「もし、オフィス空間にカフェスペースを導入したら、どんな効果があるだろう??」
本記事は、オフィスや事務所のカフェスペースを導入することを検討している、またはカフェスペース設置プロジェクト担当になった人・企業の人事・労務・社員の健康や生産性向上やコミュニケーションの強化を願う人たちのための記事です。きっと、オフィスにカフェがあったらいいな、と願わない人はいないでしょう。
実は、今、オフィスへのカフェスペースの設置をしている企業が徐々に増えています。「え、そうだったの!」と思われた方もいるのではないでしょうか? なぜ、今、オフィス空間へのカフェスペース設置が注目され、増えているのか?
本記事では、その時代背景にも触れながら、オフィス・事務所のカフェスペースの目的やメリットを伝え、事例やデザイン・工夫についてまとめています。オフィスへのカフェスペースについて知りたい方はもちろん、設置プロジェクトのリーダーになった方まで、きっと参考になる記事となっているはずです。

カフェスペースを設ける企業が増えている理由
それではまず、なぜ、今、オフィス・事務所へのカフェスペース設置をしている企業が増えているのか? について見ていきましょう。企業がカフェスペースを設置する理由を知ることで、あなたがオフィスへのカフェスペースを設置する目的も、よりクリアになるはずです。
従業員エンゲージメントを高める必要性
ずばり一言で言うのなら、オフィス空間へのカフェスペース設置が増えている理由は、従業員エンゲージメントを高めていく必要性が企業側に出てきたからだといえます。従業員エンゲージメントとは何か? 従業員エンゲージメントとは、従業員が自身の企業へ抱く愛着や思い入れを表したり、目標達成に向けての自発的な貢献意欲のことをいいます。
従業員が自身の企業へ愛着や思い入れがあったり、目標達成に向けて自発的に動いてくれたらどうでしょうか? きっと生産性も高い状態でしょうし、従業員の定着度合いも高いと思いませんか?
もちろんこれまでもずっとこういったことは企業にとって必要なものではあったとは思います。しかし最近になって、この従業員エンゲージメントの必要性がこれまでよりも一層高くなってきているのです。それは一体なぜだと思いますか? そう、それは労働人口減少と中途採用市場の活発化が起きているからです。
労働人口減少、中途採用市場の活発化
労働人口減少と中途採用市場の活発化。これは、おそらく多くの企業ですでにこの問題に取り組まざるを得ない状況になっていると想像します。言うまでもないことかもしれませんが、日本の労働人口は減少し、今後も現象の一途をたどると予測されています。
「国立社会保障・人口問題研究所」の推計結果によれば、将来の生産年齢人口は2051年には5,000万人を下回ってしまう予測が出ています。
引用:日本の将来統計人口|国立社会保障・人口問題研究所
2051年なんて遠い未来のような気もしますが、近い将来のような気もしてきませんか?
未来予測は置いておいたとしても、現時点でも既に企業側は従業員の定着のための努力をしないと、企業に従業員が定着しません。そのもう一つの原因が、中途採用市場の活発化です。
以前は転職というのはよっぽどのことがなければしない時代だったと聞きますが、今や20代の若手や30代だけではなく、40代、50代であっても中途採用市場に流れ出るような時代になりました。
有効求人倍率は、バブル最高期の1.46倍を超え、2018年8月31日時点では、厚生労働省の発表によると有効求人倍率は1.63倍となっています。
引用:年次経済財政報告|内閣府
また、昨年ニュースになった交通誘導員の有効求人倍率は、なんとまさかの99.9倍。
こんな状況ですから、採用は非常に厳しく、また企業側は従業員に離職されてしまうと、労働力の補填ができず、業務のカバーをすることになる従業員の負担が大きくなり、さらに次の離職の温床となってしまうという負のスパイラルが起きかねません。こうした背景から、企業としての「働き方改革」、つまり従業員の満足度、生産性向上などのための取り組みの必要性が出てきているのです。
参考:働き方改革まとめ!事例・助成金・メリット情報を網羅
カフェスペース設置のメリット
オフィスにカフェスペースを設置する企業が増えている理由を知り、あなた自身がオフィスへのカフェスペース設置に対する目的や、自社に何が必要なのか、見えてきましたでしょうか? それではこれから、オフィスへのカフェスペース設置にどのようなメリットがあるのかを見ていきたいと思います。
社内コミュニケーションの活性化
オフィスにカフェスペースがある一番のメリットは、やはり社内コミュニケーションの活性化ではないでしょうか? オフィスにカフェスペースを設置している企業のほとんどが、社員同士の「社内コミュニケーションの活性化」を口にしています。
今はなかなか聞かない言葉になりましたが、タバコミュニケーションという言葉がありましたね。もう死語かもしれませんが、やはりオフの場でのコミュニケーションの場はとても大切なものです。(タバコを吸わない人は分からないかもしれませんが…)これ以外にも、社内レクリエーションなどのオフの場でのコミュニケーションがきっかけになって、これまでコミュニケーションを取らなかった人とのコミュニケーションが増えて、いろんなアイデアを手に入れることができたという経験がある人は多いはずです。
社内コミュニケーション活性化は、業績へも好影響を与えてくれるのです。
リフレッシュによる生産性向上
次にあげられるメリットは、リフレッシュによる生産性向上です。言うまでもないことかもしれませんがが、仕事中の休憩、気分転換によるリフレッシュは非常に大事で、生産性にも影響を及ぼします。
