の最新の状況を共有しながら、無駄のない管理が行えます。
ワークフロー機能
ワークフローとは、購買稟議や経費精算といった各種申請の、決済までの一連の業務を効率化する機能をいいます。申請書の種類ごとにその後の自動作業を登録する、申請の承認状況を共有する、承認作業を電子化させるというように活用でき、申請作業の煩雑なプロセスを減らします。
安否確認
地震など災害時に社員の安否確認を行う機能です。リモートワークを導入し、社員が全国各地に居住する組織でも、迅速に状況把握ができます。
在席/離席確認機能
社員の稼働状況を共有する機能です。リモートワーク・在宅勤務のように離れた場所で作業する組織であったり、フレックスタイムのような就業時間が異なるチームが協業する際に役に立ちます。
todo管理
個人のタスク管理のほか、他者へ依頼したタスクを一元的に管理できます。納期、重要度、進行状況の的確な管理が可能です。
グループウェア導入の4つのメリット
情報通信技術が進化する現代では、情報のやり取りをいかに行うかが、生産性向上のポイントです。以下に、グループウェアを導入する4つのメリットを紹介します。
1.情報とノウハウの共有を促進できる
グループウェアの大きな魅力は、個人が持つ情報とノウハウの共有を、簡単に行えるようになることです。パソコンに保存した文書をメールに添付して……といった従来のステップを簡略化し、ファイル指定・共有・編集といった作業を必要に応じてスムーズに行うことができます。
都度確認をしなくても作業状況が把握でき、更新情報がリアルタイムでファイルに反映されるため、次のアクションをスピーディーに進められます。さらに、使用するツールが一元化されているため、情報を探し出す手間も大幅に激減します。他者との迅速な情報共有は、あらゆる点で業務効率化に欠かせないものといえます。
2.社内コミュニケーションの活性化につながる
グループウェアが備える多彩なコミュニケーション機能は、さまざまな面で組織のコミュニケーションを活性化させます。
仕事の連絡、相談といった業務に関することはもちろん、成功体験の共有や成果に対するリアクションなど業務に付随するやり取りを取りこぼしません。SNSや掲示板など、性質の異なる機能を適切に活用すれば、ビジョンの浸透、組織文化の形成、チームワークの増強など多様な面で役に立ちます。
情報伝達スピードが迅速化する現代では、メール・電話といった従来のコミュニケーションツールだけでは十分に対応できるとは言い切れません。複数のコミュニケーションツールを使い分けることで、スピーディーでストレスのないやり取りを実現できるでしょう。
3.多様な働き方を実現できる
さまざまな業務をオンラインで完結できるグループワークは、遠隔地からの勤務や在宅勤務など、使う人の場所を問いません。情報共有機能やコミュニケーション機能で、リモートワークに適した環境を迅速に整えられます。
4.業務のペーパーレス化が進む
業務効率化のほか、ペーパーレス化を意識する組織にもグループワークは適しています。文書、マニュアル、報告書、企画書などさまざまな情報を電子文書で共有できます。ペーパーレスな働き方が当たり前になれば、印刷費などのコスト削減にもつながります。
グループウェア導入のデメリット
スピーディーに動く組織には欠かせないグループウェア。しかし、デメリットがないわけではありません。グループウェアを導入することで新たにコストが発生します。さらに導入したあとも、社員が使用に馴染むまでには時間がかかります。「便利」「簡単」「安い」といった宣伝文句だけではなく、機能を把握した上で検討に時間をかけることが大切です。
1.導入にコストがかかる
グループウェアの料金体系はソフトによって異なります。初期費用が無料なものもあれば、比較的高額に設定されているものもあります。ランニングコストが月額定額かユーザー人数にあわせた従量課金かによっても、費用は大きく変わります。
グループウェアは社員の就業環境に大きな変化を与えるため、導入には慎重になる必要があります。導入後、費用面を理由に短期的に解約することがないよう、自社に適した料金体系のグループウェアを検討しましょう。
2.機能を使いこなすのが難しい
グループウェアの魅力は多機能であることです。しかし、機能の多さから「使いきれていない」と感じることもあります。コミュニケーション機能のように、複数のツールが存在する場合は、ツールごとの目的を明確にすることが大切です。場合によっては人によって使い方が異なり、円滑なコミュニケーションの妨げになる可能性もあります。
3.自社に適したグループウェアの検討が大変
機能が多いことから、導入後のイメージを具体的に持つ必要があります。とくに、すでに利用しているシステムとの相性は重要です。既存システムを完全に辞めるのか、それとも併用するのかによっても、適したグループウェアは異なります。時間をかけて、社員のITスキルや、社内風土に適したグループウェアを選定しましょう。
グループウェア導入をスムーズに進める4つのポイント
せっかく導入したグループウェアがうまく使われていない……そんな事態を避けるにはどうすればいいでしょうか。以下に、導入前に抑えておきたい3つのポイントをご紹介します。
1.グループウェアを導入する目的を明確にする
選定にあたり、グループウェアで解決したい組織の課題を明確にしましょう。現場とオフィスの文書の共有で業務をスピードアップさせたいのか、リモートワークを広げたいのかなど、重視する課題によって必要となる機能が異なります。
もちろんグループウェアのサービスについて情報を集めることも重要です。しかし、事前に目的をはっきりとさせておくことで、情報収集時に抑えるべきポイントが定まります。
2.クラウド型かパッケージ型か
グループウェアには、インターネットを介して利用できるクラウド型と、インストールするパッケージ型があります。近年、クラウド型のグループウェアが主流となっていますが、セキュリティの厳しい組織ではあえてパッケージ型を選択する場合もあります。
