女性管理職が育つ職場とは?メリットや企業が行うべきポイントを解説

    世界に比べて女性のキャリアアップにおいて遅れを取っている日本。いまだ女性管理職比率は低く、キャリア支援が喫緊の課題となっています。

    今回は、女性管理職登用の現状を解説し、メリットや企業が行うべき対応、女性管理職が活躍する企業の取り組み事例を紹介します。

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    女性管理職登用の現状

    そもそも、女性が管理職を務める企業は日本にどの程度の割合で存在するのでしょうか。

    まずは労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2019」のデータをもとに、管理職に占める女性の割合を確認しましょう。

    出典:(独)労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2019」

    管理職に占める女性の割合は、多い順からフィリピン(52.7%)、アメリカ(40.7%)、オーストラリア(38.7%)となり、日本は14.9%と欧米諸国・アジア諸国と比べて大きく差のある値となっています。

    しかし、令和2年度雇用均等基本調査をみると、長期的には上昇傾向にあることが分かります。

    出典:令和2年度雇用均等基本調査

    このように微増の傾向はあるものの、世界的にみると日本の女性管理職比率は依然として低いため、より一層意識して取り組んでいく必要があるといえます。

    また、女性管理職比率が低い理由として「採用の時点で女性が少ない」、「必要な知識や経験、判断能力などを有する女性がいない」、「女性のほとんどが役職者になるまでに退職する」、などの理由が挙げられています。

    そのため、企業には採用時から女性従業員の母数を増やしたり、女性のキャリアアップを支援する施策を打つことが求められているといえるでしょう。

    女性活躍が注目される背景

    では、なぜ今それほど女性活躍が注目されているのでしょうか。少子高齢化による労働力不足や人材の多様化のほかにも、女性活躍が重要課題とされる理由があります。

    女性活躍推進法の改正

    女性活躍推進法は、女性が職業生活において自身の能力や希望に応じて活躍できる職場を整備することを目的として施行された法律です。

    改正により、従業員301人以上の大企業は行動計画の策定と情報公表が義務づけられているため、女性が活躍できる環境が整っている企業かどうか、情報が入手しやすくなりました。公表された情報は、女性の求職者にとって企業を選ぶ際の重要な判断基準となります。

    改正された女性活躍推進法の詳細は、以下の記事をご覧ください。

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    女性活躍の認定制度の創設

    政府は多様な職場での女性活躍を促進するため、女性がいきいきと活躍する企業に対して認定マークを付与しています。

    認定制度には、女性が活躍する職場を評価する「えるぼし認定」と、子育て中の女性へのサポート体制を評価する「くるみん認定」があり、それぞれ自社の商品や広告、求人案内などに表示することができるため、採用時のアピールにも有効的です。

    こうした制度の整備がもととなり、女性が活躍できる職場であること・育児と仕事の両立がしやすい職場であることがますます重視されるようになりました。

    女性管理職が増えることのメリット

    女性管理職を増やすといっても、自社にとってどんなメリットが得られるのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    ここでは、女性管理職比率を上げることのメリットを紹介します。

    ダイバーシティ推進につながる

    近年、人材や雇用形態の多様化がすすむとともに注目されているのが「ダイバーシティ経営」です。

    出産・育児などのライフイベントも仕事も頑張りたい女性、定年退職後も現役時代のノウハウを活かして働きたい高齢者などの多様な人材を雇用することで、企業の競争力が高まると考えられています。

    女性管理職比率を上げることで、より柔軟性の高い組織となりダイバーシティ推進につながることが期待できます。

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    女性社員のモチベーションがアップする

    女性が管理職として働き、はつらつと活躍する姿は部下のモチベーションアップにも非常に効果的です。

    月経や出産・育児に関する悩みを日々抱えながら働く女性にとって、昇進・昇格にも心理的な負担を感じている従業員も少なくありません。そうした点からも、女性の管理職は目標となる人物・ロールモデルとなり、働くモチベーションの向上につながります。