メンタルヘルス対策を行なっている企業も多いと思いますが、オフィス空間へのカフェスペース設置がその対策の一つにもなっている会社もあるようです。平成24年の厚生労働省による労働者健康調査によると、職場環境でのストレスの一番の原因は、職場の人間関係だというデータも出ています。※
つまり、オフィスにリフレッシュスペースとしてカフェを設けることは、社員のメンタル的なリフレッシュや生産性の向上に繋がるということです。また、会社から社員の健康や精神面での健康を考えているというコーポレートメッセージにもなることでしょう。
※参照:厚生労働省|労働者健康状況調査
優れた社員の確保が出来る
オフィス空間にカフェスペースがあるのは、採用にも絶大な効果を発揮します。オフィスへのカフェスペースを設置している企業のほとんどの企業の採用ページに、オフィスのカフェスペースが掲載されています。
それもそのはず。きっとあなたもそうだと思いますが、同じぐらいの志望度の会社が2つあったとして、一方には社内にカフェスペースがあり、もう一方にはないとしたら? きっと、数ヶ月後にそこで働いている自分の姿を想像して、カフェスペースがある会社で働くのに憧れてしまうのも無理がないことではないでしょうか?
実際にそのようにして入社を決めたという声を聞いたこともあります。もちろん、それだけを狙ってオフィスにカフェスペースを設置はしないでしょうが、副次的な効果として十分考慮してもいいレベルのメリットといえるでしょう。
健康問題の解決
1日の大半の時間を過ごすオフィスがより良い空間になることは、社員にとって健康に繋がります。健康といえば、きっと誰もが食事・睡眠・適度な運動、そしてリラックスと答えるでしょう。
オフィスのカフェスペースに関していえば、上述した社員同士でのコミュニケーションによるストレス発散や、コーヒーブレイクによる気分転換になるでしょう。(適度な仮眠がOKということであれば、睡眠による健康にも繋がるかも!?)そして企業によっては、最近注目を集めている食の福利厚生を活用して、社員の健康問題の解決に取り組んでいます。
企業がオフィスにカフェスペースを設置する理由と、設置することによるメリットを見てきたところでいよいよオフィスのカフェスペース設置事例を見て参りましょう!
オフィス・事務所のカフェスペース事例
それでは、みなさまお待ちかね(!?)オフィスのカフェスペース事例について見ていきましょう。
1. 株式会社ドリコム
株式会社ドリコムには、渋谷にあるカフェ「ON THE CORNER」がプロデュースする「D ON THE CORNER」というカフェがオフィス内に併設されています。こちらのカフェでは、社員はコーヒーを福利厚生価格で利用可能となっているようです。プロのバリスタも常駐しており、本格的なコーヒーを楽しむことができるようです。
仕事はもちろん、リラックスする場として、社内外の方とのコミュニケーションの場として、マルチに活躍しているスペースになっています。また、こちらのスペースを活用して、新卒説明会や勉強会なども行っているようです。
参照:中途採用ページ|株式会社ドリコム
2. ヤフー株式会社
Yahoo! JAPANのオフィス内に誕生した日本最大級のコワーキングスペース「LODGE」。ヤフーは従業員の働きやすさや健康、そしてアイデアを生み出しやすくするために様々な工夫をしていますが、その一つがオフィスへのカフェスペース設置です。
『!(びっくり)』を生み出す場所」というコンセプトの「LODGE」は、コワーキングスペースとして、従業員が業務を行えるだけでなく、社外の方も登録をすれば利用できるようです。利用者同士を結び付けるコミュニケーターを設けることで、従業員と社外の人が情報交換や新たな協業を生み出していける仕組みとなっています。広さは1,330平方メートルのスペースに、カフェや会議室、キッチンなども設けることで、打ち合わせやイベントなどで多目的に利用できます。東京のど真ん中、アクセス抜群の好立地に、広さは1,330平方メートル。開放感にあふれ、窓からの展望も素晴らしい空間です。
また、ヤフーには社員食堂にも取り組んでおり、食事を通じて従業員の健康を支援しています。そして、頭をスッキリさせ集中力をあげるために従業員が好きな時に利用できる「仮眠スペース」も設置しているようです。
参照:LODGE|Yahoo! JAPANのオフィス内に誕生した日本最大級のコワーキングスペース
3. 株式会社 VOYAGE GROUP
株式会社 VOYAGE GROUPには、「近未来的海賊の隠れ基地」をコンセプトに設計された社内BAR「AJITO」が存在します。なんでも、会社の規模が大きくなり社員数も150人を超えてきたころ、「社員同士が社内でもっと熱く議論できる場所が欲しい」「コミュニケーションが生まれる場所が欲しい」という声が上がり社内BAR構想が企画されたとのこと。
使われないスペースになってしまっては意味がないと、内装は徹底的にこだわったものに仕上げ、更には定時後18:30以降は無料でお酒が飲めるようにしたそうです。仕事終わりにふらっと立ち寄れるBARとしての使われ方以外にも、会議や商談、勉強会、社外の方を招いた交流会など様々な形で幅広く利用されているようです。株式会社 VOYAGE GROUPの社員のみなさまにとっては、なくてはならない場所となっているんですね。
参照:AJITO|株式会社VOYAGE GROUP
スペース設置時に利用したいサービス
ここまで、オフィスへのカフェ設置の目的やメリット、そして事例を見てきました。事例だけにフォーカスしてしまうと、「こんなのはできない」と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし、目的やメリットを見てみるとどうでしょうか?
