派遣社員の福利厚生はどうする?法改正による企業への影響を解説

    目次

    働き方改革のなかで「パートタイム・有期雇用労働法」や「労働者派遣法」が改正され、非正規雇用社員に対して不合理な待遇差をなくすことが求められています

    派遣社員を含めすべての従業員が適用対象となる福利厚生においても、待遇に不合理な格差を設けてはならないとされました。どのように対応すべきなのか、福利厚生を運用するポイントを解説します。

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    派遣社員とは

    派遣社員は、派遣会社(派遣元)と雇用契約を結び、そこから紹介された企業(派遣先)で就業する従業員のことを指します。そのため、給与は派遣元から支給されます。派遣期間は長期だけでなく、短期の場合もあります。たとえば、「繁忙期の数ケ月間だけ、即戦力となる人材がほしい」といった場合に、期間限定で雇用することが可能です。

    労働者にとっては、雇用が安定しないといったデメリットはあるものの、仕事や働く期間、勤務地を自身で選びやすかったり、契約時に明示されていなければ残業の必要が無かったり、働き方の融通が利くといったメリットも多い雇用形態です。派遣社員は、企業・労働者どちらにとってもメリットがある、多様で柔軟な働き方であるといえます。

    派遣社員と契約社員の違い

    派遣社員と同じ非正規社員の中でも、混同されやすいのが契約社員です。派遣社員と契約社員の大きな違いは、「企業と直接雇用契約を結んでいるかどうか」という点にあります。

    派遣社員は派遣元と雇用契約を結ぶため、労務管理などを行うのは実際に勤める派遣先ではなく派遣元の企業です。福利厚生も派遣元企業のものを受けることができます。また、派遣先企業の契約終了・更新時には派遣元企業が仲介を行います。

    それに対し、契約社員は勤め先である企業と直接雇用契約を結びます。労務管理や福利厚生の提供も、契約している企業が行います。契約終了・更新やそれに伴う転職は、労働者自身が行う必要があります。

    派遣社員の福利厚生はどう対応すべき?

    福利厚生は、正社員だけでなく派遣社員にも認められている権利です。その福利厚生には、法律で定められた健康保険や社会保険などの「法定福利厚生」と、各企業で独自に導入できる「法定外福利厚生」があります。

    派遣社員に関しては、社会保険や健康診断、有給休暇といった法定福利厚生は雇用主である派遣元企業が適用します。

    一方で、派遣先企業の法定外福利厚生に関して、今まで正社員との待遇差がなくなるように努めるべき「企業の配慮義務」として、疎かにされがちでした。

    法改正により派遣先企業が対応すべきこと

    働き方改革で2020年4月に改正された労働者派遣法において(中小企業には2021年4月より適用)、正社員と派遣社員の待遇を公平にすべきと明記され、「雇用形態に関係なく、同じ職場で同じ仕事内容に従事している従業員には、同一の賃金を支払う」という「同一労働同一賃金」という考え方が導入されました。

    これにより、派遣先企業には、企業独自に設けている法定外福利厚生の部分を、派遣社員にも正社員と同等に利用できるようにしなければならなくなりました。手当も同じように、平等性を求められます。

    不合理な待遇差の禁止例

    【各種手当】
    特殊作業手当、特殊勤務手当、時間外労働手当の割増率、深夜・休日労働手当の割増率、通勤手当・出張旅費、食事手当、単身赴任手当、地域手当(特定の地域で働く労働者に対する補償として支給するもの)等

    【福利厚生】
    福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室等)の利用、転勤者用社宅(転勤の有無等の要件が同一の場合)、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障、病気休職、法定外の有給休暇、その他の休暇等

    待遇に対する説明義務も生じる

    企業が派遣社員を雇い入れる際には、福利厚生施設の利用を含む待遇に関して、説明を行う義務が創設されました。派遣社員側から説明を求められた場合にも、正社員と派遣社員の間における待遇差の内容や理由について、説明する義務があると規定されました。また、こうした説明を求めた従業員に対して不利益な取り扱いをすることは禁止されています。

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    派遣社員に福利厚生を提供するメリットや懸念点

    派遣社員と正社員が同様の法定外福利厚生制度を利用できるようにすると、企業にはどのような影響があるのでしょうか。

    メリット:人材確保・人材定着の施策になる

    スキルや適性を考慮して採用した派遣社員は、企業にとって貴重な人材です。しかし、企業が「働き続けてほしい」と思った派遣社員でも、契約期間の終了後により良い条件の派遣先企業があれば、そちらへ移ってしまう可能性もあります。

