ロールモデルとは?設定する効果や人材選定のポイントを紹介

    目次

    「ロールモデル」とは、具体的な行動や考え方のお手本となる人物のことです。企業がロールモデルを設定すると、従業員がキャリアプランを描きやすくなったり成長率が上がったりと、さまざまな効果を得ることができるため、多くの企業から注目されています。

    この記事ではなぜロールモデルの設定が求められているのかについてや、設定することで得られる効果、人材選定や活用までのステップなどを解説します。

    オフィスコンビニ型の健康社食の導入増加中!  1品100円で、24時間いつでも食事を提供できる「置き型社食︎のオフィスおかん」。  普段の食事補助だけでなく、人材定着、従業員満足度向上などの目的で全国で導入されています。 「オフィスおかん」の詳細をみる

    ロールモデルとは?

    企業におけるロールモデルとは、従業員のキャリア形成において「こんな人になりたい」と思われるような、高いスキルを持ってリーダーシップを発揮している人物のことを指します。

    従業員が自分で身近な人物をロールモデルとすることもありますが、企業側で設定することも可能です。その人の行動や技術を観察・模倣させることによって他の従業員の成長を促すのが、ロールモデルを設定する大きな目的です。これによりキャリアプランを描きやすくなったり、成長速度が上がったりといった、企業・従業員双方にとってのメリットがあります。

    ロールモデルは1人である必要はなく、また全ての行動をお手本とするものでもありません。従業員に身に付けさせたいスキルによって「コミュニケーション方法はAさん」「資料作成スキルはBさん」のように、複数の人を設定することも可能です。

    ロールモデルが必要とされる背景

    ビジネスシーンにおいてロールモデルは重要視されています。なぜ必要とされているのか、その背景を見ていきましょう。

    キャリアアップ支援策となる

    ロールモデルが求められている背景のひとつとして、「従業員が将来のキャリアプランを描けていない」ことが挙げられます。公益財団法人日本生産性本部が行った意識調査によれば、自分自身のキャリアプランについて「特に考えていない」と回答した人は全体の68.2%で、多数を占めていることが分かります。

    出典:第7回 働く人の意識調査|公益財団法人日本生産性本部

    PERSOL Global Workforce株式会社が調査によれば、日本企業に内定している外国人材が企業に求める支援として最も多く挙げられたものは「今後のキャリアアップのための支援」(26%)でした。また、複数の企業から内定が決まった際に入社を決定するポイントとしても、「キャリア支援など成長支援の有無」(17%)が最も多く求められていることが分かりました。

    Q. 就業予定の企業から提供してほしいサポート・福利厚生はなんですか?(複数回答)

    Q. 複数の企業から内定が決まった際、入社を決定するポイントは何ですか?(複数回答)

    出典:日本企業に内定した特定技能の外国人材企業へ望む福利厚生1位は「資格取得などキャリアアップ支援」|PERSOL Global Workforce株式会社(プレスリリース)

    アデコグループが実施した調査では、新卒入社3年以内の離職理由として多かったものの3位に「キャリア形成が望めないため」(31.5%)が挙げられています。

    出典:新卒入社3年以内離職の理由に関する調査|Adecco Group

    これらのことから、キャリアアップを望み企業側に成長支援を求めているものの、具体的なキャリアプランを描きにくいことからキャリア成長に課題を感じて、退職する従業員が一定数存在していると考えられます。

    ロールモデルを設定して企業側がキャリアプラン設計を支援することは、こうした離職を減らし従業員のエンゲージメントを向上させることにもつながるでしょう。

    関連記事
    エンゲージメントとは?定義と注目される理由、向上の成功事例を紹介

    女性の働きやすい職場づくりに影響を与える

    働き方改革などの効果もあり、女性の就業率は右肩上がりで2020年には70.6%となっています。働く女性の活躍推進が求められていることも、ロールモデルが重要視されている背景のひとつだと考えられます。