    社外からの評価につながる

    企業が積極的に女性管理職の登用に取り組むことで、長期的にみて重要となる社外からの評価につながります。

    女性がより活躍できるような職場改革を行っていくと、働きやすさ・働きがいの向上など内部の満足度が高まるとともに、認定マークが取得できたり、厚労省サイトへ掲載されたりと外部へのアピールポイントが増えます。

    女性管理職比率を上げていくと、企業の社会的な認知度や印象がアップするといったメリットも期待できるでしょう。

    女性管理職に向いている人の特徴

    女性管理職の登用にあたって、まずは社内で当てはまるような人物を選定しなければなりません。とはいえ、責任ある立場である以上、マネジメント層としての適性がある人物を絞りたいところ。

    ここでは、人物選定時に参考にしたい、女性管理職に向いている人の特徴をいくつかピックアップして紹介します。

    こまめな気配りができる

    管理職につけば、当然ながら他者の面倒をみることになります。自分のことでいっぱいいっぱいで周りのことが見えていなければ、とてもマネジメントまで手が回りません。

    必要とされる業務をこなした上で、周囲の人物のことを気にかけたり、ささやかな気遣いができる人物は管理職としての適性があるといえます。

    人の成長を見るのが好き

    管理職に向いている人の特徴として、誰かの成長を応援したり見届けることが好きであることが挙げられます。

    実際にマネジメントをする際に、積極的に部下との1on1の機会をつくったり、定期的なフィードバックを進んで出来るような人物を選ぶ必要があります。そうした適性をみるには、社内の交友関係の広さや年下の従業員との仲の良さなどが判断材料として参考になるでしょう。

    一人ひとりの個性に理解がある

    管理職の役割として最も重要なのが、「成果を上げるための組織づくり」です。

    マネジメントを体系化した経営学者ピーター・ドラッカー氏は、「組織の目的は、人の強みを爆発させ、弱みを無くすこと」と述べています。この言葉からもわかるように、従業員の個性を理解しそれを活かすようなマネジメント方法を考えることが、管理職には求められます。

    そのため、部下が持つそれぞれの個性に応じてどのような仕事を任せるべきか、どうすれば生産性が向上するかを常に考えられるような人物が向いているといえます。

    女性管理職に求められるスキル

    性別に限らず、管理職に求められているのはチーム全体としての目標の達成です。具体的に必要なスキルは、大きく分けて2点です。

    部下のパフォーマンスを最大化するスキル

    管理職にとって大事な能力は重要なのはチームメンバー、つまり部下の特徴を理解し、高いパーフォーマンスを引き出すことです。自分が動いた方が早い、では部下が育ちません。時には部下自身に考えさせ、重要な判断だけチェックしてあげる姿勢が必要です。

    つまり「任せる」ということです。

    任せた以上は必要以上に口を挟んではいけません。成功したら部下を褒め、失敗したら共に反省をする、そんなスタンスが重要です。

    部下に将来的な道を示すスキル

    部下が今後どのように成長していきたいのか、どのようなキャリアを歩んでいきたいのかを受け止め、それに対して相談に乗ったり、アドバイスをしたり、時には悩みに対する解決案やヒントを提示してあげたり、といったことが求められます。

    自分はこうしてきたから上手くいった、うまくいかなかった、という因果関係や結論の話ではなく、「その過程でどう思ったのか」「どういう意思決定をしてどう思ったのか」というプロセスや感情を共有すると良いでしょう。

    女性管理職が育つ職場のために企業がすべきこと

    では、実際に女性管理職を増やしていくには、どのようなことを行うべきなのでしょうか。ここでは、女性管理職が育つ職場作りのために企業が出来ることを紹介します。

    人事評価制度の基準を見直す

    まずは、女性が活躍していくための評価制度が整っているかどうか確認しましょう。そもそも人事評価制度は、昇給・昇格などの参考にするために個々の従業員の働きを評価する役割を担っています。

    職場環境の変化に応じて評価の基準を見直さなければ、適切な処遇がなされず、モチベーションの低下を招くことも。そのため、取り組んだ仕事の量や時間など単純な量的評価がなされていないか、男性が有利になるような条件となっていないか改めてチェックしましょう。