ここでは、オフィスへのカフェスペース設置による目的やメリットにフォーカスして、オフィス空間へのカフェスペースの効果を上げたり、代わりになるようないくつかのサービスを紹介したいと思います。
1. お惣菜自動販売機|オフィスおかん
オフィスおかんは新しい食の福利厚生サービスとして注目を集めています。
お惣菜を陳列する自動販売機と、お皿やお箸などが入った専用ボックスなど食事をするために必要なものがそろっているので、24時間いつでも好きな時に好きな量を1品100円という手軽な値段で食べることができます。
<参考記事>オフィスおかんって?オフィスおかんの評判・料金・提供エリアは?導入事例や効果を徹底解説
利用エリアは全国。現在3〜5,000人超の従業員規模、1,200社が利用しています。
期待効果:社内コミュニケーションの活性化、リフレッシュによる生産性向上、優れた社員の確保が出来る、健康問題の解決
2. おふぃす de Café|UCC上島珈琲株式会社
社内コミュニケーションの活性化、リフレッシュによる生産性向上の立役者といえば、何と言ってもコーヒーマシンではないでしょうか? いくつものサービスがあると思いますが、ここではUCC上島珈琲株式会社の「おふぃす de Café」を取り上げさせて頂きました。
「近くにコンビニ等がなくコーヒーを手軽に飲めない」「おいしい本格コーヒーを飲みたい」というお客様の声を元に導入されている同サービス。カフェインレスコーヒーもあるため、授乳中のママも安心してコーヒーを楽しめるようです。
期待効果:社内コミュニケーションの活性化、リフレッシュによる生産性向上
参照:オフィスコーヒーなら、おふぃす de Café|UCC上島珈琲株式会社
プラスの空間づくり|PLUS ファニチャーカンパニー
最後にご紹介したいのは、空間づくりのサービスです。ここでは「プラスの空間づくり」についてご紹介したいと思います。先ほどいくつかのカフェスペース事例をご紹介しましたが、どの企業もカフェスペースという機能だけではなく、その空間にいることでリフレッシュできたり、活発に社内コミュニケーションができたり、居心地が良かったりするような空間の設計がなされていることもポイントの一つだったように思います。オフィス家具、オフィスインテリア、文具、事務用品のイメージの強いプラスのオフィス環境のリニューアル事例をご覧いただくと、ヒントが手に入ると思います。
期待効果:社内コミュニケーションの活性化、リフレッシュによる生産性向上、優れた社員の確保が出来る、健康問題の解決
参照:プラスファニチャーのリニューアル事例|PLUS ファニチャーカンパニー
まとめ
オフィスのカフェスペースを導入することを検討している、またはカフェスペース設置プロジェクト担当になった人・企業の人事・労務・社員の健康や生産性向上やコミュニケーションの強化を願うあなたにとって、具体的なヒントは手に入りましたでしょうか?
冒頭では、時代背景に触れながら、企業がオフィスのカフェスペースを設置している目的やメリットを見てきました。目的やメリットを踏まえた上で、事例やサービスを見てきました。事例を見ていく中で、社員同士のコミュニケーションやリフレッシュによる生産性向上だけでなく、社員の健康(精神的、食事面)などにも取り組んでいる様子が伺えました。
あなたもご存知の通り、日本の労働人口は今後減ることが予測されており、企業側が社員とのエンゲージメントを高めていくための動きはさらに加速していくことでしょう。本記事により、あなたが有益な情報を手に入れ、企業で働く全ての人のライフスタイルが豊かになるように、お役に立てば幸いです。
