
働き方改革、どう始める?
長時間労働が原因となる過労死や鬱病が、社会問題として認識されるようになって以降、国や自治体でも、働き方改革や健康経営を推進するためのサポートを積極的におこなっています。こうした経営の健全化、労働環境の改善は、従業員満足度・モチベーションを上げるため、企業の成長戦略としても重要です。
とはいえ、働き方改革のスコープは広すぎて、自社では何をどこからどう導入すればいいのかとお悩みの担当者さまも多いのではないでしょうか?この記事では、具体的な成功事例を効果別に紹介します。
働き方改革のメリット
過労死やうつ病という差し迫った危険の回避はもちろん、長い目で見た生産性の向上が必要になったことも、働き方改革が求められる理由の一つです。なんといっても人口減少の時代。社会全体で一般的に考えても労働生産性の向上は必要です。
さらに、どこの企業も人材が不足している状況では、企業の競争の観点からしても、働き方改革は必要です。
企業が働き方改革を行うメリット
・生産性の向上は、単純に利益の向上に繋がる。
・心身の健康の維持は優秀な人材の質を保つ上でも重要。
・優秀な人材を確保するために、職場環境が健康であることはアピールポイント
・転職が一般的な昨今、働き方改革の遅れは人材の流出を促す。人材定着のため、働き方の健全化は必須。
以上のような観点から、企業にとっても労働環境を改善することは喫緊の課題です。
さて、こうした観点から働き方改革を実現させ、職場環境を正常化させてきた事例はたくさんあります。
GOOD ACTION事例から学ぼう!アプローチ別まとめ
そんな働く人が主人公となってイキイキとできるアクションを選んで、毎年表彰する『GOOD ACTION』(リクナビNEXT)という取り組みがあります。
企業が独自に取り組んでいる研修や社内イベント等の取り組みを募り紹介することで、自分らしい“働き方”や“やりがい”のヒントを発掘するきっかけとなってほしいという想いから、スタートした企画。その受賞取り組みを見ると、時勢を反映した斬新な取り組みや、スタートアップならではの柔軟性があるものなど様々。
受賞者には、「ヤフー株式会社」「サイボウズ株式会社」のような受賞しそうなイメージのあるIT企業はもちろん、「コクヨ株式会社」「NTTコミュニケーションズ株式会社」といった比較的長い社歴を誇る大手企業、「一般社団法人 建設コンサルタンツ協会 (若手の会)」のような業界団体の若手社員による組織まで、幅広い組織が名前を連ねています。
おかんセレクト!『GOOD ACTION』から学ぶさまざまなアプローチ
そこで過去の受賞取り組みの中から、おかんの給湯室が独自に選んだ『GOOD ACTION』を、アプローチ別にいくつかご紹介します。一足先に働き方改革を実践してきた企業や、横のつながりを効果的に作り上げてきた企業、社員に寄り添った制度を社員と一緒に作り上げてきた企業などが登場します。ご自身の職場作りに参考になる事例を見つけてみてください!
※取り組み内容は全て受賞当時のものです。現在は変更になっている場合もあります。
自由な働き方を推進する
株式会社シグナルトーク
取り組みの概要:少日数勤務や在宅勤務が可能なFreeWorking制度、
時間型か成果型かを選択できる制度
背景にあった課題:長時間労働が常態化し、社員個々人が望む働き方を実践できていなかったことに加えて、社員の介護離職などがありました。オンラインゲームなどの開発を行っているプログラマーが多く在籍していたので、さまざまな働き方へのニーズがありました。
取り組みによる成果:個人個人に合ったスタイルを選ぶことで、残業時間ほぼゼロ、仕事と介護を両立などが実現!