    ロールモデルを増やす

    女性活躍を推進するうえで欠かせないのが、ロールモデルを増やすことです。特に、ホルモンバランスの乱れ等で体調が変化しやすい女性にとって、管理職は重荷になる可能性もあります。

    取り組み始めてすぐは少なくても、徐々にロールモデルとなる女性従業員を増やすことで、「自分にもできるかもしれない」と自信をつくることができます。

    相談しやすい環境を整える

    身体的疲労だけでなくメンタル不調からくる疲労の対策も必要とされる昨今、職場に不満や悩みを打ち明けられるような相談窓口があることは重要です。

    特に、女性は月経にかかわる症状が人それぞれ異なるため、周囲に理解してもらえないこともしばしば。症状が重くてもなかなか相談できないまま離職してしまうこともあります。

    例えば、プライバシーに配慮するためにインターネット上の相談窓口をつくったりすることも良いです。女性管理職を増やすならば、まず女性の健康問題に寄り添った環境づくりからはじめましょう。

    柔軟な働き方の制度をつくる

    働き方の選択肢が広がることで、女性特有の健康問題や子育てと両立して仕事をすることが可能になります。

    在宅勤務制度があれば、月経前症状(PMS)などの身体の不調がある時や、子どもが風邪をひいてしまった時などにも安心です。また、出退勤時間を従業員自身で調整可能なフレックスタイム制があれば、時差出勤ができるため急な予定変更にも対応できます。

    有休を取りやすくする

    育児をしながら働くワーキングマザーにとって、休みを取ることに理解のある職場環境や有給休暇が取りやすい雰囲気は重要です。

    「子どもの通院やイベントに参加しやすい、時間単位の有給休暇の取得を促す」、「仕事と家庭との両立を図るための取り組みを企画・実施する職業課程両立推進者を立てる」というように、子育て中の女性従業員をサポートできる体勢を整えておくのがよいでしょう。

    女性のキャリア開発施策を実施する

    女性のための転職サイト『女の転職type』の調べでは、管理職になりたくない女性は約半数いると言われています。その理由の上位には、「自分にできる自信がない」がランクインしており、女性従業員の多くが管理職になることに不安を感じていることが分かります。

    出典:『女の転職type』が働く女性にアンケート【第29回】|PRTIMES

    こうした悩みを解消するために、女性のキャリア開発支援を行うことは効果的です。管理職として身に着けておきたい知識や心構えなどを学べるワークショップを行うなど、参加ハードルを低くすることも重要です。

    女性活躍の認定制度を取得する

    記事内でもふれた、女性が活躍する企業に与えられる「えるぼし認定」の取得を目指すのも最初の一歩として良いでしょう。

    具体的には、女性活躍の行動計画の策定と届け出をしたうえで、取り組みや実施状況が一定の基準に達した企業に与えられます。満たしている基準の個数によっても認定の段階が異なるため、どういった基準を満たす必要があるのかをチェックしておきましょう。

    女性管理職登用に積極的な企業の取り組み事例

    ここでは、実際に女性管理職が活躍する企業、女性管理職登用に積極的な企業の取り組み事例を紹介します。

    これから新たに取り組みを始める際には、企業事例を参考に施策を検討してみてください。

    女性活躍の基本方針「4つのR」を制定|みずほフィナンシャルグループ

    従業員の4割以上を女性が占めるみずほフィナンシャルグループでは、同社誕生の翌年からダイバーシティ推進活動を始め、2006年には「4つのR」をはじめとする女性活躍推進活動を行っています。

    女性活躍の基本方針として打ち出された4つのRは「Recruit」「Raise」「Retain」「Relate」に分かれており、女性が能力を存分に発揮して輝ける職場作りの指針となっています。