    女性の就業率は上がっているものの、非正規での就業や結婚・出産といったライフイベントに伴い退職する人も多いのが実情です。「社内に女性の管理職や先輩が少ないため、女性従業員が活躍するイメージを持ちづらい」という声もあるようです。

    2016年4月には、働く女性がもっと活躍できるように推し進める「女性活躍推進法」が施行されました。この女性活躍推進の一環として、厚労省からは「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」が発表されています。

    女性にも働きやすい職場づくりに努め、ロールモデルとなる人材を育成することは、次世代の女性従業員が将来のキャリアを描きやすくなり新しいことにチャレンジできるようになるなど、女性の活躍を推進することにつながるでしょう。

    関連記事
    女性活躍推進法とは?改正内容と企業の取り組みポイントを解説!

    選ばれる企業になるために。女性が働きやすい環境とは

    企業がロールモデルを設定することで得られる効果

    ロールモデルを設定・活用すると、従業員だけでなく企業にとってもさまざまな効果が得られます。具体的な効果を見ていきましょう。

    キャリアプランを立てやすくなる

    職場にロールモデルとなる人物がいると、「こんな仕事をしたい」「こんな能力を身に付けたい」とキャリアプランを立てやすくなります。

    お手本が身近にあればなりたい自分を具体的にイメージできるようになり、そのイメージへ近付くためにはどのようなスキルを獲得していく必要があるのか、どのような行動を取ればよいのかといったことも分かりやすくなるでしょう。

    ライフイベントごとの働き方が想像しやすくなる

    結婚や出産などは、働き方やキャリアプランが変わるきっかけにもなります。こうしたライフイベントを乗り越えてきたロールモデルがいれば、企業で働き続ける未来が想像しやすくなるでしょう。

    ライフイベントがキャリアプランに影響しやすい女性にとっては、身近にロールモデルがいると勇気づけられ、新しいことにもチャレンジしやすくなると考えられます。育児と仕事を両立させている人をロールモデルにすることで、女性が活躍しやすい環境をつくることができます。

    組織全体の活性化につながる

    ロールモデルが身近にいる場合、従業員はコミュニケーションを取って行動のパターンなどを学ぶため、職場におけるコミュニケーションが活発になるでしょう。また、ロールモデルによって具体的な目標を立てた従業員は、より主体的に業務に取り組むと考えられます。こうした従業員が増えると、社内の空気も変わり組織全体の活性化も期待できます。

    ダイバーシティ(多様性)促進につながる

    育児や介護と仕事を両立し、ワークライフバランス面での調和をとりながら働いている人や、ハンディキャップを持ちながらも活躍している人をロールモデルとすれば、多様なキャリアビジョンを示してダイバーシティ(働き方の多様性)を促進できます。

    ダイバーシティの促進は優秀な人材の確保や従業員のモチベーションアップにもつながり、企業の生産性向上も見込めるでしょう。

    関連記事
    ダイバーシティとは?企業の推進ポイントや取り組み事例を解説

    離職者を減らすことができる

    従業員の退職理由として「キャリア形成が望めない」といったものが多く挙げられています。ロールモデルを設定することでキャリアプラン設計を支援したり、ロールモデルから直接アドバイスを受けたりといったサポートがあれば、こうした離職者を減らすことができるでしょう。

    ロールモデル設定のための3ステップ

    ロールモデルを設定する際は、「人材の選定・育成」「行動や考え方の一般化」「社内への周知」といったステップを踏んでいく必要があります。それぞれどのようなことを意識すればよいのか、具体的に見ていきましょう。

    ①目的に合った人材の選定

    まずはロールモデルを設定することで解決したい自社の課題を洗い出し、目的を明確にします。その目的を達成するためにはどのような人物をロールモデルとするのが適切か検討した上で、人材選定を行うとよいでしょう。

    たとえば「女性活躍推進のために、結婚・出産後も働き続ける女性を増やしたい」という目的がある場合、結婚・出産後も働いている女性をロールモデルとする必要があります。

    ロールモデルは1人とは限らず、性別や年代、役職などさまざまな立場に合わせてきめ細かく設定した方が、より高い効果が見込めます。上司や同僚からの評価を見ながら、企業として従業員に提示したいロールモデルが社内に存在するかどうかを探しましょう。

