働いている従業員のモチベーションは、企業の生産性や風土にも関わってくる大切な要素です。そんな従業員のモチベーションを高めたり、優秀な人材を活かす役割を担っているのがモチベーター。本記事では、モチベーターとは何か、モチベーターに求められる役割や特徴などを説明しつつ、モチベーションコントロールで組織活性化を図る方法を紹介します。

モチベーターとは
「モチベーター」とは、組織の中の役割の1つで、同じチームメンバーのモチベーションを上げる役割の人のことです。
モチベーターの特徴
モチベーターには主に以下の7つの特徴があります。
1,従業員に成功をイメージさせること
成功するのか不安なまま働いていても、当然従業員のモチベーションは上がらず不安になる一方でしょう。そこで、成功した具体例を示したり、根拠を説明したりすることで従業員に成功のイメージを与えます。
2,率先して行動すること
いくら口では大きいことを言っていても、実際に行動しなくては従業員はどう動いていいか分かりません。まずはモチベーター自身が真っ先に行動して示すことが大切です。
3,相手を信頼すること
です。モチベーターが自分だけを信じていても誰も動いてはくれません。同じように従業員のことを信頼していくことで、従業員もその期待に応えようとします。
4,ポジティブな雰囲気を作ること
モチベーターは、普段の言動や従業員との接し方をなるべくポジティブなものにすることが求められます。ため息を頻繁についていたり、否定的なことを従業員に言っていては、従業員のモチベーションは上がりません。
5,結果を見せること
いくら意識を高めるようなことを言っていても、組織として全く結果を残せていなかったら、説得力がありません。定期的に、組織で出した成果を従業員に示すようにするといいでしょう。
6,発言に一貫性を持たせること
言っていることが毎回変わるような人のことを誰も信用してはくれません。自分の発言には責任を持って、一度言った意見はその後も念頭に置いて次の発言をするように気をつけましょう。
7,チームのことを守る姿勢を見せること
いざというときに自分を守ってくれる人のことを周りは信用します。いつもチームを守るという姿勢を忘れないようにすることが大切です。
部下のモチベーションを下げてしまう上司の特徴
企業の重要なモチベーターとして上司の存在がありますが、逆に部下のモチベーションを下げてしまうような上司もいます。例えば、「部下に対して不毛な批判をしてしまう」上司です。建設的なアドバイスなら部下も黙って聞き入れるでしょうが、私情の入った単なる説教をしてしまうと部下のモチベーションは下がってしまいます。また、「一部の部下だけを可愛がる」上司もいます。可愛がられている部下は優越感に浸れるかもしれませんが、そうでない部下はたまったものではありません。人によって態度を変えるのも部下のモチベーションを下げる要因になります。
さらに、「部下に責任を押しつける」上司もいるでしょう。明らかに上司にも非があるはずなのに、全ての責任を押し付けられたら部下の不満はたまる一方です。中には、責任だけ押し付けて部下の手柄を自分のものにしてしまうという上司さえいます。他には「自分が仕事ができると勘違いしている」上司です。実際には大して仕事ができるわけではないにも関わらず、やたらと自分を誇示してきます。結果が伴っていなければ、部下からの信頼は得られないでしょう。
指導ができない
部下に対して適切な指導ができない上司は、部下のモチベーションを下げます。例えば、「新しい業務を丸投げする」上司です。新しい業務をこれから始める場合、当然部下もどう着手していいのかが分かりません。しかし、そこでどうすればいいのかを一切教えずに放っておかれたら、部下も困ってしまうでしょう。
また、「失敗をフォローしない」上司です。部下が失敗したときにカバーしたりフォローするのも上司の役目ですが、中には知らんぷりする上司もいます。すると、部下はその失敗の処理に追われ、次に活かすことも難しくなるでしょう。さらに、「改善点を教えない」上司です。部下は、上司からアドバイスを受けることで成長していきます。アドバイスがなければ部下の成長は遅くなってしまうでしょう。
部下のことに関心が持てない
