現代人にとって働き方はすでに1つだけでなく、さまざまなスタイルが確立しつつあります。企業側も働く人に合わせた制度作りが求められ、給料面以外の福利厚生について着目する人も増加傾向にあります。
中でも自己啓発などスキル・キャリア面で充実した福利厚生を用意している会社は人気があります。特に、ソフトウェア開発を手掛ける会社「サイボウズ」は、「育自分休暇制度」を設けています。「育自分」というのは、自分を育てる、とう意味で、離職してから6年の間は復職できることを認めています。
6年という期間の間は転職や海外留学と何でもやっていいサイボウズの「育自分休暇制度」ですが、具体的にはどのような福利厚生なのかチェックしてみましょう。

サイボウズの「育自分休暇制度」とは
サイボウズはグループウェア国内シェア率ナンバー1の会社。主にソフトウェア開発を行っており、こうしたIT関連の会社は基本的にハードワークなのが一般的。サイボウズも元々は例にもれず過酷な労働環境が定着しており、2005年時点では離職率が28%をマークしていました。
定着率の悪さを改善するため、サイボウズでは2005年以降から福利厚生をはじめ制度改革を実施。その中の1つが「育自分休暇制度」です。
「育自分休暇」は35歳以下のエンジニアやスタッフを対象にした制度で、一度会社を辞めた状態にします。その後は会社を辞めた状態なので転職や留学など、あらゆることを、自由に自分を育てることができるような制度になっています。
この福利厚生のポイントは、6年間はサイボウズへ復職することを確約している点です。「育自分休暇」を利用したい人には「再入社パスポート」が発行され、本物のパスポートのような手帳が手渡されます。この手帳を持っていて、6年の間ならば復帰することができるようになっています。
もちろん、途中でこの制度を止めることもできます。また、6年間の活動を経てサイボウズからの退職を決めれば、会社側がその意思を尊重して辞職もできるようになっているようです。
サイボウズでは育自分休暇制度施行後、離職率4%以下に!
「育自分休暇制度」は一見すると、サイボウズの離職率をさらに助長しかねない制度に見えます。しかし、この制度を導入することで一時期は28%もあったサイボウズの離職率は4%まで縮まりました。
この「育自分休暇制度」を利用している間は辞職扱いのため、何をしても自由です。留学などスキルアップをする人もいれば、青年海外協力隊などボランティア活動に勤しむパターンもあります。
会社側が社員の仕事以外にチャレンジしたいことを応援することで、サイボウズで働くことに誇りを持ってくれると考えているようです。それが形となったのが「育自分休暇制度」と言えます。
サイボウズでは多様性のある働き手を育てています
過去の日本は新卒採用の人を一気に採用し、そのほとんどの人が同じ仕事をして、ほとんど同じ人生を歩むのが一般的でした。しかし、働き方が多様化することでみんなが同じ仕事・人生を歩むケースを維持することが難しくなっています。また、イノベーションの創出も難しいのが現実です。
そこで、サイボウズでは「育自分休暇制度」を導入することで、あえて別の職場や環境に飛び込むことを積極的に促すようにしています。別の経験・知識が持つ人が会社に多く組み込まれることで、新しい化学反応が起きるような会社作りを進めています。
サイボウズはみんなが「同じ」であることを強要するのではなく、「違い」を組み合わせることでチームを作っていく。そのためには各個人がスキルアップを図り、より個性を磨く必要があります。そうした自分磨きの実現をプッシュしてくれる福利厚生かと思います。
