2025年問題とは?ビジネスケアラーが企業に与える影響や政府の方針を解説

    目次

    日本の人口構造の変化により2025年にはさまざまな問題が発生すると予測されています。これは企業活動にも例外なく影響を与える重要な問題です。

    では2025年問題によって日本はどのように変化し、企業にはどのような影響があるのでしょうか。この記事では2025年問題が与える影響や政府の対策方針、関連する2024年問題と2030年問題についても解説します。

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    2025年問題が企業に与える影響

    2025年問題とは、2025年までに団塊の世代である約800万人が75歳以上の後期高齢者になることで発生するさまざまな問題のことです。

    出典:厚生労働省

    厚生労働省の日本の人口等関係資料によると、団塊の世代は第1次ベビーブームの時期に生まれ、この世代が75歳以上を迎えることで日本の総人口約1億2257万人のうち、後期高齢者の人口が約2180万人に達します。

    企業にとって悩ましいのは、働きながら、家族や親族を介護する立場にある「ビジネスケアラー」や介護離職する従業員が増える点です。ここからは具体的にどのような変化が起こるのか解説します。

    従業員の働き方の変化

    介護者となった人は、自分の働き方を変えざるをえません。介護はいつスタートするか不確定であり、その過程も1人1人違います。育児と介護を同じように考える企業もありますが、そもそも育児と介護の性質はまったく違います。

    育児であれば出産、職場復帰、子の小学校入学などある程度成長に合わせて働き方の目処が立ちますが、介護はそうではありません。

    企業は介護中の従業員を見据えた制度設計も必要になるでしょう。

    労働力不足による企業力の低下

    2025年問題の中でも深刻なのが労働力不足です。パーソル研究所の労働市場の未来推計によると、2025年には583万人の労働力が不足すると予測されています。

    また、2025年に15〜64歳までの生産年齢といわれる人口が7000万人まで落ち込むとも予測されています。

    企業で働く人が減少すれば、対策なしでは企業の業績は低下してしまうでしょう。そうならないためにも働き方の柔軟な制度設計や生産性向上のためのツール導入などが必要です。

    採用活動への影響

    前述のとおり生産人口が低下するため人材の採用がむずかしくなるため、人材の確保は企業にとって重要な課題のひとつです。

    近年、企業は将来性はもちろん、多様な働き方ができるかどうかも求職者から選択基準として見られるケースが増えています。そんな中で、家庭と仕事の両立ができる制度の企業は、従業員にとって安心して働き続けられる職場になるでしょう。両立制度があることで採用しやすくなるのです。

    2025年問題に対する政府の対策

    政府は全世代型社会保障社会の実現に向け検討会議を行いました。日本の少子高齢化とライフスタイルの多様化の中で、誰もが安心できる社会保障制度に関わる検討をすることが目的です。

    この会議のポイントは以下の3つ。
    1.地域包括ケアシステムの充実
    2.公費負担の見直し・公平化
    3.介護人材の確保

    これらのポイントを押さえ、2025年問題に対して政府はどのような施策を推進しようとしているのか確認していきましょう。

    1.地域包括ケアシステムの充実

    政府は「介護は医療・介護を病院や施設などで行うものから自宅で行うものに」という方針で進めています。

    「住み慣れた地域の中で、介護される人が最後まで自分らしい生活ができるように」と、厚生労働省は2025年を目処に地域包括的な支援・サービス提供体制である「地域包括ケアシステム」の構築をスタートしました。

    これから、より高齢化社会が進むにつれ認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の生活を地域で支えるためにも重要だと考えられています。

    また、市区町村でも2025年に向けて、3年ごとに介護保険事業計画の策定・実施を通じ、地域の主体性や自主性に基づいた地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築も進めています。

    2.公費負担の見直し・公平化

    これまでは低所得者の負担軽減や調整など、3年に1度行われる介護保険法改正のタイミングで保険料の見直しが実施されてきました。今後は国民健康保険などの保険料について見直しが検討されています。

    仮に保険料の見直しが実施されると、所得が低い人は行政サービスが受けられなくなる可能性があり一律での対応は困難です。

    そのため政府は世帯ごとの所得に応じ、低所得世帯は保険料の低減・高所得世帯は保険料の引き上げをするなど公費負担の公平を図ろうとしています。

    3.介護人材の確保

    「地域包括ケアシステム」構築のために、高齢者を支える介護人材は重要な基板です。政府はこのシステム構築のため、介護人材確保に向け以下の図ような施策を進めています。

    出典:社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会

    ここからは各フェーズの施策についてポイントを押さえましょう。

    a.参人促進(介護業界の裾野を広げる)

    ・介護現場の特性に即した3つの魅力「楽しさ・深さ・広さ」の発信でマイナスイメージを払拭
    ・介護業界への就職を考えていない層への情報発信、交流イベント開催
    ・介護を就職の選択肢と考えている層への介護事業の見える化、求職者へのアピール
    ・介護を就職の選択肢と考えている層への職場体験や研修プログラムの充実
    ・一時的に介護から離れている介護福祉士向けの届出制度の新設、職場体験などの再就業支援

    b.労働環境・処遇の改善

    ・新人介護人材の早期離職防止
    ・結婚、出産、育児にかかわらず生涯働き続けられる環境整備
    ・労働環境、雇用管理の改善
    ・将来の見通しをもって働き続けるためのキャリアパスの整備
    ・介護ロボットなどによる腰痛対策や業務負担の低減

    c.資質の向上(山を高くする、標高を定める)