Sansan株式会社
取り組みの概要:本拠地から離れた徳島に古民家を改造したオフィスを構え、創造性を発揮できるオフィスを運用。エンジニアにとって集中しやすい環境に。さらに、2、3泊から常駐まで柔軟な使い方を可能にし、Sansan独自のオンライン営業システムで、対面せずにアプローチからクロージングまでを完結する仕組みが生まれたために、営業の社員もリモートワークが可能になったのです。
背景にあった課題:会社としてはエンジニアの生産性向上を考えていたそう。営業部署とデスクを並べるにぎやかな環境よりも、静かに作業に没頭できる環境を作りたいとの思いがあったといいます。そこに、地域活性化に取り組むNPO団体の紹介があり、地方の過疎化等の課題に取り組むことになりました。
取り組みによる成果:
創造性を発揮できるオフィスを作りたいとして、本拠地から離れた徳島に古民家を改装したオフィスを構えました。また、これにより職種に関係なくリモートワークが可能になり、Uターン社員も出てくるなどの事例も生まれ、好きな場所で働くことが実現でき、モチベーションアップに繋がりました。クライアントの側でも、営業の時間短縮などのメリットがあり、リモート営業の受け入れも進みました。さらに、他の都市部の企業が神山に「進出」する、「神山ブーム」なるものまで生まれたのです。
専用〇〇を使ったランチでコミュニケーション活性化!横のつがなりが飛躍的にアップ
Retty株式会社
取り組みの概要:10台ある「ランチ自転車」を使って、近所の美味しいお店を食べにいく取り組み。社内でチームを組んで食べに行くことでコミュニケーションの活性化を図っています。
背景にあった課題:新しいメンバーが増える拡大期にあっても、「食に対するこだわりの強い」メンバーが多く、いいお店や美味しいたべものの情報をシェアしたという社風を維持したいということ。
取り組みによる成果:平均して1000円~1500円、二時間以上ランチに費やす形で定着。誰と食べたい、ではなく「何を食べたい」でチームが決まるそうです!いつも違うメンバーで食べることで、幅広く社内で交流でき、雰囲気をつかみやすく、業務においても交流が活発になる効果が生まれます。
株式会社ウィルフォワード
取り組みの概要:一軒家にオフィスを構える株式会社ウィルフォワード。その住まいのような環境を活かし、キッチンを自由に利用し、まるで大家族のような自炊でのランチ会に取り組みました。栄養学の知識がある代表が中心となって料理を担当。食材費もすべて会社が負担して、全員で調理から食事にフラットな立場で取り組みました。
背景にあった課題:会社の理念に合わせた社風の形成。また、ノマドワークをべースとした働き方からオフィスを構えたものの、外食にいちいちでかける不便さを感じたこともあったそう。
取り組みによる成果:この取り組みを始めたことで、周辺にランチ環境が整っていなくても、バランスの取れた規則正しい食生活と活発な社内コミュニケーションが可能になりました。リモートワークの社員も多かったことから、駅から距離のある一軒家オフィスには賛否両論ありましたが、結果的に、バランスの良い食事を求めてむしろ社員が集まってくるという効果もあったそう。飲食店での外食が減り、会社の交際費も削減できたそうです!
個人の声を拾い大きな問題解決へ!すぐに始められる働く環境改善
千代田化工建設株式会社
取り組みの概要:プラント建設などの世界規模で展開する事業の特質を活かし、海外拠点も含めたグループ全体の社員の会社への思いや意見を「Voice」として集め、写真を社内SNSで共有する「discover!プロジェクト」を実践。
背景にあった課題:かつての経営危機により業務効率化と分業化が進み、閉塞感を感じたりする社員が増えていたこと。
取り組みによる成果:社員全員で会社のことを考えられる場を作り、その声を経営陣も含んだ社員と共有できることに成功しました。
コクヨ株式会社
取り組みの概要:自社の事業での知見を生かした「オフィスカイゼン委員会」を発足しました。毎月10件の「カイゼンアイデア」を集約し、委員会が実行して取り組んでいきます。
背景にあった課題:オフィスをリニューアルしたことをきっかけに、快適さが経年劣化しないオフィスの維持を目指すようになったことがきっかけ。
取り組みによる成果:キーマン2名が委員会の運営をリードし、中堅社員が参加することで取り組みに実効性を持たせることに成功。声を上げれば実際にオフィス環境が良くなるという実感が広がり、自らカイゼンに動く社員も増えていきました!
会社全体の風潮を機敏に感じ取った“アクション”、参考になる事例ばかりですね。『GOOD ACTION』を受賞したことで、企業としては、取り組みの社内外への認知が広がった、会社自体のPRになったなど、思わぬ効果に繋がったそうです。今回一部を取り上げた『GOOD ACTION』は、今年で2018年で4回目となりました。ぜひ同じように悩む企業や一人ひとりの働き手が一歩を踏み出せるようなヒントを外部に発信してみてください。
Supported by GOOD ACTION
Edit & Text:おかんの給湯室編集部