メンタルヘルス・マネジメント検定とは?合格率・職場への活用方法も紹介

    目次

    ストレス社会の現代において、メンタルヘルス分野の知識やスキルを持つ人の需要が高まっています。ストレスや心の不調による求職者や退職者を増やさないために、多くの企業が職場環境を整えることに力を注いでいるのです。また、メンタルヘルス問題を放置しておくと、従業員の生産性が低下したり、場合によっては企業の信用問題を問われる控訴に発展する場合も。

    一方で従業員のメンタルヘルスが良好だと、高い生産性が期待でき企業経営にとってもプラスになります。メンタルヘルスの観点からみた職場改善や指導が求められているいま、注目されている資格がメンタルヘルス・マネジメント検定試験です。

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    メンタルヘルス・マネジメント検定試験とは

    メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、大阪商工会議所と施工商工会議所が主宰する検定試験資格です。この資格は働く人たちの心の不調の未然防止と活気ある職場づくりを目指して、職場内での役割に応じてメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法を習得するためのものです。

    メンタルヘルス・マネジメント検定試験ができた背景は、仕事や職業生活に対しストレスを抱えている人が増加傾向にあることがあげられます。いま日本の企業では、心の不調による休職や離職が増加しているのです。働く人たちが自分の能力を発揮し、活躍するためにはメンタルヘルス・マネジメントへの取り組みが一層重要になっています。

    心の健康管理には、ひとりひとりが自らの役割を理解し、ストレスやその原因となる問題に対処していくことが大切です。その知識やスキルを体系的に学習できるのが、メンタルヘルス・マネジメント検定試験なのです。

    メンタルヘルスとは?

    そもそもメンタルヘルスとは、心の健康や精神衛生のこと。最近は働く人のストレスや心理的負担を減らし、心の病気や不調を未然に防ぎ、心身ともに充実した健康状態を目指そうという意味合いでも使われます。

    現代において、メンタルヘルスの問題は、誰にでも起こる可能性があります。慢性的な人手不足の企業も多く、ストレスを感じる働く人は年々増加傾向にあり、実際に日本におけるメンタルヘルス不調による労災請求件数は毎年増加しています。このような背景から「メンタルヘルス」という言葉が広く知られるようになりました。

    参照:厚生労働省「令和元年度「過労死等の労災補償状況

    メンタルヘルス・マネジメントの目的

    メンタルヘルス・マネジメントの目的は、従業員が仕事で自分自身の能力を発揮して活気ある職場にすることです。この中心的な役割を担うのが、経営層や人事総務部門。具体的には、経営層や人事総務部門が産業保健体制の整備、メンタルヘルス専門機関との連携、各種教育などの年間スケジュール立案などを行ないます。

    また、現場において重要な存在である管理職はメンタルヘルスのラインケア(※)を学ぶことで、部下の状況に配慮した行動をとることが求められます。

    ※責任者や上司が、部下をケアし、職場環境を改善していく取り組み

    メンタルヘルス・マネジメントを学習する4つのメリット

    メンタルヘルス・マネジメントが企業にとって大切なことはご理解いただけたかと思いますが、実際に知識をつけることでどんなメリットがあるのでしょうか。総務人事担当者がメンタルヘルス・マネジメントを学習するメリットは以下の4つです。

    1,職場のメンタルヘルス対策ができる
    2,職場全体のモチベーションがあがる
    3,キャリアアップにつながる
    4,自分のメンタルケアができる

    ここからはそれぞれのメリットについて、詳しく解説します。

    1,職場のメンタルヘルス対策ができる

    メンタルヘルスの専門的な知識を身に付けることで、従業員の様子がいつもと違えば適切に対応することができます。従業員のメンタル不調に対しては、同じ部署の上司や同僚がそのサインに気づき、適切に対応していくことが必要です。正しい知識を身につけておくことで、従業員の心の健康管理をスムーズにサポートすることができ、企業全体にとっても事故・休職・退職などのリスク管理につながります。

    また、従業員が気兼ねなく相談できる環境を整え、人間関係や業務内容などどのような相談がきても、メンタルヘルスの観点から改善する方法をみつけることができるようになります。

    2,職場全体のモチベーションがあがる

    強いストレスなどにより精神的余裕が失われた職場では、従業員の生産性が低下するなど悪影が発生します。メンタルヘルスの知識で職場の雰囲気を明るいものに変え、職場のモチベーションを高めるムードメーカー的存在がいることで、活力ある職場づくりにつながるでしょう。

    3,キャリアアップにつながる

    メンタルヘルス・マネジメントの知識を持つ人は、正しい知識とスキルを活かして従業員からさまざまな相談を受けやすくなります。問題に対し適切に対応できるようになるため、従業員の心の健康状態を保つ上で職場において欠かせない存在となるでしょう。その結果、社内からよい評価を受けやすくなります。

