コロナウイルスの感染拡大により、在宅勤務へと移行した企業も多いのではないでしょうか。
厚生労働省によると、新型コロナウイルスによる心理面への影響から健康相談が急増しているそうです。また、感染の恐怖に限らず多くの人が多様なストレスによる精神的なダメージを受けているといえます。
今回は、在宅勤務者に迫るうつの危険に際した予防策を、ストレスの原因や解消法とともに紹介します!

在宅勤務で「テレワークうつ」が急増
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として企業が社員に在宅勤務を指示し、オンライン会議などのいわゆるテレワークが行われる中で、社員の心身に不調が生じた状態」である「テレワークうつ」。
抑うつ、不安、睡眠障害、頭痛、肩こり、眼精疲労、腹痛、下痢、腰痛など、さまざまな症状があるそう。テレワークうつから本格的なうつ病を発症してしまう場合もあるため、従業員のメンタル不調には十分に注意する必要があるでしょう。
参照:感染者増で在宅長期化 自分が「テレワークうつ」かと思ったら…原因・対策を解説(オトナンサー)
在宅勤務でストレスを感じる原因
慣れない在宅勤務によるストレスには、大きく分けて三段階の原因があると言われています。第一に職場環境の変化や業務内容の変化、第二に日常生活リズムの変化、第三に対人接触の機会の減少です。
具体的に、どのような原因があるのでしょうか。
対面がなくなったことによるコミュニケーション不足
テレワーク中では、コミュニケーション不足になりがちと言われています。対面が少なくなったことで、業務上でのふとしたやりとり、雑談、ランチ中の世間話などがなくなった方も多いのではないでしょうか。
また、在宅勤務によりチャットツールの導入も進んだことで、テキストコミュニケーションが増えました。ただ、テキストだけでは、言葉の温度感が伝わりづらく、相手には冷たく聞こえていたり、それが不安につながるケースもあります。
オンラインハラスメントの横行
オンライン上のやり取りが増える中、「オンラインハラスメント」が増えているようです。電話やメールで済むことをわざわざ2人きりのオンライン会議に誘ったり、画面に映る私生活の様子に関心を寄せたりといった行為には注意が必要です。
また、通信環境が悪いことに対しあからさまに嫌悪感を示したり、ITの知識がないことを馬鹿にしたりする行為はパワーハラスメントにつながります。
快適なテレワーク環境のためには、さまざまなハラスメントが起こる可能性を考慮し、そうした悩みを相談できる場が必要になってくるでしょう。
関連記事
企業のハラスメントへの対応方法 | 近年問題となっている種類やリスクを解説
従業員のメンタルヘルスケアが難しい
企業側が従業員の異変に気づきにくいことも原因としてあげられます。実際に、「テレワークの方が従業員のメンタルケアが難しい」と感じている総務は全国で73.3%、「テレワークの推進でストレスが増えた」が54.6%というデータが出ています。
7割以上の総務担当者が従業員のメンタルケアが難しいと感じ、以前よりもストレスを感じているのです。また、従業員のメンタル不調の要因をたずねた結果、最も多かったのが「テレワークによるコミュニケーション不足・孤独感」でした。
つまり、コミュニケーションとメンタルには大きな相関関係があるといえるでしょう。
参照:「テレワークの方が従業員のメンタルケアが難しい」が7割超。半数以上の総務がテレワークの推進でストレスが増えたと実感|株式会社月刊総務
仕事の張り合いを感じづらい
オフィスに出社し、チームのメンバーや上司と常に顔を合わせる環境で仕事をしていた人にとって、在宅勤務は緊張感がなく孤独感を感じやすい環境といえます。上司がいる環境でほどよい緊張感をもって仕事をしたい、近くに同僚がいる環境ですぐに疑問点を解消したい、など求める仕事環境はさまざまです。
