【衛生要因と動機づけ要因とは?】従業員モチベーションへの影響を解説

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    従業員の仕事に対するモチベーションを維持、向上させることは、企業にとって一番の課題といっても過言ではありません。モチベーションの問題に対処するには、従業員のモチベーションがどのような要因の影響を受けるのかを理解することが必要です。

    今回は、人のモチベーションに影響を与える要因を2つに分けて考える「ハーズバーグの理論」に基づき、どうすれば従業員のモチベーションを向上させることができるかを解説していきます。

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    衛生要因・動機づけ要因とは

    「衛生要因」と「動機づけ要因」は、モチベーションに影響を及ぼすとされる2つの要因のことで、臨床心理学者のFrederick Herzberg(以下ハーズバーグ)氏によって提唱された「モチベーション理論」の重要なキーワードです。ハーズバーグは仕事への満足につながる要因を「動機づけ要因」、不満につながる要因を「衛生要因」と名付けました。

    「動機づけ要因」の例には、仕事の達成感や責任ある仕事を任されること、チャレンジする機会などがあります。一方で「衛生要因」には、会社の方針、労働環境や労働時間、賃金、身分などが挙げられます。

    「動機づけ要因」は本人の心理的要素が大きく影響しますが、「衛生要因」は本人の努力で変えることが難しい要素です。動機づけ要因が満たされれば満足感は得られますが、不満が取り除かれるわけではありません。

    反対に衛生要因が満たされれば不満は解消されるものの満足が得られず、「動機づけ要因」と「衛生要因」の双方が仕事に対するモチベーションに影響を与えます。

    動機づけ要因を満たすにはきっかけづくりが重要ですが、本人の心理的な動きは周りが操作できるものではないので、何かきっかけを与えたからといって必ずしも効果があらわれるわけではありません。また、衛生要因に対して手を打てば、待遇面などの不満は解消されますが、待遇の改善が満足感やモチベーションを高めることに確実につながるわけでもありません。

    従業員のモチベーション向上のためには、「衛生要因」と「動機づけ要因」の両方向からのアプローチが必要です。

    モチベーションとは

    モチベーションとは動機のことで、人が何かしらの行動を起こすように促す原動力です。ビジネスにおいては、業務に対する意欲のことを指すことが多く、組織人であれば従業員をまとめるために無視できないものといえるでしょう。

    モチベーションが高まると情熱を持って仕事に取り組み、自発的かつ主体的に動けるようになります。モチベーションの高い人は共通して、自分の能力を最大限活用していて、会社や顧客に貢献したいという気持ちを強く持っています。

    しかしモチベーションの低い人は、仕事に対するやる気が欠如してしまっている可能性があるため、指示された仕事しかできなかったり、自分の能力を出し惜しみしたりします。自発的に動くことがなく、仕事の質を改善させる意識がないため、作業の質が一向に上がりません。

    また、モチベーションの低い従業員がひとりでもいると、モチベーションの低下を蔓延させてしまうこともあるため、組織に悪影響を及ぼしてしまいます。

    ハーズバーグの二要因理論が形作られた経緯

    ハーズバーグが動機づけ要因と衛生要因を導き出すまでには、さまざまな経緯がありました。2つの要因はあらゆる角度から考証し、実験を重ねたうえで導き出された答えといえるでしょう。ここでは、ハーズバーグが提唱したモチベーション理論がどのように完成したのかを解説していきます。

    ハーズバーグが行った実証実験

    ハーズバーグは、メンタルヘルスの観点からモチベーションの研究を行った結果、モチベーション理論を見出しました。そのとき技術者と経理担当者に、「仕事上で幸福や満足を感じたことは何か」「不幸や不満を感じたことは何か」の2点を質問するシンプルな実験を行っています。

    データを集めた結果わかったのは、ひとつの事柄の高低や大小によって満足感は左右されしないということです。たとえば、賃金が高ければ満足感が向上し、安ければ低下するという単純なものではなく、仕事に対するやりがいや達成感なども得られなければ、いくら収入が多くても満たせないことが実験で証明されました。

    このようにモチベーションには、複数の要因が複雑に絡み合っています。ひとつの対策を行えばいいわけではなく、多方面からのアプローチが必要ということです。

    ハーズバーグが実験から得た結論

    ハーズバーグはモチベーションに影響を及ぼす要素を、満足ややる気をもたらす「動機づけ要因」と、不満をもたらす「衛生要因」の2つに分類しました。動機づけ要因は、満たせば満たすほど満足感が得られるとともに、「より満足を得たい」という動機づけが得られ、やる気が増していきます。

    また、動機づけ要因が満たされなくても、不満は増加しせん。つまり動機づけ要因は、どのようなことが起ころうとゼロからプラス側にしか振れないメーターのようなものといえます。

    一方で衛生要因は、満たされれば不満が解消されますが、能動的に働くよう動かされるわけではありません。逆に、衛生要因が満たされないと不満が増加し、やる気は減少してしまいます。つまり衛生要因は、ゼロからマイナス側にしか振れないメーターのようなもので、組織の管理者が対策しなければなりません。