    ・介護人材を類型化し人材に応じた役割や教育、機能分化を図る
    ・多様な介護ニーズに応じた介護福祉士の養成プログラムの構築、役割分担
    ・介護福祉士資格取得方法の一元化

    時間外労働上限規制による「2024年問題」

    働き方改革関連法の1つである「時間外労働上限規制」は、時間外労働の上限に対する規制制度です。2019年には大企業、2020年には中小企業にも適用されました。

    その際、適用が猶予された事業・業務が「医師」「自動車の運転業務」「建設事業」などで、時間外労働上限規制が5年間猶予されています。

    この猶予の期日にあたる2024年4月には業界特有の問題が起こるとされています。

    医師

    医師の勤務環境改善には長期的な見通しが必要という判断から、時間外労働規制猶予の対象となりました。

    しかし医師が抱えている課題の中で深刻なのが人手不足です。日本の医師数は主要先進国と比較すると30カ国中26位とその数が非常に少ないのが現状です。

    また、医師は緊急対応・手術や外来対応などの延長に加え、事務作業などの業務移管ができてないことも問題になっています。患者の希望に寄り添い患者の都合に合わせなければならない医業サービスの過剰化は、医師の時間外労働を発生させる原因となっているのです。

    これらの課題を解決するべく、2024年4月までに勤務環境を改善する医師の働き方改革に取り組まなければなりません。これを医師の2024年問題といいます。

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    物流(自動車の運転業務)

    運送やトラックを含む「自動車の運転業務」も2024年4月までに職場環境を整えなければいけません。しかし物流業界も深刻な人手不足に陥っています。

    ネットショッピングやフリマアプリなどにより物流需要が急増しているものの、人材確保が追いつかず慢性的な長時間労働につながっているのです。常態化する長時間労働に加え、慢性的な人手不足が問題となっています。

    今後もさらにEC市場の拡大による物流需要が増加することが予測されており、着実かつ迅速な職場環境の整備が求められています。

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    建設

    出典:国土交通省

    国土交通省の「建設業における働き方改革」によると、製造業や調査産業計と比べ、建設業の年間実労働時間は100時間以上長いことが分かります。図をみれば建設業界の労働時間が長時間に及んでいることが容易に想像できるのではないでしょうか。

    建設業界の中でも多くを占める中小企業・下請け企業では短い納期の発注に追われることも多いのが現状です。休日返上で働かなければならない状況になることも珍しくありません。

    また、建設業界も深刻な人手不足・高い離職率が問題となっています。建設業界で働く人の高齢化が進むものの若手が採用できていないのが現状です。

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    関連する2030年問題も確認しよう

    日本人口構造の急激な変化により、2025年問題に続いて2030年にもさまざまな問題が生じると予測されています。2030年には一体何が起こるのか、確認していきましょう。

    日本の総人口1/3が65歳以上の高齢者になる

    出典:国立社会保障・人口問題研究所の推計

    国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2010年には約1億2800万人だった人口が2030年には約1億1600万人に減少し、65歳以上の高齢者人口は約3700万人に増加、高齢化率(総人口における65歳以上人口)は約31%になると推定されています。これは日本人の3人に1人が高齢者になるということです。

    また内閣府の資料によると国連の報告書では高齢化率が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会と呼ばれており、2030年の高齢化率31%は超高齢社会に突入するといえるでしょう。

    生産年齢人口の減少

    人口推移のうち、生産年齢人口(15歳〜64歳)は経済・労働環境を考える上で大きな問題となります。2010年に約8000万人以上だった生産年齢人口は2030年には約1300万人も減少すると推計されています。

    つまり人口減少以上に生産年齢人口が大幅に減少するため、高齢者を支える社会保障制度にも影響します。2010年には生産年齢人口約2.8人で高齢者1人を支えてきたものが、2030年いは約1.8人で1人を支える計算となります。これは高齢者を支える働き手世代の割合が猛スピードで減っていくということです。

    従業員の介護問題

    日本人の1/3が高齢者になると、介護をしながら仕事をする従業員が増えるでしょう。労働年齢人口が減少している一方で、従業員の介護離職も増加することが予想されます。

    企業が従業員に長く働いてもらうためには、介護と仕事を両立できる職場環境づくりを推進する必要があるといえるでしょう。

    日本のGDPが減少する可能性がある

    生産年齢人口の減少はGDPや労働市場の縮小に直結します。

    GDPとは国内で1年間に生産されたモノやサービスの付加価値の合計のことを指します。これには「労働者数、労働時間、労働生産性」が関連しており、どれかが増えれば向上し反対に減少すれば低下します。

    日本の生産年齢人口が大幅に減少するのは確実であり、働き方改革などにより労働時間も減少しています。そのため日本では労働生産性を向上させなければGDPの減少は避けられないといえるでしょう。

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    2025年問題に備えて働き方改革を推進しよう

    2025年問題はすぐには解決しない問題であり、対策をしなければ企業への影響は避けられません。企業はこの問題を避けてとおることはできないのです。

    具体的な対策方法は以下の通りです。
    ・テレワークやフレックスタイム制度など従業員が働きやすい職場環境の整備
    ・労働生産性をあげる取り組み
    ・高齢者など多様な人材が長く働き続けられる環境作り

    じつはこれらは働き方改革を推進することで実現できます。

    既存の従業員が健康で長く働ける職場環境は、採用時のアピールピントにもつながるのではないでしょうか。

    いまからしっかりと対策をして、高齢化社会にも負けない組織作りを推進していきましょう。

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