特に、自律的な行動が苦手なタイプの人は、在宅勤務で苦労することが多いかもしれません。自宅で勤務する楽さゆえに思うように仕事がはかどらず、その結果、自己嫌悪に陥ってしまう可能性も考えられます。
プライベートと仕事の切り替えが難しい
今まで仕事とプライベートのオン・オフがはっきりしていた人が、自宅で仕事をすることで、切り替えが難しいと感じることが少なくないでしょう。
通勤時間がなくなり、退勤時間も可視化しづらいために、境界線が曖昧になることで生活リズムが崩れることも。
住環境が在宅勤務に適していない
もともと生活環境のスペースで仕事をすることを想定していなかった人にとって、突然の在宅勤務はストレスに感じるかもしれません。一人暮らしならまだしも、二人以上が暮らす際には互いの勤務体制を把握する必要があります。
その上、テレワーク環境を整備するためにはある程度の出費を要するため、ともに暮らすパートナーや家族との相談は不可欠であるといえるでしょう。
在宅勤務のストレスを軽減させる方法
ストレスの原因を見つけたうえでそのストレスをどのように軽減させるか、タイプ別に分けて方法を紹介します。
体調は良くても意欲が湧かない人に
「しっかり睡眠をとれていて身体は元気、でも仕事へのやる気がイマイチ起きない」という方におすすめなのが以下の2つです。
・意識的に体を動かす
・感情の起伏を作る
まずは、在宅勤務でたまったストレスを外に出してみましょう。意識的に身体を動かす機会が少なくなった分、ちょっとした運動がストレス発散へと繋がります。感染症拡大により外出が制限されているからこそ、ヨガやダンスなど室内でできる運動にチャレンジする新しいきっかけになります。
また、感情の起伏を作るのも良い効果が得られます。座っている時間が長く生活が単調になった、マスクによって感情表現が乏しくなったと感じませんか?そんな時には、思い切って泣けるドラマや映画を見たり、じっくりと瞑想をする時間を作ってみましょう。涙には、ストレスを軽減させるコルチゾールというホルモンも含まれているため、心のデトックスが期待できます。
参照:運動 ~ストレス解消法~ │ 生活習慣病を予防する 特定非営利活動法人
疲れが取れず身体に負担をかけている人に
「あまり食欲が湧かない」「帰宅後倒れるように寝てしまう」など、疲れが取れず身体的な問題がありそうだという方には以下の方法をおすすめします。
・質の良い睡眠を取る
・お風呂にゆっくりつかる
一に睡眠、二に睡眠と言うように、人間が健康的な生活を送るうえで睡眠は欠かせないもの。ただし、睡眠時間を取ればいいというものではありません。必要とする睡眠時間には個人差があり、十分な睡眠を取れているかどうかは睡眠の質に大きく左右されます。質の良い深い眠りにつくことで、体内のホルモン分泌が促され自律神経機能が正常に働くようになります。
さらに、質の良い睡眠のために取り入れやすい手段となるのが、湯船につかることです。じっくりと体を温めることで血の巡りがよくなり、水圧でむくみが解消され筋肉もほぐせたりと得られるメリットはたくさん。ついシャワーで済ませがちですが、多忙な毎日にこそ取り入れたい習慣です。
参照:睡眠と生活習慣病との深い関係|厚生労働省
精神的に不安定な状態になりやすい人に
「人間関係にストレスを感じる」「気分の浮き沈みが激しい」と精神的な疲労に悩みを持っている方は以下の方法を試してみてください。
・食生活を変える
・生活に色を取り入れる
在宅期間の延長により食事を簡単に済ませたい需要が高まったことで、偏りが出てきたという方も多いのではないでしょうか。偏った食事はストレスフリーな生活を遠ざける大きな要因となります。特に、食品添加物の多量摂取は内臓に重い負担をかけ、気付かぬうちにストレスがたまりやすい体質になっていることも。
簡単かつ安心・安全なお惣菜が食べられるオフィスおかんでは、自宅に直接届ける仕送り便も提供しています。テレワーク中でも従業員の健康をサポートできるため、従業員の満足度向上も期待できるでしょう。
参照:【公式 | オフィスおかん】健康的なお惣菜をオフィスにお届けする置き型社食!
