プレゼンティーイズムとは?DeNA平井氏が語る健康経営の秘策

    健康経営についてのセミナー<働き方改革の中で最重要とされる「健康経営」の始め方、成果の出し方について>が開催されました。(主催:健康経営ドットコム)セミナーには、平井孝幸氏(DeNA CHO室 室長代理)、岡村さくら氏(California Institute of Integral Studies Integrative Health Studies 修士課程)が登壇。今回は、自社で積極的に健康経営に取り組むDeNA平井氏が、実践する中で気がついた健康経営のポイントについて語ったセッションの様子をお送りします。オフィスコンビニ型の健康社食の導入増加中!  1品100円で、24時間いつでも食事を提供できる「置き型社食︎のオフィスおかん」。  普段の食事補助だけでなく、人材定着、従業員満足度向上などの目的で全国で導入されています。 「オフィスおかん」の詳細をみる


    近年注目が集まる健康経営

    「健康経営とは、社員の健康管理を経営的視点から考え、 戦略的に実践することを指します。今年度より経済産業省が、特に優良な健康経営を実践している企業を表彰する『健康経営優良法人認定制度』を開始したこともあり、健康経営が企業の評価を上げる重要な指標になりました。」

    株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)では、2016年1月に社内で健康を推進する専門部署CHO室を設立。以来健康経営に取り組んでいます。

    DeNAが実践する健康経営術

    健康経営に注力するきっかけは「プレゼンティーイズム低下」

    「DeNAが健康経営に取り組んだ背景には、社員のプレゼンティーイズムが低下していたという背景があります。以前、健康に関するアンケートを社員に実施したところ、睡眠に悩みを抱えていたり、腰痛持ちであったりと、健康を損なうことで生産性が低下している社員が多いということが明らかになりました。このようなプレゼンティーイズムの低下による損失は、23.6億円と推計しています。そこからDeNAでは健康経営に対する問題意識が高まりました。」


    DeNA CHO室 室長代理 平井孝幸氏

    プレゼンティーイズムとは

    プレゼンティーイズムとは、会社に出勤しているものの健康上の問題で労働に支障をきたし業務パフォーマンスが低下している状態です。社員の健康に関するコストの中には医療費や欠勤なども含まれますが、プレゼンティーイズムが低下することによる労働損失コストはそれらを大きく上回るとされています。

    経済産業省が社員の健康に関するコストと個人の健康の関係を調査した結果、健康関連リスクの高さによって一人あたり30万円程度の損失が発生するとわかりました。

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    出典:経済産業省 『健康経営の推進に向けた取り組み

    プレゼンティーイズムの測定方法

    プレゼンティーイズムの測定方法としていくつかの評価スケールがあるのですが、ここでは「WHO-HPQ スケール」を例に説明します。WHO-HPQはWHOが開発した健康と労働パフォーマンスに関する質問紙で、この中から3つの質問を使いプレゼンティーイズムを算出することができます。使用する質問は以下の3問になります。

    【問 B9】0 があなたの仕事において誰でも達成できるような仕事のパフォーマンス、10 がもっとも優れた勤務者のパフォーマンスとした 0 から 10 までの尺度上で、あなたの仕事と似た仕事において多くの勤務者の普段のパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか?
    【問 B10】 同じ 0 から 10 までの尺度上で、過去 1-2 年のあなたの普段のパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか?
    【問 B11】同じ 0 から 10 までの尺度上で、過去 4 週間(28 日間)の間のあなたの勤務日におけるあなたの総合的なパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか?

    出典:WHO Health and Work Performance Questionnaire (short form) Japanese edition

    プレゼンティーイズムには2種類あり、健康リスクとの相関を見るための「絶対的プレゼンティーイズム(Absolute presenteeism)」、健康による損失コストを計算する「相対的なプレゼンティーイズム(Relative presenteeism)」があります。先程の3問を用いて、それぞれの値を算出する方法は以下になります。

    絶対的プレゼンティーズム = 問B11 × 10
    相対的プレゼンティーズム = 問B11 ÷ 問B9

    ※相対的プレゼンティーイズムの値は0.25>を0.25に、2.0<を2.0におさめて、範囲を0.25-2.0までにします。

    一般にプレゼンティーズム低下による損失コストは、「プレゼンティーズム損失割合×賃金」によって算出するとされています。

    4分野に着目した具体的な取り組み

    「DeNAでは、食事・睡眠・運動・メンタルの4分野を対象に、運動器具の導入、腰痛撲滅プロジェクト、睡眠、メンタルヘルスセミナーの開催、食への意識を高めるウェルメシプロジェクトなど様々な取り組みを実施しています。」

    これらの取り組みを実施する中で、DeNAが大切にしているポイントについて平井氏は言及しました。

    健康経営が上手くいく3つのポイント

    「健康経営を実施していく中で、大切なポイントは3つあります。
    1つ目は、なぜ健康経営を実施するのか明確にすること。
    2つ目は、誰をどうしたいのか明確にすること。
    3つ目は、状態と成果を見える化させることです。」


    ① 健康経営を実施する意義を明確にする

    「行う意義を明確にするために、健康経営のビジョンやコンセプトをつくり、それに基づきポスターで啓発活動を実施しています。また、南場会長自ら社員に対しさまざまな場で情報発信を行なっています。これらの活動は、社員が健康経営に関する共通認識を持つことに寄与していて、普及には必要不可欠なことだと考えています。」


    ② 誰をどうしたいのか明確にする

    「誰をどうしたいのか明確にできなければ健康経営はうまくいきません。そのためには、現場を知ることが重要です。職種や役職別で、健康損失の程度、それぞれの課題を明確にします。限られたリソースの中で、会社として注力するポイントをはっきりさせて投資していくことが必要だと考えています。」

    ③ 状態と成果を見える化する
    「社員のプレゼンティーズム低下の程度を、数値で“見える化”することが大切です。それをもとにKPI(主要評価指標)を設定し、施策を実施しています。各施策を実施する際は、現状の数値や施策にかかるコストまでしっかり把握しなければなりません。」

    健康経営を定着させる秘訣

    「健康経営の考えを定着させるためには、社員が主体的に参加するような仕組みが必要です。そこで重要なのが、健康経営にネガティブな印象を与えないこと。また、すぐ成果が数字で表れないので、地道に継続していくことが大切です。」

    これからの健康経営とは

    人材不足による生産性向上、人材確保の必要性から、健康経営への取り組みは今後も加速することが予想されます。そしてプレゼンティーイズムの重要性もますます高まっていくでしょう。

    そんな時、DeNAの取り組みは参考になるポイントが多いですね。これからの時代は、健康経営を実施する意義を明確にする、誰をどうしたいか明確にする、状態と成果を見える化する、この3つのポイントを意識しながら、決して強制するのではなく、地道に健康経営に取り組むことが求められるのではないでしょうか。

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