勤務間インターバル制度とは?導入ポイントや企業事例を解説!

    「勤務間インターバル制度」とは?導入ポイントや企業事例を解説!

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    今日、長時間労働の改善策として、ワークライフバランスの推進などの提案がされています。その一環として企業が定めた一定時間以上の休息時間を設ける制度、いわゆる「勤務間インターバル制度」が2019年に努力義務化されました。

    本記事では、「勤務間インターバル制度」の導入背景やポイント、企業事例を中心に解説します。

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       勤務間インターバル制度とは?

    勤務間インターバル制度とは、1日の勤務が終了した後から翌日の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息する時間、いわゆるインターバル時間を設けることで、従業員の心身の健康を考える意味でも生活時間および睡眠時間を確保する制度となっています。

    EU加盟国では、日本よりも早い時期に勤務間インターバル制度が導入されて、1993年に制定されたEU労働時間指令では、24時間につき最低連続11時間の休息する時間を与えることが義務となっています。

    参考:EU主要国のインターバル制度について|厚生労働省



    たとえば、始業時間8時、終業時間17時、21時まで残業した従業員の場合、インターバル時間が11時間以上というルールであれば翌日の始業時間が10時となります。

     



    出典:勤務間インターバル制度をご活用ください|厚生労働省

    導入の目的

    勤務間インターバル制度を導入する目的は、従業員の勤務時間以外のプライベートの時間と睡眠時間を確保することで、心身ともに健康で過ごせることにすることです。

    長時間労働による生産性のダウンと心身の健康リスクの原因は、毎日の度重なる残業です。この生活リズムが続くと、睡眠時間が削られ、疲労回復がしにくくなります。状況によっては、ストレスによるうつ病の発生、ストレスに伴う飲酒や喫煙の回数も増えてしまい、命の危険性が高まることもあるため、勤務間インターバル制度の導入が必要とされているわけです。

    2019年より努力義務化

    日本では、2018年10月に「労働時間等設定改善法」(=労働時間等の改善に関する特別措置法)が改正され、2019年4月1日より事業主の努力義務として勤務間インターバル制度を導入する運びとなりました。

    制度の周知や導入に関する数値目標も

    2021年7月30日に「過労死等の防止のための対策に関する大綱の変更」が、閣議決定されました。

    勤務間インターバル制度の認知を上げ、運用できるよう、「2025年までに勤務間インターバル制度を知らなかった企業の割合を5%未満、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上」にするという数値目標を定めています。

    勤務間インターバル制度導入のメリット

    勤務間インターバル制度を導入するメリットは、主に次の5つとなっています。

    ①従業員の健康維持

    勤務終了時間から翌日の勤務開始時間まで一定の休息時間を確保できるため、従業員が心身ともに休息できるようになり、健康維持がしやすくなります。併せて、長時間労働による過労や体調不良の予防にもつながります。

    ②ワークライフバランスの実現

    勤務間インターバル制度を設けていると、従業員の休息時間や睡眠時間だけが確保されるだけでなく、趣味や勉強などといったプライベートの時間も増える見込みがあります。

    例えば、友人とライブに行く、習い事をする、地域のボランティア活動に参加するなどの自分の好きなことをする時間に充てられます。ワークライフバランスを考えた勤務体制によって、従業員各々の仕事のモチベーションも上がり、「良い循環」が築かれるかもしれません。

    ③生産性の向上

    一定の休息時間を設けることは、業務の集中力を高める見込みがあります。長時間労働は、思考回路が鈍くなり、ケアレスミスといった注意力散漫の原因の一つといわれています。それを防ぐためにも、仕事時間と休息時間にメリハリをつけることが最適です。このようなワークスタイルによって生産性が向上します。    

    ④離職率の低下

    残業時間が多くなると、心の余裕もなくなり、身体の疲れも取れず、離職率が高まる可能性があります。実際に長時間労働が原因で離職した、尊い命を落とすといった事例が発生したこともあり、最近では働き方改革が見直しされている傾向です。企業で勤務間インターバル制度が定着していると、休息が取りやすい環境なので、離職率の低下につながります。

    ⑤人材の採用につながる

    勤務間インターバル制度が確立された環境は、従業員の置かれている事情に対応した働き方が実現するだけでなく、従業員の満足度が上がり、長期的に安心して働ける環境を構築します。

    第三者から企業の働き方が高く評価されることで、企業としての評価が上がり、求人へのエントリー数が上がり、ミスマッチの採用が回避できるかもしれません。

    勤務間インターバル制度導入までのポイント

    企業が今後、勤務間インターバル制度を導入する場合、どのようなポイントを押さえると良いのでしょうか。主なポイント5つを順番に解説していきます。

    ①労働時間の実態把握を行う    

    勤務間インターバル制度を導入する際は、従業員の労働時間の実態調査をまず行いましょう。従業員が休むべきに休息を取っているか、ひと月当たりの残業時間が多いといった現場の状況を把握していないと、ルールを定めることが難しくなるかもしれません。

    ②実態を踏まえて休息時間を確保する    

    従業員の実態把握のヒアリングをしたら、自社および従業員にとって最適な休息時間数を確保していきます。例えば、始業時間が朝10時、かつ終業時間が19時という就業スタイルの場合、19時に定時で仕事を切り上げたなら、翌日の10時までの15時間が勤務インターバル制度に当てはまります。

    ③従業員に制度内容を周知する    

    企業が勤務間インターバル制度を導入する際に、忘れてはならないのが、従業員に制度の詳細内容を知らせることです。どうして制度を用いなければならないかという点も知らせておくと親切かもしれません。

    ④効果測定を行う

    制度導入後も、従業員が決められた時間で休息しているかどうか、または生産性が向上したかなどの効果の検証を確認します。制度による効果が得られない場合は、課題点の洗い出しをしながら、制度の内容や運用のやり方を考えなければなりません。

    ⑤本格導入スタート

    勤務間インターバル制度の概要の周知および実態の状況チェックが終わったら、制度を本格的に導入する流れとなります。ただし、途中で改善すべき事項があった場合、再度制度の見直しが必要となりますので、その点を頭に入れておきましょう。

    勤務間インターバル制度の助成金も!

