ワークライフバランスは何も大企業のものというわけではありません。中小企業でも成果を残しているところは多数ございます。そこで今回は中小企業に注目しワークライフバランスの事例をご紹介します。

成功事例がもたらすワークライフバランスの効果
中小企業庁が行なったアンケートによりますと、ワークライフバランスへの取り組みが高い会社は『この会社の社風や組織風土は自分によく合っている』という項目で64.7%という数値を指しています。ちなみに取り組みを行なっていない企業は同項目で30.1%でした。また、『今の職場で働いていることを誇りに感じる』という項目では取り組んでいない企業が25.7%だったのに対し、取り組んでいる企業は58.7%となっています。
そして、従業員の定着率や意欲についてもデータが出ています。『退職者が減り定着率が高まった』と答えた企業が取り組みの少ない企業が27.0%なのに対し、取り組んでいる企業は53.1%と約倍の数値になっています。また、『仕事の質が高まった』と回答した企業も22.6%と43.0%と2倍近くの差が出ています。従業員の定着率や生産性にプラスに働いているようですね。
このデータから、中小企業においてワークライフバランスの取り組みはいい方向に作用していると言えるでしょう。
中小企業のワークライフバランスの実例
それでは実際に巷の企業がどういった取り組みをしているのか事例を見てみましょう
株式会社オーシスマップ
兵庫県にありますオーシスマップは測量の会社です。業界の習慣として長時間労働が横行していて、繁忙期には体調を悪くする人も多かったそうです。
そこで実践されたのが定時退社と残業申請制度です。定時退社しなさいというお達しや、残業をする場合には基本的に冗長に申請をしなければならないという制度は多くの会社で導入されていると思いますが、実際に厳格な運用をしている企業はそう多くはないのではないでしょうか。
オーシスマップでは、そこをきちんと運用することで、基本的に残業はしてはいけないものという認識が社員に芽生え、長時間労働がかなり抑えられるようになりました。
また、長時間労働が是正されると良い会社にするために、新しい取り組みを作る動きが活発になってきました。月に一度は『家族の日』ということで残業一切禁止の日を設けたり、社内で共有するスケジュールに、社員の家族の記念日や予定なども書き込めるようにしたり、社員の家族も大切にする働きかけをしました。これにより、ここ数年の離職率はゼロ、出産後の復職率も100%となっています。
大橋運輸株式会社
巷のニュースでも取り上げられていますが、最近の運送業は深刻な人手不足に悩まされています。こちら大橋運輸も御多分に洩れず、人手不足に陥っていました。
そこで、男性を多くとっていた方針から「多様性のある採用方針」へと一変させました。女性や外国人、LGBTといった方々を採用する事によって人手不足を解消したのです。特に外国人採用は海外への新規事業に展開する目的もあり、ワークライフバランスを実践する事で仕事の成果をもたらした良い例といえるでしょう。
株式会社栄水化学
ホームクリーニングなどを手がける栄水化学。ある日、社員の一人の親族が入院する事になり退職を申し出てきたそうです。これにより、社員ごとに様々な問題を抱えていることを認識した社長が新たな取り組みを作っていきました。
その1つが『一仕事二人制』です。
これは、どのような仕事でも仮に欠員が生じた場合誰かが必ずフォローに回れる体制で、業務効率が上がり時間短縮も叶うようになりました。そのほかにも、育児中の社員が急な休みをとっても不公平感を感じさせないように社員全員に9日間連続有給休暇制度も設けています。
実例からみるワークライフバランス
確かに中小企業はかけられるコストが少ない分、大掛かりな改革は難しいかもしれません。しかし、社員で考える取り組みなどは大企業と比べてフットワーク軽くできるのではないでしょうか。