クラウド型とパッケージ型の大きな違いは、料金体系です。クラウド型では初期費用が抑えられているのに対して、月額料金が発生し、かつユーザー数の規模に応じた料金体系が設定されるのが一般的です。一方パッケージ型では、年間のライセンス価格のようにまとまった料金を支払います。そのほか、パッケージ型のほうがカスタマイズに対応している可能性が高いといった違いがあります。パッケージ型は自社の組織規模やユーザー数も考慮し検討しましょう。
3.選定に時間をかける
グループウェアは組織の働き方を変革するツールです。現場社員の作業プロセスが変わるなど、さまざまな場面で影響がでます。既存のやり方とあわせて、導入後の仕事のやり方をイメージできるようじっくりと検討しましょう。無料トライアルを活用して、グループウェアを実際に使ってみるのもいいでしょう。
4.社員の協力を得る
グループウェアの導入にあたり、既存のプロセスには変更を加える必要があります。選定の際には、現場の作業を理解する社員からヒアリングを行うなどし、導入後の現場との齟齬をなるべく失くすように努めましょう。
また、グループウェアは現場の社員がなるべく直感的に利用できるものがおすすめです。操作方法を理解するのに時間がかかっては、現場に浸透しない可能性が高くなってしまいます。わざわざサポートセンターに問い合わせたり、マニュアルを見たりしなくても、直感的に使用できるものなのかを、社員の協力を得ながら検討するのがいいでしょう。
おすすめグループウェア5選
Google Workspaceは、Googleが提供するクラウド型グループウェアです。Gmail、Googleカレンダー、ハングアウトや、Googleドキュメント、スプレッドシートなど、組織に必要なアプリケーション機能がセットで提供されています。
パソコンやモバイルといった端末ごとの専用アプリケーションを使い、利便性に優れている上、異なる端末間でも同じデータにアクセスするため業務の効率性を損ないません。セキュリティ対策、コミュニケーション活性化、生産性向上と、世界的規模で多くの企業から信頼を得ているグループウェアです。
スケジュール管理
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ファイル共有
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文書管理
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・アンケート作成
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月額サブスクリプションで最新のOfficeアプリを|
Microsoft 365
(旧: Office 365)
Microsoft 365は、WordやExcelといったOfficeアプリに加え、ファイル共有やWEB会議、スケジュール管理などビジネス向けのアプリを利用できるクラウド型グループウェアです。月額サブスクリプションで、常に最新バージョンのOfficeアプリが使用でき、文書ファイルの互換性といった問題が解消されます。
バージョン管理や更新作業が不要となり、機能と料金を比較しながらプランを選択できる点も魅力です。
スケジュール管理
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・出版物、印刷物の作成、WEBページの作成
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サイボウズが提供する中小企業向けのグループウェアです。雇用形態など、ユーザーごとの権限機能の設定が可能です。スケジュール管理、ファイル共有、プロジェクト管理、メールなど業務効率化のための基本機能のほか、ワークフローなど迅速化に欠かせない機能を備えています。
最低契約期間1ヵ月、契約は5ユーザーから可能であり、手軽な価格で導入することが可能。サイボウズが提供する他の社内システムとの連携も充実しています。
スケジュール管理
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・タイムカード、報告書、アドレス帳、電話管理
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ビジネス版LINEとも呼ばれるLINE WORKSは、LINEの使用になれた人ならすぐに始められるグループウェアです。短いメッセージやスタンプでコミュニケーションを活性化させるチャットのほか、業務効率化に欠かせない機能が一つのアプリに集約されています。
使いやすさと柔軟な料金体系で、大小規模を問わずさまざまな企業で導入されています。フリープランで機能を試し、検討してみるのもいいでしょう。
スケジュール管理
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・Bot機能、アドレス帳、アンケート
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一般企業のみならず、官公庁や金融機関など、国内で462万ユーザーを誇るグループウェアです。業種や規模を問わず、どのような組織にもフィットした機能を備えています。また、クラウド型かパッケージ型かを選べるのも特徴です。
国産自社開発という点をアピールポイントに、日本企業の働き方に合わせた設計を行っています。
スケジュール管理
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・アンケート、経費精算、備品管理、来訪者管理等
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自社に合ったグループウェアで業務効率化を推進しよう
業務の効率化を促進するのに、グループウェアは大きな効果をもたらします。ただし、その機能はサービスによって異なります。そのため、「何のためにグループウェアを導入するのか」という目的を明確にしたうえで、検討するのが重要なポイントです。