    政府は、中小企業事業主向けに勤務間インターバル制度の支援の一環として、助成金制度を設けています。2022年12月12日に、制度の拡充を行いました。詳細は以下のとおりです。

    【交付および支給の詳細】

    交付申請期間

    2022年12月12日(月)~2023年1月13日(金)

    事業実施期間

    2023年3月16日(木)まで

    支給申請期限

    事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日
    または
    2023年3月24日(金)のいずれか早い日

     

    今回の変更点は、以下の2点です。

    1)常時使用する労働者数が30人以下の事業主が賃金引上げを達成した場合、加算額を増額

     

    引上げ人数

    1~3人

    4~6人

    7~10人

    11人~30人

    3%以上
    引上げ

    15万
     ↓
    30万円

    30万円
     ↓
    60万円

    50万円
     ↓
    100万円

    5万円/1人
    (上限150万円)
       ↓
    10万円/1人
    (上限300万円)

    5%以上
    引上げ

    24万
     ↓
    48万円

    48万円
     ↓
    96

    80万円
     ↓
    160万円

    8万円/1人
    (上限240万円)
       ↓
    16万円/1人
    (上限480万円)

     
    2) 労務管理担当者に対する研修の事業および労働者に対する研修(※業務研修を含む)の事業にかかる経費を、「合計30万円まで」に増額


    参考:働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省

    勤務間インターバル制度導入の企業事例5つ    

    勤務間インターバル制度を導入した企業は、どのような取り組みをしたか知りたいという方もいることでしょう。こちらでは実際に勤務間インターバル制度を導入した主な5つの企業を紹介します。

    アラーム機能を導入し、時間を意識した働き方を展開|ユニ・チャーム株式会社    

    出典:ユニ・チャーム

    ユニ・チャーム株式会社では、2017年1月に勤務間インターバル制度を導入しました。全社員を対象に従業員の健康・安全・集中力を維持する目的として、勤務終了時刻から次の勤務開始時刻までの間に、最低8時間以上の休息時間を確保しなければなりません。また、インターバル制度を用いて時間の情報がない場合、22時にアラートの表示が出る仕組みとなります。

    参考:ユニ・チャーム株式会社|厚生労働省

    1970年代から制度スタート|本田技研工業株式会社


    出典:本田技研工業

    本田技研工業株式会社(以下、本田技研)は、事業領域によって勤務間インターバル制度の時間が異なっているのが特徴です。22時以降まで残業をする場合、本社および営業部門では12時間、研究所においては10時間、工場(製作所)においては9時間30分~11時間30分の間隔調整が入ります。また、本田技研では、勤務間インターバル制度という名称ではなく、
    「深夜勤務における翌日出社時間調整」というワードで運用しており、1970年代あたりからこのようなワークスタイルが定着しているそうです。

    参考:本田技研工業株式会社|厚生労働省
    深夜勤務における 翌日出社時間調整ルールのご紹介 本田技研工業株式会社|人事院

     

    日本の勤務間インターバルの先駆け|KDDI株式会社

    出典:KDDI

    KDDI株式会社の勤務間インターバル制度が全社で適用されたのが、2015年7月です。それ以前も一部のセクションでは勤務間インターバル制度を導入していました。就業規則として最低8時間のインターバルの時間に充てるよう義務づけられています。また、管理職対象の健康管理指標として、ひと月のうち11日以上は11時間というラインを設け、健康管理にも注力しています。

    参考:KDDI 株式会社|厚生労働省

    柔軟な働き方の展開で「健康経営優良法人 2022」に認定|株式会社東急ハンズ

     


    出典:東急ハンズ

    株式会社東急ハンズでは、従業員の健康管理を目的とした勤務間インターバル制度を運用しています。繁忙期や閑散期を問わず、9時間のインターバル時間を設けています。ほかにも柔軟な働き方が高く評価され、「健康経営優良法人 2022」に認定されました。

    参考
    株式会社東急ハンズ| 働き方・休み方改善ポータルサイト
    「健康経営優良法人 2022」に認定されました|株式会社東急ハンズ

    営業担当の健康を考えた働き方を提案|サッポロビール株式会社

     

    出典:サッポロビール

    サッポロビール株式会社では、従業員が働きやすい環境の整備の一環として2017年~2018年にテレワーク制度などと併せて勤務間インターバル制度を採り入れました。特に営業部門に関しては営業先とのお付き合いなどで勤務時間が深夜の時間帯になることがあったため、営業担当の健康を配慮し、勤務終了時間から翌日の始業時間までに最低10時間確保する流れとなっています。

    参考:サッポロビール株式会社| 働き方・休み方改善ポータルサイト

    企業と従業員の“これから”を考えるなら「勤務間インターバル制度」の導入を

    長時間労働が積み重なると、企業としてもステップアップにならず、優良な人材を確保しづらくなります。それを回避する方法の一つが、「勤務間インターバル制度」です。この制度は特筆すべき点は、従業員の生産性アップとワークライフバランスを考えていることです。これからも業績を上げていくために、今一度、労働環境を見直し、その選択肢の一つとして勤務間インターバル制度の導入を検討するのが、最善策になるかもしれません。

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