    当てはまる人物がいない場合は研修・育成

    ロールモデルに当てはまる人物が社内にまだいない可能性もあります。その場合はロールモデルとなり得る人物を選定し、個別に計画を立てて研修・育成を行いましょう。

    育成にはOJT(職場内研修)やOff-JT(集合研修)はもちろん、計画的な配置や知識・スキル習得のための自己啓発支援、メンター制度なども活用できます。また、本人のモチベーションを高めていくことも重要になります。

    ②行動や考え方の分析・一般化

    ロールモデル人材が決まったら、その人の行動を分析します。どのような行動パターンをとるのか、どういった考え方を持って仕事に取り組んでいるのか、キャリアアップのために意識していることは何か、など細かく把握しましょう。

    これまでに取ってきた行動の検証や本人へのヒアリングをもとに、できる限り具体的に行動の理由や結果を分析し、パターン化していきます。こうすることで他の従業員が参考にできるように一般化し、ロールモデル人材の行動をまねて実践しやすくなります。

    ③社内への周知

    ロールモデルを設定するだけでは効果がなく、しっかりと社内でロールモデル人材について周知し、その存在を従業員に知ってもらう必要があります。

    周知の方法には社内報や研修などでの紹介、座談会の開催などが考えられます。具体的なエピソードや体験談も交えながら紹介すると、多くの従業員の参考になりやすく、ロールモデル本人にとってもモチベーションアップにつながるでしょう。

    採用活動においてロールモデルを紹介するのも、企業の魅力を具体的に伝えるのに効果的です。多様なロールモデルがいれば、将来のキャリアの可能性がたくさんある企業としてアピールすることもできます。

    ロールモデルに適した人物を選ぶコツ

    ロールモデルを選ぶ際には、企業として提示したいロールモデルはどのような人物であるのか、また、当てはまる人物が社内にいるのかどうかを対象層ごとに把握する必要があります。

    参照:メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル|厚生労働省

    たとえば①入社から3年目くらいまでのキャリア初期、②30代前後の中堅社員、③課長や部長クラスなどの管理職、④スペシャリストといったように分類し、それぞれキャリア面とワークライフバランス面から、どのような行動特性を持った人物がロールモデルにふさわしいのかを検討します。

    キャリア面では「能力の向上・発揮をどのように図っているのか」、ワークライフバランス面では「働きやすい職場環境をどのようにつくっているのか」といった観点から、ロールモデルとなる人物の設定を行うとよいでしょう。

    男女ともに活躍できる職場づくりを!

    ロールモデルとは、従業員のキャリア形成やスキルの向上におけるお手本となる人物のことです。企業がロールモデルを設定し社内に周知することは、従業員のモチベーションアップやキャリアプラン設計の支援になるだけでなく、企業にとっても離職防止や組織の活性化といったメリットにつながります。

    社内に当てはまる人物がいない場合は、計画的にロールモデルを育成することも中長期的な人材育成戦略のひとつとして重要です。従業員が男女ともに活躍できる職場づくりのためにも、ロールモデルの設定は有効な施策であるといえるでしょう。

    編集部おすすめ無料eBook  「働き続けられる組織を作る!そのために必要な要素10個とは?〜リテンションマネジメントを考える〜」   * 働き続けられる組織作りが急務な理由   * リテンションマネジメントの重要性   * リテンションマネジメントを構成する10個の要素とソリューション  等をわかりやすく一冊にまとめました! お役立ち資料を無料ダウンロード

    メールマガジン登録はこちら

    週に1度、最新情報をまとめてお届け!

    • 働き方に関する最新トレンド 
    • オウンドメディア「おかんの給湯室」の最新記事 
    • OKAN主催のセミナーレポート
    • 健康経営や従業員満足度向上などのトレンド

    個人情報の取扱い

    プライバシーポリシーに同意の上お問い合わせ下さい。