    衛生要因と動機づけ要因を可視化するには

    衛生要因と動機づけ要因は、どちらも実際のビジネスシーンではわかりにくいものです。しかし、ミーティングなどで確認する機会を設ければ、どんな衛生要因や動機づけ要因が存在するのかがわかります。

    衛生要因を探り出す場合は、モチベーションの低下につながる具体的な状況を洗い出すことで答えが見えやすくなります。「休日出勤が急に決まる」「上司が不機嫌」「作業スペースが散らかっている」など、少しでも心当たりのあるようなことをリストアップしていき、ひとつずつ確認をとってみましょう。

    動機づけ要因を可視化する場合は、モチベーションの向上につながる具体的な状況を洗い出しましょう。「新しい資格を取得する」「顧客から感謝される」「やりがいのある重要な仕事を任される」など、いろいろな要因でモチベーションは向上します。従業員とコミュニケーションをとって、気持ちを確かめるとヒントが得られるかもしれません。

    ミーティングなどを行って洗い出された要因は、しっかり整理し共有しましょう。確認した内容をふまえて、モチベーションを下げる衛生要因を生じさせないようにしたり、動機づけ要因につながる取り組みを実施していくことが大切です。

    二要因を満たしてモチベーションを向上させるには

    従業員のモチベーションを高めるためには、衛生要因と動機付け要因の両方を満たす必要があります。ここでは、モチベーションを効果的に向上させる方法を詳しく見ていきましょう。

    納得感のある人事評価制度

    賃金を上げたり福利厚生を充実させたりすることで衛生要因を満たすことは可能ですが、動機づけ要因を満たすには十分ではありません。労働環境の改善だけでなく、人事評価の見直し、従業員の成果を適正に評価する仕組みづくりも必要です。

    従業員が自身の仕事を評価され、適正な報酬を受け取れれば、動機づけ要因が満たされるでしょう。

    コミュニケーション不足の改善

    モチベーションは職場の人間関係に大きく左右されます。上司への不満や同僚とのコミュニケーション不足は、不満を増やしてしまう要因になるため注意が必要です。

    具体的な対策として、職場の風通しを良くして気軽にコミュニケーションが取れる環境を整えること、相談窓口を設けて不満や悩みを把握すること、上司と面談する機会をつくることで衛星要因を満たすことができ、モチベーション向上につながると考えられます。職場の状況に応じて、適切な対策を見つけることが重要です。

    会社の方向性を示す

    経営の上層部が従業員に会社の方向性を説明すると、動機づけ要因が満たされ、モチベーションの向上に役立ちます。従業員が会社の全体像を把握できなければ、目標達成に向けた意欲が湧かず、仕事への情熱が失われかねません。

    特に組織の変革や新規事業の立ち上げなどのシーンで誤解が生じると、組織の一体感が崩れる危険性があります。従業員のモチベーションを向上させるには、経営の上層部が従業員と直接コミュニケーションをとり、会社の方向性を周知することが大切です。

    金銭以外の報酬

    金銭的なインセンティブだけではなく、表彰制度を設けるなど、仕事の成果を称えることが動機づけ要因を満たすために重要です。非金銭的なインセンティブ制度を導入すると、従業員同士がお互いに称え合い、職場の雰囲気を良くできます。

    「成果をあげた従業員にはリーダーの役割を与える」「旅行を報酬として与える」などの制度も、非金銭的なインセンティブの一例です。

    挑戦機会の創出

    従業員が新しいことに挑戦できる機会を設けることも、動機づけ要因を満たすために重要です。たとえば、「特定のポストの就任希望者を募集する」「新規企画を提案するコンテストを開催する」などの例があります。

    このような取り組みによって、従業員は自ら積極的に行動できるようになり、仕事に対するやりがいがモチベーションの向上につながるでしょう。従業員の意見を積極的に取り入れると、従業員のモチベーションが高まります。

    社員研修や教育への投資

    適切なマネジメントをできるように管理職に対して教育を行うことは、動機づけ要因を満たすために有効です。適切に教育を受けた管理職は、部下のやる気を引き出したり、人間関係を改善したりできるので、職場全体のモチベーションを高められます。

    また、資格取得への支援も効果的です。従業員が会社から期待され、応援されていると感じると、動機づけ要因が満たされます。

    ライフスタイルに合った働き方

    従業員個人のライフスタイルを尊重すると、衛生要因が満たされます。「短時間勤務や在宅勤務制度の導入」「副業の許可」などが一例です。

    もし長時間労働や休日出勤が衛生要因の問題を引き起こしている場合は、モチベーション低下につながるため、早急に改善しなければいけません。過重労働はモチベーションの問題だけではなく、企業の体質を疑われるので、ワークライフバランスには十分に注意を払いましょう。

    衛生要因と動機づけ要因を満たして従業員のモチベーションアップ

    従業員のモチベーション向上は、賃金を上げたり役職を与えたりするだけでは十分ではありません。従業員のモチベーションを高めるためには、従業員が納得できるように成果を評価することや、目標達成や自己成長を通じてやりがいを感じられる環境づくりが重要です。

    不満につながる衛生要因を取り除くだけではなく、満足をもたらす取り組みも行い、業務や環境の改善をバランスよく行いましょう。

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