    こうした施策が評価され、同社は2016年・2018年・2019年・2020年と女性活躍推進に優れた上場企業として「なでしこ銘柄」に選出されています。

    ライフイベントに応じた企業風土を醸成|イオンリテール株式会社

    総合スーパーを運営するイオンリテール株式会社では、結婚や出産、介護などのライフステージに合わせて勤務地が選べる制度を導入しています。

    ライフイベントによって変化する環境に配慮し、特に家族や配偶者の影響を受けやすい女性も働きやすい、柔軟なワークスタイルを提供。具体的には、全国的な転勤がある「N(ナショナル)区分」、支社のエリア内に限って転勤がある「R(リージョナル)区分」、勤務地を限定し転勤なしで働く「L(ローカル)区分」に分けられます。

    選択するタイミングは新卒入社前に限らず、入社後も希望を提出できるため、配偶者の急な転勤などにも対応できるでしょう。

    従業員の利用できる保育所を全国に設置|株式会社ニチイ学館

    医療・介護・教育サービスを展開する株式会社ニチイ学館では、同社従業員が利用できる保育所を全国に設置しており、月16日以上利用する場合には1万円の手当が出る支援制度があります。

    女性社員比率が9割を超える同社、なんと8割近くが女性管理職として活躍しています。前項に支社を持ち、支店長の多くを女性が務め、連携体制を強固にしています。また、管理職を目指すためのモチベーションづくりを行い、従業員本人の希望に合わせたキャリア支援が実施されています。

    女性トップリーダー育成プログラムを実施|株式会社パソナグループ

    株式会社パソナグループでは、ワンダーウーマン研修とよばれる女性管理職を養成するプログラムを実施しています。

    管理職として必須となるプレゼン力の強化をはじめ、外部とのネットワーキング、各種教養講座を行うなど、女性従業員の背中を後押しする取り組みも豊富です。

    ほかにも、勤務時間の短縮や勤務地の限定、グループ各社社員が利用できる事業所内保育所を提供するなど、数々のワーキングマザー支援施策を行っています。

    女性社員が輝けるサポート体制を構築|株式会社ディー・エヌ・エー

    株式会社ディー・エヌ・エーでは、「DeNA Women’s Council」とよばれる女性のキャリアデザイン支援策を実施。

    仕事と家庭の両立支援として各種制度の見直しから産休・育休復帰を迎える従業員へのワークショップまでさまざまな支援をおこない、女性ひとりひとりが戦力となって動けるようなサポート体制が組まれています。

    2012年に出産・育児の制度を新たに導入した際には、既婚社員だけでなく未婚の女性社員・男性社員からも好評を得られたそうです。

    ステージ別の研修で女性のキャリア形成を支援|アフラック生命保険株式会社

    アフラック生命保険株式会社では、女性活躍推進に創業以来取り組み、女性社員がそれぞれの価値を発揮するためのステージ別研修を行っています。

    昇進を目指す助成を一人でも増やすため、上司がつくった部下の育成プランをもとに面談、同社ダイバーシティ推進部がチェックを行うことで、昇格をあきらめていた従業員のキャリア形成につながっています。

    また、そうした取り組みによって希薄になっていた上司と部下のコミュニケーションの活性化にも成功しています。

    性別を問わず多様な選択肢を提供|株式会社インテリックス

    窓装飾インテリアの製造・販売を行う株式会社インテリックスでは、妊娠・出産を機に離職者が増えてしまう課題の解決のため、各種支援制度を充実させました。

    短時間勤務の拡充や育休後の面談実施などの基本的な支援策を充実させ、同時に女性管理職を増やしたことで、女性の離職者減少に成功しています。また、一つの業務を複数の従業員で担当するワークシェアリングを導入したことで、「助け、助けられる関係」を構築。

    お互い様の社内文化が醸成されたことで、休暇の取りやすさにつながり、今では男性の育児休暇取得数も増えているといいます。

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    女性管理職の登用は企業全体で取り組もう

    女性の社会進出が進んできたとはいえ、残念ながらいまだに女性管理職の比率は依然として低い企業がほとんどです。しかし、女性が管理職になれるかどうかは本人の努力だけで実現できる問題ではありません。

    女性が働き続けやすい環境を企業が整備していくことで、管理職の養成につながります。まずは、既存の制度の見直しから自社の働き方改革を始めてみてはいかがでしょうか。

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