営業担当者などがお客様に配る、会社オリジナルの記念品は、一般的に総務で作成して管理します。はじめて担当される方は、こちらを参考にして業務を行ってみてくださいね。

1.記念品管理業務の流れについて
おおまかな記念品管理業務の流れは、以下のようになります。
記念品企画
記念品をどのようなものにするか、管理職の要望などにもとづいて担当者が企画します。お客様サービスのための記念品を作成する場合や、あるイベント(〇〇周年記念など)限定の記念品を作るケースなどがあります。大きな企業の場合、宣伝部が企画して作成まで行うケースもあります(自社CMに出演しているタレントさんのグッズを作る場合など)。
(相)見積依頼
取引先に、見積とサンプルの提出を依頼します。1社でしか作れないような商品の場合は、その会社だけにお願いするしかないですが、極力複数の業者に依頼をするのが質の面でもコストの面でも合理的な判断ができるのでオススメです。また、発注するロットが多い場合には通常の規格ではないものも発注できる可能性もありますので、似たようなものを作っている企業に声をかけるというのもオススメです。
見積依頼書のフォーマットを作成しておくと、必要事項を入力(記入)するだけで良いので便利です。
見積依頼書には、
・希望する品の詳細(商品名やサイズ、素材など)
・名入れや包装の有無
・希望納期
・必要数量
などを入力します。まったくオリジナルなものをお願いする場合、手描きで絵を描いたほうが取引先にイメージが伝わりやすいです。商品は、取引先のカタログから選ぶケースもあります。取引先によっては、サンプルは有料になるケースもあるので、注意が必要です。
見積・サンプル作成
取引先が見積依頼にもとづき、見積書とサンプルを作成します。
納期や予算が見合わない場合、見積の提出をお断りされるケースもあります。
見積・サンプル検討
記念品担当者は見積とサンプルが集まったら、どの記念品が良いかをまとめ、管理職と相談し、回答期限までに発注するものを決めます。発注しない取引先には、お断りの連絡を入れましょう。
発注(注文書送付)
記念品担当者は、見積内容にもとづき、注文書を作成。管理職の押印後、決定した取引先に郵便で送付します。会社によっては、データで送信するケースやFAXやPDFで送るだけのケースも。不達の可能性もあるので、電話やメールで、データが届いているか必ず確認しましょう。郵送の場合、切手を貼り、取引先と自社の住所を書いた返送用の封筒を同封すると、より親切です。
チェック後押印
取引先は、注文書が見積通りの内容になっているかチェックし、管理職に押印してもらいます。
注文書送付
注文書を郵便で返送します。この時点で、取引先は発送や印刷などの準備を開始します。FAXやPDFで注文した場合、取引先から注文請書が発送されてくるケースもあります。
注文書保管
購買担当者は、届いた注文書に必要事項が書かれているか、押印漏れなどがないか確認した後、注文書専用のファイルに保管します。もし、注文書が4~5日届かない場合は、取引先に封筒が到着しているか確認したほうが良いかもしれません。
納品
取引先は、指定されている納品先に品物を納品書と共に納品。記念品は一括で管理を行うので、記念品用の倉庫または総務に納品されるケースが多いです。
品物受け取り
倉庫の担当者か総務の購買担当者は受領印を押し、取引先または運送会社に受領書を渡します。
請求書発行
購買担当者は、購買の締め日までのデータを集計し、請求書と請求明細を取引先に送付します。この場合も、切手を貼り、取引先の住所を書いた返送用の封筒を同封すると、より親切です。購買の締め日は月末締めの場合、20日ごろが一般的です。
チェック後押印
取引先は、請求明細と請求書の金額があっているかチェックし、管理職にはんこを押してもらいます。
請求書送付
取引先が購買担当者に検収日前までに請求書を送付します。
検収
取引先から届いた請求書をもとに、取引先にお金を支払うための検収作業を行います。検収の締切日になっても取引先から請求書が届かない場合、FAXなどで送ってもらうよう電話で督促します。原紙も後から郵送してもらうようにお願いしましょう。検収したデータは、経理担当者に渡します。
入金
経理が金融機関に振込処理を行い、契約した支払日にもとづき、取引先にお金が支払われます。大企業の場合、30日後払いや60日後払いのケースが多いです。中小企業の場合、総務が経理業務を兼ねていることも。
払出依頼
従業員は記念品が必要になった段階で、必須事項(品名・必要数量・使用理由など)を記入し、払出依頼書を総務担当者に提出します。
払出
総務担当者は、倉庫で管理する場合は倉庫の担当者に払出依頼書を渡し(データまたはFAXやメール便を使用)、従業員のもとに配達してもらいます。総務で管理する場合は自ら従業員に払出をします。
棚卸
月末に、総務担当者は記念品の在庫数量が発注数-払出数とあっているか棚卸を行います。
実績
購買担当者は、月初めから月末までの各部署の払出金額を集計。その分の実績が各部署につきます。通常、半年ごと(上期と下期)に部署で使える予算は決められており、その予算をオーバーすると、記念品の注文依頼ができなくなります。
2.記念品管理担当者のその他の仕事