部下に対して無関心な上司も部下のモチベーションを下げます。例えば、「部下の状況を見ようとしない」上司です。このような上司は、部下の仕事の調子はどうなのか、精神面は問題ないか、顔色はいいかといった部下の様子に興味がありません。ですから、部下に何か問題が起こってから気づくということも珍しくないのです。しかし、気づいたときにはもう取り返しの付かないことになっていることもあるかもしれません。
また、「仕事に大して何もアドバイスをくれない」上司もいます。部下としては、自分がした仕事に対して何かしらのフィードバックを欲しいと思っています。しかし、上司がそのことに関してだんまりを決め込んでいては、部下も成長することができません。さらに、「下が困っていても気づかない」上司です。部下が困っているときに手を貸すことも上司の役割ですが、その部下の様子に気づかない上司もいます。あるいは、気づいていても見て見ぬ振りをしている可能性もあるでしょう。
公正な評価をしない
上司が部下に対して正当な評価をしなければ、部下のモチベーションは下がります。例えば、「損得勘定が強い」上司です。物事を損か得かでしか見られない上司は、部下をきちんと評価できるかは怪しいでしょう。また、「相手によって態度が変わる上司」もいます。人の好き嫌いが激しく、特定の人ばかり可愛がる上司は、部下を公正に評価できません。特に上司に嫌われてしまった場合は、不当に低く評価されることが増えるでしょう。
さらに、「新入社員や一般社員への態度が厳しい」上司です。上の人間にはゴマをすり、下の人間にはきつくあたるという上司は少なくありません。これでは、部下の不満は募る一方でしょう。
モチベーターが組織に必要な理由
モチベーターが組織に必要な理由の1つ目は、「組織全体の利益のため仲間を鼓舞するため」です。従業員のモチベーションは、そのまま組織の成果に直結します。従業員のモチベーションが上がれば、仕事の生産性や効率性も上がり、結果的に生産性の向上に繋がるのです。2つ目は、「部下が育つから」です。もし上司が上手く部下のモチベーションを上げることができれば、部下の成長は早まり、よい人材が育つでしょう。よい部下が育てば、将来的に中心となって組織を支えてくれる可能性も高まります。3つ目は、「従業員の能力が活きるから」です。いくらポテンシャルの高い従業員がたくさんいても、その能力を発揮できなければ意味がありません。従業員のモチベーションを高めて能力を発揮させるのも、モチベーターの大切な役割の1つといえます。
モチベーションコントロールが組織の成功を握る
モチベーションのコントロールは組織が成功するための鍵といっても過言ではありません。なぜかというと、従業員のモチベーションを高い状態で保つことができれば、主体的に仕事に取り組むことができ、受け身で取り組む仕事よりも大きな成果を残しやすいからです。自ら考えて仕事をすることで、効率もよくなり、仕事の生産性も上がります。また、お互いにビジョンを共有することも、モチベーションコントロールには欠かせません。組織全体が同じビジョンを共有できれば、ますます従業員のモチベーションが上がるという好循環が生まれます。
さらに、従業員同士の積極的なコミュニケーションも大切です。お互いに励まし合って、切磋琢磨することができれば、モチベーションは高い状態で維持できるでしょう。加えて、モチベーションコントロールのためには、仕事の成果だけでなく、仕事に取り組む過程もきちんと評価してあげることが大切です。結果だけを評価されても人のモチベーションは上がりにくい傾向があります。どれくらい頑張ってその成果を出せたのかを見てあげることが大事です。
モチベーターは上司の役割
モチベーターというのは、基本的に上司の役割です。そして、上司に求められるのは、「メンバーを管理する能力」です。部下一人ひとりのことをきちんと見てあげて、気を配ってあげる必要があります。特定の部下だけでなく、組織全体を見渡すような俯瞰的な視野が求められているのです。また、「状況把握」も大切です。部下の様子や状態にも普段から目を向ける必要があるでしょう。