    派遣社員にとって、派遣先で正社員と同じように福利厚生をできることは、その企業で働くメリットになり得ます。派遣社員の福利厚生を充実させれば働き続けるモチベーション向上につながり、貴重な人材確保・人材定着のための施策にもなるでしょう。

    メリット:疎外感が薄れ、生産性向上につながる

    同じ職場で共に働く派遣社員と正社員との間に待遇の差があると、コミュニケーションにも壁が生まれてしまいがちです。同じ福利厚生が利用できるようになれば待遇差は縮まり、共有できる話題が増えます。派遣社員の疎外感が薄れて、コミュニケーションの機会も増えるでしょう。

    雇用形態に関わらず公正な待遇がなされていると、従業員それぞれの心理的にも良い影響があり、業務上においても協力・連携がスムーズになると考えられます。従業員同士が円滑に業務を進められれば、企業の生産性向上にもつながっていきます。

    メリット:従業員や顧客、求職者にも好印象を与える

    正社員・派遣社員間における不合理な待遇格差をなくすことは、労働者派遣法によって定められた義務です。法令を遵守し、派遣社員に対する不当な扱いを解消している企業は、従業員からだけでなく顧客や求職者にも好印象を与えられます。

    懸念点:企業の費用負担が増えるため工夫が必要

    これまで派遣社員を福利厚生の対象としていなかった場合、福利厚生サービスを提供する従業員が増えるため、費用負担も増えることが考えられます。費用と運用の負担を抑えるためには、アウトソーシングを活用するなどの工夫が必要となります。

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    福利厚生の運用をスムーズにするポイント

    派遣社員も含めて福利厚生を運用する際は、どういった点に気をつければよいのでしょうか。運用をスムーズにするポイントをご紹介します。

    派遣社員の入社時にきちんと説明する

    派遣社員は、派遣先企業の人事担当者との関わりは薄くなりがちで、自身がどのような福利厚生を利用できるのかが分からないケースも多くあります。これから働く派遣社員を不安にさせてしまわないように、入社時に利用可能な福利厚生について説明し、利用できる制度についてきちんと周知しておくことも大切です。

    派遣元企業の福利厚生についても確認しておく

    合わせて、派遣元企業の福利厚生制度についても確認しておきましょう。

    派遣社員の雇用主である派遣元企業が提供する制度は、どの派遣先企業に行っても利用することができます。休暇制度など受け入れる側の企業が配慮すべき制度もありますので、あらかじめ把握しておく必要があります。

    提供するサービス内容は定期的に見直しを

    企業に求められる福利厚生のあり方は、時代とともに移り変わっています。

    株式会社OKANが行った調査によれば、2019年度と2020年度の間でも求められている福利厚生の種類は異なることが分かります。

    引用:<withコロナで変化する「働くこと」に関する調査④>コロナ禍で顕著になった”企業と従業員の関係希薄化” 会社に愛着が湧く理由トップは「特になし」 31.3%

    特に近年はコロナ禍による働き方の変化もあり、働く人々の価値観も変わっていこうとしています。テレワークなどで家庭にいる時間が長くなった結果、生活に寄り添った福利厚生サービスが求められるようになったのではないかとも考えられます。

    従業員の価値観は、日々変化していくものです。福利厚生のサービス内容は、定期的に見直すとよいでしょう。提供するサービスがしっかりと利用されているかどうかをチェックし、従業員にとって何が必要なのかを見極めていく必要があります。

    正社員だけでなく派遣社員や契約社員、パート・アルバイトなどにもヒアリングし、より働きやすく人材定着しやすい企業を目指した福利厚生の運用を行っていきましょう。

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    福利厚生で働きやすい環境づくりを!

    「派遣社員だから」というだけで賃金や福利厚生に不合理な格差が設けられるケースも多くありましたが、2020年に改正された労働者派遣法により「同一労働同一賃金」の考え方が導入され、正社員と派遣社員に不合理な格差を設けることが禁止されました。

    福利厚生制度は従業員の生活と安全の向上を図ったり、働きやすい環境を整えるためのものです。従業員に寄り添った職場づくりのためには、福利厚生制度の活用が欠かせません。

    雇用形態の違いによって不合理な格差を設けることなく、従業員にとって働き続けたいと思える環境づくりを心がけ、従業員の満足度を高めていきましょう。

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