時間単位年休を活用して有給休暇の取得率アップへ!制度の導入方法・メリット・注意点を理解しよう

    労働基準法第39条により事業主は従業員への有給休暇付与が義務付けられています。2019年4月からは従業員が年間5日の有給休暇を取得することが義務化されました。しかし日本の有給休暇取得率は50%前後と低い状態が続いており、まだまだ休みを取りづらいのが現状です。

    一方、従業員のライフスタイルも変化しており、子育てや介護をしながら働く人も増えてきました。このような背景から企業には今までよりフレキシブルな休暇制度が求められています。

    「時間単位年休」は時間単位での年次有給休暇を認めることで、年次有給休暇取得率のアップと多様化する従業員のライフスタイルの支援が実現できます。この記事では時間単位年休の概要、メリット、導入の際におさえておきたいポイントなどを詳しく解説します。

    有給休暇の義務化については以下の記事をご覧ください。


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    時間単位年休とは

    時間単位年休とは、2010年に改正労働基準法により導入された、労使協定を結ぶことで年間5日を上限として時間単位で休みを取得できる制度のことです。

    時間単位年休が導入された背景には、日本の有給休暇取得率が低いという問題があります。厚生労働省が発表した資料によると、2020年度までに年次有給休暇取得率が70%を越えることが目標です。しかし日本の年次有給休暇取得率は約50%で、まだまだ目標まで大きな乖離があります。

    そこで2010年の改正労働基準法で導入されたのが時間単位年休制度です。時間単位年休では1時間単位で年休を取得することができるため、丸1日休むと業務が滞ったり、同僚への負担が気になるという従業員でも休みやすくなります。また、細かく休みを取得できるため、通院や役所への用事なども済ませやすくなり、従業員の満足度も上がることが期待できます。

    参照:厚生労働省

    時間単位年休は年5日以内

    労働基準法第39条で定められた年次有給休暇は、従業員の心と体の疲れをリフレッシュさせるという目的があります。まとまった日数の休暇を取得するという年次有給休暇制度本来の趣旨を踏まえつつ仕事とプライベートの調和をとるという観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにすることを目的として、年次有給休暇を5日の範囲内で時間単位で取得することができます。

    例えば、年次有給休暇が年間10日ある従業員の場合、10日のうち5日分を時間単位年休として使用することができます。

    時間単位年休の導入は任意

    時間単位年休を導入するかどうかは企業側の任意のため、企業によっては時短単位年休が取得できないこともあります。通常業務に支障をきたすことが想定されたり、規律を守るために導入しない企業もあれば、年間5日以上の有給休暇取得の義務をクリアするため積極的に時間単位年休を取り入れる企業もあり、考え方は様々です。

    時間単位年休を、制度として取り入れる場合は、使用者と従業員代表の間で合意が成立し、労使協定を結ぶ必要があります。

    半日休暇と時間単位年休の関係

    午前休・午後休など、半日単位で年次有給休暇の取得が認められている企業もありますが、実は法律上で半日休暇という明確な制度はありません。雇用契約や就業規則で企業が独自に定めた場合に初めて従業員が半日休暇制度を利用できます。

    そして、半日単位の有給休暇は制度を廃止することなく、時間単位年休と併用することができます。時間単位年休は、年間5日以内で使用しなければなりませんが、半日単位の有給休暇は使用上限がありません。

    時間単位年休のメリット4つ

    時間単位年休は従業員にとって便利なだけでなく、企業にとってもメリットがあります。ここからは時間単位年休の具体的なメリットを詳しくお伝えします。

    有給休暇の消化率が上がる

    半日、1日といった有給休暇の取得は職場の上司・同僚の目が気になるという理由から取得する人が少ないのが現状です。従業員にとって、まとまった休みを取ることは容易ではないのです。しかし、時間単位で年休を取得できれば、業務にそれほど支障をきたしません。このような理由から有給休暇の消化率が上がることが期待できます。

    休みが短くて済む

    全ての従業員にとって時間単位年休は便利な制度です。時間単位年休を使えば「朝ちょっと役所の手続きに行きたい」、「銀行に用事がある」、「通院のために1時間だけ早く帰りたい」などの場合にも活用できます。

    企業にとっても半日従業員が休むところ1〜2時間の休みで済むため、リソースの確保ができます。このようなことから時間単位年休は企業・従業員どちらの観点からもメリットがある制度だと言えます。

    育児・介護中の従業員の支援になる

    育児や介護をしながら働く従業員も増えてきました。時間単位年休制度があることで従業員の「仕事を1時間早く切り上げて子どもを予防接種に連れて行きたい」、「家族の通院に付き添ってから出社したい」などの希望が叶いやすくなります。ワークライフバランスが取りやすくなるため、従業員の育児・介護離職を減らすことができるでしょう。

    採用で優秀な人材を確保しやすくなる

    時間単位年休は採用の際に福利厚生面でのアピールポイントとなります。フレキシブルな働き方を導入していて働きやすそうというイメージから企業のイメージアップにつながり、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。