    4,自分のメンタルケアができる

    「自分の健康は自分で守る」という考え方を理解し、普段からストレスに対するセルフケアができるようになります。そのため、ストレス対策を早期に行ない、一定したパフォーマンスを出せるようになります。

    メンタルヘルス・マネジメント検定試験のコース内容の詳細

    メンタルヘルス・マネジメント検定試験には3つのコースがあります。目的、対象者、到達目的、出題内容など、以下の表にまとめました。メンタルヘルス・マネジメントの知識を活かして自社におけるメンタルヘルスケア計画立案や実施ができるようになることから、おかんの給湯室の読者である人事総務部門や経営層の方は、I種(マスターコース)を勉強されることをおすすめします。

    コース

    I種
    マスターコース
    II種
    ラインケアコース
    III種
    セルフケアコース
    対象 人事労務管理スタッフ
    経営幹部
    管理監督者(管理職) 一般社員 
    目的 社内のメンタルヘルス対策の推進 部門内、上司としての部下の
    メンタルヘルス対策の推進
    組織における従業員自らの
    メンタルヘルス対策の推進
    到達目標 自社の人事戦略・方針を踏まえたうえで、
    メンタルヘルスケア計画、
    産業保健スタッフや他の専門機関との連携、
    従業員への教育・研修等に関する
    企画・立案・実施ができる
    部下が不調に陥らないよう普段から配慮するとともに、
    部下に不調が見受けられた場合には安全配慮義務に
    則った対応を行うことができる
    自らのストレスの状況・状態を把握することにより、
    不調に早期に気づき、自らケアを行い、
    必要であれば助けを求めることができる
    出題内容 1.企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
    2.メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
    3.ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
    4.人事労務管理スタッフに求められる能力
    5.メンタルヘルスケアに関する方針と計画
    6.産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
    7.相談体制の確立
    8.教育研修
    9.職場環境等の改善
    1.メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
    2.ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
    3.職場環境等の評価および改善の方法
    4.個々の労働者への配慮
    5.労働者からの相談への対応 (話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
    6.社内外資源との連携
    7.心の健康問題をもつ復職者への支援の方法
    1.メンタルヘルスケアの意義
    2.ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
    3.セルフケアの重要性
    4.ストレスへの気づき方
    5.ストレスへの対処、軽減の方法
    問題構成・時間 選択問題:2時間
    論述問題:1時間
    選択問題:2時間  選択問題:2時間
    配点 1.選択問題 100点
    2.論述問題 50点
    ※論述問題は、実務を遂行するうえで必要な知識とその応用力、総合的判断力などを問います
    100点 100点
    合格基準 1,2の得点の合計が105点以上。
    但し、論述問題の得点が25点以上。
    70点以上の得点 70点以上の得点

     

    参照:メンタルヘルス・マネジメント検定試験「コース内容

    受験者数と合格率について

    2019年11月実施に実施された受験者数と合格率について以下の表にまとめました。毎年、
    II種(ラインケアコース)の受験者数が1番多いことから、管理職の方の関心が高いことが分かります。

    経営層や総務人事向けのI種(マスターコース)は他と比べて合格率がぐっと下がります。試験の形式については次に解説しますが、これはI種にのみ論述問題があることが関係していると考えられます。しっかりと専門知識を身につけなければ合格できない試験だということがいえるでしょう。

    第27回 2019年11月3日実施 公開試験
    コース 受験者(人) 実受験者(人) 合格者数(人) 合格率(%)
    I種(マスターコース)
    2,027 1,620
    252 15.6
    II種(ラインケアコース) 11,088 9,936 4,302 43.3
    III種(セルフケアコース) 5,814 5,248 3,501 66.7

    参照:メンタルヘルス・マネジメント検定試験「公開試験結果・受験者データ

    試験の日程と時間について

    I種(マスターコース)は毎年11月、年1回受験することが可能です。II種(ラインケアコース)とIII種(セルフケアコース)は毎年3月と11月の年2回受験のチャンスがあります。

    また、試験時間は以下の通りで各コースごとに開始時間が違うため、異なるコースを同日に受験することもできます。

    I種(マスターコース) II種(ラインケアコース) III種(セルフケアコース)

    前半:選択問題
    2時間(集合時刻 13:30)
    後半:論述問題
    1時間(集合時刻 16:00)
    ※選択問題と論述問題の試験の間に
    若干の休憩をはさみます
     

    2時間(集合時刻 10:00)
    選択問題

    2時間(集合時刻 13:30)
    選択問題

    受験費用と受験資格について

    各コースの受験費用は以下の通りです。

    I種(マスターコース):11,000円(税込)
    II種(ラインケアコース):6,600円(税込)
    III種(セルフケアコース):4,400円(税込)