さらに、「部下を教育し、能力を発揮させる」のも上司の役割の1つです。部下がきちんと育つか、力を出せるかというのは上司にかかっています。自分にはその責任があることを自覚しましょう。加えて、「成功できるように指導する」ことも大切です。自分のことは自分で、という考えではなく、部下が失敗をしたら改善点をフィードバックするなどして、成功への手助けをしてあげることが重要です。
モチベーターの力量で組織活性化を図る
モチベーターの力量によって組織が活性化するかどうかが決まります。例えば、もしモチベーターが上手く従業員にビジョンを共有させることができれば、組織は同じ方向を見ることができ、活性化するでしょう。そうなれば、ますます従業員のモチベーションは上がります。また、従業員一人ひとりの働きを公正に評価してあげることも大切です。評価された従業員はモチベーションが高まり、組織活性化に繋がります。
さらに、従業員にチャンスを与えるのもいいでしょう。もちろん、ただ機会を与えるだけでなく、上司からも上手くいくようにフォローするようにしましょう。無事に成果が出せれば、従業員は成長し次の仕事にも活かすことができるでしょう。
モチベーションがアップする企業文化とは
モチベーターという言葉には、「モチベーションをアップさせる要因」という意味も含まれています。実際に何がモチベーターになるかは人それぞれですが、ここではモチベーターになりうる企業文化をいくつか紹介していきます。
互いに助け合うことができる
さまざまな場面で「利他性」を持った企業文化なら、モチベーターになりやすいでしょう。例えば、「誰かの幸せのための努力ができる」企業文化です。自分のためだけではなく、他人のためにという動機は人のモチベーションを大きく上げてくれるのです。また、「従業員同士、互いに助け合う」企業文化もモチベーターになるでしょう。そうした雰囲気の中で仕事ができれば、自ずとモチベーションは高まります。さらに、「若手や新人に対して指導ができる」企業文化も利他性があります。適切な指導が行き届いていれば、部下たちもやる気を見せてどんどん成長していきます。加えて、「同じ価値観を大切にできる」企業です。ビジョンなどを共有してそれを共に目指していくことができれば、組織は活性化していきます。
フィードバックをポジティブに捉えられる
上司や先輩、同僚からのフィードバックを前向きに受け止められる組織はモチベーションを保ちやすいです。なぜなら、そのフィードバックを活かして次の仕事にも活かすことができるからです。このように、部下がフィードバックをポジティブに受け止められるようになるためには、上司のフィードバックの伝え方も重要になってきます。上司は、感情的で実りのない批判はしてはいけません。なるべく建設的な意見を伝えて、どうすれば問題を解決できるのかまで提案する必要があります。また、お互いに意見を尊重し、きちんと耳を傾けることも大切です。
チャレンジ精神がある
チャレンジ精神が旺盛な企業のモチベーションも高いです。具体的にいうと、「今までにない問題に対しても解決策を提案できる」企業です。通常なら、過去に前例のない課題などに対しては企業は尻込みしてしまうこともあるでしょう。しかし、チャレンジ精神がある企業はそうした課題にも果敢に挑戦することができます。また、そういった企業は「新しいことを生み出すことができる」でしょう。新しいものは、何か新しいことに挑戦することで生まれるのです。
さらに、「さまざまな視点で物事を見る」こともできます。色んなことに挑戦していくと、経験や知識も増え、視野が広がります。すると、物事を多角的な視点で見ることができるようになるのです。加えて、チャレンジ精神が高い企業の従業員は「自己表現も得意」です。アグレッシブな姿勢は、そのまま自己表現の豊かさにも繋がります。従業員同士が自己を強く表現していくことで、組織はますます活性化し、モチベーションも高まっていくのです。
モチベーター育成で優秀な人材が活躍できる組織改革を!
モチベーターは、組織が成功するかどうかを握っている大切な役割です。しかし、必要な多くの特徴を兼ね備えたモチベーターがいない組織や、逆に部下のモチベーションを下げてしまう上司がいる組織も少なくありません。優秀な人材が育つ組織にするために、正しい考え方を持ったモチベーターを育成し、組織をもっと活性化させていきましょう。