意外かもしれませんが、色とストレスはとても深い関係があります。色の刺激は目から脳の視床下部へと届き、神経系や内分泌系の機能を調整する手助けとなるそうです。
また、暖色系の色は交感神経に働き「動」的な状態へ、寒色系の色は副交感神経に働き「静」的な状態へと導きます。日常であまり意識していなかった「色」をストレスフリーな生活のために取り入れるのも良いでしょう。
参照:カラーセラピー ~ストレス解消法|日本成人病予防協会
【従業員向け】在宅勤務でストレスをためないための対策
こまめなコミュニケーションを取る
課題の一つであるコミュニケーション不足を解消するために、こまめなコミュニケーションを心がけましょう。チャットだけでなく必要に応じて1on1のミーティングを行うなど用いる媒体を変えてみるのも良いかもしれません。
ただし、注意する点もあります。対面よりも温度感が伝わりにくいため、大袈裟なリアクションを取ったり、言葉尻をやわらかくするなど受け取り手を意識したやり取りが重要です。
関連記事
オンラインでも人感があるやりとりを!チャットやメールで意識すべきテキストコミュニケーション
時間管理をして仕事の区切りを作る
在宅ワークでどうしてもずさんになりがちなのが時間管理。
そんな時に活躍するのがタイマーです。時間をきっかりと区切ることで、仕事とプライベートのメリハリがつきます。仕事の時間を長引かせず、自分の楽しみに没頭する時間を作りましょう。
作業空間を心地よい場所に
業務を効率的に進めるには、作業をする環境も大事になります。
自分にとって最適な温度に調節したり、デスクチェアを新調したりと幅広い変更ができるため、快適な環境をつくることができます。オフィスでは出来なかった自分好みの作業空間をつくるのも、在宅勤務の一つの楽しみかもしれません。
【担当者向け】在宅勤務による社員のうつを防ぐための対策
「コロナうつ」という言葉が生まれるほど、うつ症状など精神的な病を発症しやすい状況になった昨今。在宅勤務スタイルを取っている企業では、社員の心の健康状態も悩みどころです。
そこで、企業ができる「うつ」を防ぐための対策を紹介します。
目的を設定し合意を形成する
まず、仕事に社員を割り当てる前にその業務の目的を明確にしましょう。目的を明らかにすることで、業務を細かく分解し優先順位を考えることができます。向かうべきゴールがわかっていれば、社員のやりがいも大きくなるでしょう。
次に、目的設定したうえで社員と合意形成をしましょう。お互いに合意を得られたか確認を行うことで、認識に相違なくスムーズに業務が進められます。それによって、「個」ではなく「組織」で力を合わせていると感じられ、テレワーク特有の孤独感をやわらげ、チームの団結力向上に大いに期待できます。
適切な役割分担をし、分業する
うつ やストレスの原因となるのが、仕事量による個人の負担の大きさです。メンバーの特性や抱える負荷を把握しておくことで、任せる仕事量に偏りが出るのを防げ、ひいては業務効率の向上につながります。
分業を行うためには、メンバーそれぞれが主体的に動ける環境も重要です。任せられた業務に社員がやりがいを感じて取り組めるように段階的な教育や進捗共有をしていくことで、業務に対する責任感を持たせることができるでしょう。在宅勤務で失いがちな自律性を高めることは組織全体の士気を高めるきっかけにもなるはずです。
ラインケア研修を行う
ラインケアとは、企業などの職場のメンタルヘルス対策において、部長・課長などの管理監督者が直属の部下にあたる労働者へ、個別の指導・相談や職場環境改善を行う取り組みのことを指します。
日常的に部下の労働状況を把握している管理監督者が、職場環境等の把握・改善を行い相談対応をしていくことで、個々のストレスを予防する対策となります。そのため、ラインケアは指揮命令を執る上位にいる者が行うよう、まずは体制を整えることから始めましょう。
参照:
「テレワークの方が従業員のメンタルケアが難しい」が7割超。半数以上の総務がテレワークの推進でストレスが増えたと実感|株式会社月刊総務
ラインによるケアとしての取組み内容|厚生労働省
オンライン社内イベントを開く
在宅勤務で人と直接コミュニケーションを取る機会が減ってしまった。そんな時には、オンライン社内イベントを開いてみるのも良いかもしれません。今まで話したことがない人と話せたり、部署を超えた交流ができるのもオンラインイベントの魅力です。
外出自粛期間中も開催でき、費用もそれほどかからないため、気軽に参加を促せます。メンバー同士で親睦を深め、より一層チームワークを高める有意義な機会になるはずです。また、不安や悩みを周りの人と共有することで、感情をため込むあまり「うつ」になってしまうケースを防ぐことができます。
参照:【精神科医監修】コロナうつの症状、治療、対処・対策、解消法|綾瀬メンタルクリニック
実例として、株式会社OKANではハイブリッドランチを実施しています。
ランチタイムという、業務から離れた時間を共有することで、業務外の関係構築をするとともに業務上のスムーズなコミュニケーションが期待できます。社員満足度100%を達成するためのポイントも紹介しているので、こちらの記事もご覧ください。
関連記事
オフィスでも!リモートでも!「ハイブリットランチ」という新しいコミュニケーションの形
社員を在宅勤務のストレスから守るために
在宅勤務という新しい仕事環境の中で戸惑うのは、企業も社員も同じこと。しかし、社員が孤独を感じやすいのも事実です。そのような時こそ、企業から社員に対して出来る対策を行っていくことで、長い目で見た組織としての成長が見込めるでしょう。
オフィス出社ではない新しい働き方に移行するのと同時に、社員が抱えるストレスに企業側から歩み寄り、健康を守っていきましょう!