売り込みやご機嫌伺いなどに来られる取引先の方とお話をして、いろんな取引先の情報を得たり、新しい記念品の発注を検討したりします。取引先の方からいただいた名刺はファイルやボックスで管理し、取引があまりない方は、名刺の裏などにその方に関しての特徴や気づいたことを記入しておくと、次回お会いした時に役に立つかもしれません。
宣伝部が企画して作成を行う場合、サンプルが届いた段階で、この内容で発注して大丈夫か確認に来るケースもあります。また、宣伝部が企画した記念品も、作成完了後の発注・管理・棚卸などは記念品担当者が行うようになります。
3.記念品管理を行う上でのコツ
相見積する場合、新規の会社よりも、もともと取引のある会社に絞って見積をとったほうが、社内事情に通じているため、希望したものが手に入りやすいです。
新規取引先にお願いすることになる場合は、支払い条件などを契約書にまとめ、先方にお渡しします。
相見積をとる場合は、取引先が手配などを先にしてしまわないよう事前通告を行いましょう。
名入れを行う場合、最小ロット単位が決められているケースが多いです。その場合、最小ロット単位数以上で発注を行いましょう。
ノベルティーは、基本的にロットが多いほど1つ当たりの単価は下がります。継続して使い続ける記念品ならば、大量発注するほうがコストを下げることができます。しかし、イベントで使用する場合など使える期間が限られる場合ならば、イベントが終了するとお客さんに配れなくなってしまうため、最低ロットなど少なめの数で発注したほうが良いかもしれません。
会社のロゴなどは、CI(コーポレート・アイデンティティ)でサイズのバランスやカラーが決められています。記念品を作る際には、CIにもとづいたロゴなどを使用するようにしましょう。
おせんべいなど、賞味期限があるものが記念品になることがあります。その場合、賞味期限が切れて無駄にならないよう、過去の払出数をチェックして在庫切れにならない範囲で(納品までは約1週間かかるため)発注します。お客様に賞味期限ぎりぎりや期限切れのものをさしあげるのは失礼なので、余ってしまった場合は払出を行わず、総務の実績につけると良いでしょう。どの段階で払出を中止するかは、上司とご相談ください。
4.記念品管理に関する豆知識
契約書・請求書・見積書、棚卸表など、取引に関する書類の保存期間は7年間です。(法令で決められています)月別・取引先別などでファイルをわけ、キャビネットや文書保存箱などで保管しましょう。
取引先から送ってもらう書類は、原則は郵送です。PDFやFAXの場合、データが改ざんされる恐れもあるため。もし、PDFを正式書類にする場合、電子署名が必要になります。原本が届いたら、FAXで届いたものが残っているとまぎらわしいので、シュレッダーにかけ破棄しましょう。(他の伝票を間違えて処分しないよう、要注意!)
記念品管理に関する勘定科目は、会社により多少異なるケースもありますが、こちらを参考にしてください。
広告宣伝費
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記念品を不特定多数のお客様に、会社の宣伝としてお渡しする場合 |
交際費
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記念品を取引先など事業に関係のある方にお渡しする場合 カレンダーや手帳など少額の場合、広告宣伝費で落とすケースも |
福利厚生費
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記念品を社員に配る場合(1つ1万円以下) 1万円以上なら、給与等 |
地代家賃または賃借料
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倉庫に記念品を置くだけの場合(保管料とするケースも) |
保管料
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倉庫で記念品を管理してもらう場合 |
運送料
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倉庫にある記念品を従業員に運送してもらう場合(継続的な場合、保管料を含むケースも) |
雑費
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賞味期限切れの記念品が発生した場合(総務の費用として計上) |
棚卸減耗損(棚卸減耗費)または雑費
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棚卸の際に、記念品の数がマイナスになった場合 |
※大きな会社の場合、倉庫関連の支払業務は、別の担当が行うケースもあります
関連記事:社用車管理はどんな仕事?社用車管理のコツとは?
まとめ
代表的なプロセスについて紹介しましたが、会社の規模によって記念品管理の仕方も異なり独自のルールが存在することもあります。わからないことは以前に同じ業務をした前任者や上司に確認を忘れないようにしましょう。少しでも不安だったら自分だけで判断しないことが大事です。