    また、各コース共通で学歴・年齢・国籍・性別に制限はありませんので、誰でもチャレンジできる資格です。

    他のメンタルヘルス関連資格との違い

    メンタルヘルス関連の資格は世の中にいくつかあります。ではメンタルヘルス・マネジメント検定試験とその他のメンタルヘルス関連との違いは一体何でしょうか。ここからは産業医、メンタルケア心理士、ケアストレスカウンセラーとの違いについて解説します。

    産業医との違い

    メンタルヘルスに対応する人というと、企業の産業医を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。産業医とは、医師であることに加えて、従業員の健康管理等を行なうために必要な医学に関する知識について、厚生労働省令で定める要件を備えた人でなければなりません。

    産業医はメンタル不調がある従業員が、医学的な視点から業務に就けるか就けないかを判断するのが主な役割です。

    メンタルケア心理士との違い

    メンタルケア心理士とは、医療・福祉・教育・産業・公共サービスなどで相談援助やカウンセリング、心理療法によるカウンセリング業務における基礎能力を有することを証明する資格です。

    一方メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、その知識を活かし従業員の心の不調に対し適切な対応方法を学んだり、計画を立案・実行するための知識を身に付けるための資格です。

    メンタルケア心理士とはカウンセリングをするかしないかという点において、大きな違いがあります。

    ケアストレスカウンセラーとの違い

    ケアストレスカウンセラーとは、メンタルヘルスに関する基本知識を身につけ、ストレスマネジメントによって心の病気の予防・実践方法を学ぶ資格です。

    青少年・高齢者・企業中間管理職の3つの対象者ごとに、実践的なケアサポート能力を習得します。メンタルヘルス・マネジメント検定試験の対象者は従業員全体のため、この点に大きな違いがあります。

    メンタルヘルス・マネジメント検定試験合格後の職場への活かし方

    メンタルヘルスの知識はさまざまな企業で求めらているため、スキルを多様なシーン活かすことができます。

    健康経営が実現できる

    従業員が適材適所で活躍し、生産性の高い業務を行なうためには「健康経営」の実現が不可欠です。健康経営とは、従業員1人1人が心身ともに健康でいきいきと働くことができる状態のこと。

    厳しい経済環境や日々変わる社会情勢の中で、さまざまなクライアントのニーズに対応するには従業員の心身共に健康でいられる職場づくりが求められます。そのためにメンタルヘルス・マネジメント検定試験を活用し、メンタルヘルスケアの理解を深めている企業もあるのです。

    メンタルヘルス不調の従業員をサポートできる

    メンタルヘルス知識を体系的に学ぶことで、よりメンタルヘルス・マネジメントについて正しい対処ができるようになります。

    たとえばメンタル不調で休職した従業員が復帰する際、付け焼き刃の知識では対応に不安が残ってしまいます。メンタルヘルス・マネジメント検定試験の勉強を通して、ストレス反応の種類やその背景も体系的に学習るすことが可能です。その結果、復帰した従業員にも自信を持って対応することができるのではないでしょうか。

    従業員のメンタルヘルス不調を未然防止できる

    産業医との連携を密にすることで、メンタルヘルス不調の従業員をサポートしている企業でもメンタルヘルス・マネジメント検定試験が取り入れられています。なぜなら、メンタルヘルスを未然に防ぐことが重要だと考えられているから。メンタルヘルス不調になった後、どのようにサポートするかも大切ですが、それを未然に防ぐことも非常に重要なのです。

    学習を通して、メンタルヘルスに関するさまざまな理論と問題解決のための多様なアプローチについて体系的に学ぶため、実際の現場でもメンタル不調が心配な従業員に対し、知識を活かして対応することができます。また、産業医をはじめとする産業保健スタッフとの連携の重要性について学ぶことで、適切に専門家に相談し早期サポートを実現できるのです。

    企業の発展のためにもメンタルヘルス対策は必須

    経営者や総務人事部門にとって、従業員の心の健康問題はとても重要な課題であり、「働き方改革」でも従業員のメンタルヘルス対策は重要なポイントとなっています。

    企業の将来的なビジョンや成長戦略、生産性向上などは全て従業員の健康の上に成り立っており、従業員1人1人の活躍がなければ企業の発展は望めないのです。

    いままで以上に企業が発展していくためにも、経営者・総務人事担当者・管理者が協力し合い、メンタルヘルス対策に取り組む必要がある時代だといえます。そのメンタルヘルスについて正しい知識を身に付けるために、メンタルヘルス・マネジメント検定試験の受験はよいきっかけになるでしょう。

     

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