    時間単位年休の導入にあたって決めること

    時間単位年休を導入する場合にはまず就業規則による規定を行った後、使用者と従業員代表との間で合意が成立すれば労使協定を結ぶ必要があります。
    就業規則に盛り込むべき内容は以下の通りです。

    ・時間単位年休を取得できる従業員の範囲
    ・時間単位で取得できる有給休暇の日数
    ・時間単位で取得できる有給休暇の1日の上限時間数
    ・1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数
    ・賃金の計算方法

    参照:厚生労働省年次有給休暇取得促進特設サイト

    対象従業員の範囲

    制度の対象となる従業員の範囲を決めます。一部の従業員のみ制度の対象となる場合は、労使協定により、その範囲を定めなければなりません。ただし取得目的のみで対象範囲を定めることはできません。

    例えば、工場のラインで働く従業員が時間単位年休を取得した場合、通常の企業運営が困難になる場合があります。このような場合は、工場ラインの従業員は制度の対象外とすることができます。一方、育児中の従業員のみ、時間単位年休が取得できるということはできません。なぜならこれは取得目的による制限だからです。

    時間単位年休の日数

    上限を5日としてその範囲内で定めます。前年度のからの年次有給休暇の繰越があっても、この繰越分を含めて5日です。年次有給休暇の本来の趣旨は従業員がまとまった休暇を取ること。そのためたとえ年次有給休暇が20日あったとしても、年間5日以内で定めなければなりません。

    時間単位年休の1日の時間数

    1日分の年次有給休暇に対応する時間数を所定労働時間数を基に定めます。
    具体例をあげて解説します。

    例えば、1日の所定労働時間が7時間30分と仮定した場合。この30分は切り上げとなり、7時間30分を1日8時間として計算します。時間単位年休は5日が上限なので、8時間×5日=40時間分の時間単位年休が取得可能です。7時間30分×5日=37時間30分を切り上げて38時間ではないため注意してください。

    ○正解: 8時間(7時間30分を切り上げ) × 5日 = 40時間
    ×不可: 7時間30分 × 5日 = 38時間(37時間30分を切り上げ)

    1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数

    時間単位年休はフレキシブルな働き方を実現する制度のため、取得単位も1時間ごとではなく2時間単位などで定めることができます。その場合は労使協定で規定が必要です。注意点として1時間未満の単位で時間を定めることはできません。また1日の所定労働時間と同等・それ以上に定めることも不可です。

    以下の表は所定労働時間が8時間、年次有給休暇が20日、時間単位年休を5日取得したときの運用イメージを図にまとめました。

      年次有給休暇残り  
      日数 時間
    (1日8時間)
    時間単位年休残り時間
    (5日分=8時間×5=40時間))
    取得前 20日   40時間
    3時間の年休取得 19日 5時間 37時間
    1日の年休取得 18日 5時間 37時間
    6時間の年休取得 17日 7時間 31時間
    5時間の年休を5回取得 14日 6時間 6時間
    14日の年休を取得 0日 6時間 6時間
    6時間の年休取得 0日 0時間 0時間

    参考:改正労働基準法

    賃金の計算方法

    時間単位年休の1時間単位の賃金額は以下のいずれかをその日の所定労働時間数で割った金額になります。

    1.平均賃金
    2.所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
    3.標準報酬日額 (労使協定が必要)

    1〜3のいずれにするかは日単位の年次有給休暇取得の場合と合わせ、就業規則に定めておきましょう。

    時間単位年休運用の注意点2つ

    時間単位年休は通常の年次有給休暇と違う点があるため取り扱いには注意が必要です。

    計画年休はできない

    「計画年休」とは、労使協定に基づき企業側が従業員の年次有給休暇取得日をあらかじめ指定できる制度です。年次有給休暇の付与日数から5日を超える部分についてを対象とし、企業側は従業員を計画的に休ませることができます。

    一方、時間単位年休は、従業員が申請した時季に年次有給休暇を取得させる制度です。このため企業は時間単位年休を計画年休の対象とすることはできません。

    時季変更権について

    「時季変更権」とは年次有給休暇取得により正常な企業運営ができなくなる場合、企業側が従業員の休暇取得時季を変更できる権利のことです。時間単位年休も年次有給休暇のため、正常な企業運営ができなくなる場合には、企業による時季変更権が認められます。

    ただし、企業側が日単位での有給休暇取得請求を時間単位に変更したり、時間単位年休請求を日単位に変更することはできません。

    時間単位年休を活用して働きやすい環境に!

    年次有給休暇を細かく取得できることは、従業員の働きやすさにつながります。2019年4月からは従業員が年間5日有給休暇を取得することが義務化されました。時間単位年休を活用し自社に合ったフレキシブルな有給休暇取得のルールを整備することで、企業も従業員も安心して働き続けられる職場環境になるでしょう。

    有給休暇の義務化で変わることについてはこちらの記事をご覧ください。

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