食事の福利厚生は、従業員の健康支援や働きやすい環境づくりを考える企業でよく検討される施策の一つです。
なかでも「社員食堂」は聞き馴染みがありますが、コストや運営負担、勤務形態の多様化により、「社員食堂だけではカバーしきれない」「導入自体が難しい」と感じるケースも少なくありません。
そこで本記事では、社員食堂以外の4つの食事の福利厚生(仕出し弁当・置き型社食®︎・デリバリー・外食補助)について、
- どんな課題に有効なのか
- 社員食堂とどう補完し合えるのか
という視点で整理します。
「社員食堂が難しい場合の代替策は何か」など、自社に合う食事支援を検討するうえで役立つ内容です。
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目次
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1.
食事の福利厚生はなぜ必要とされている?背景とよくある課題
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2.
社員食堂の代替にも!食事の福利厚生サービス4タイプ
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3.
課題別にみる|4タイプにはどんな特徴がある?
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1.
昼食代の負担を抑えたい/勤務帯による食事機会の差を軽減したい
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2.
食事の偏りを改善したい
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3.
個々に食べる習慣を変え、社内コミュニケーションを活性化させたい
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まとめ ─ “目的に合った形”で食を支えるという考え方
食事の福利厚生はなぜ必要とされている?
背景とよくある課題
職場の食環境には企業ごとに異なる事情があり、それぞれの課題に応じて「食事の福利厚生」が検討されます。代表的な背景は次のとおりです。
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昼食代の負担を気にする従業員がいる
都市部では外食費が高く、若手社員がランチ代を抑えたいと感じることがあります。
実際、首都圏の企業には「一人暮らしの20代には外食が負担では」という懸念から施策検討が始まった事例もあります。
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勤務帯によって食事機会に差が出やすい
交代勤務では、日勤は食堂や弁当が利用できても、深夜帯に選択肢が少ないことがあります。社員食堂があっても営業時間の制約から「夜勤は食べられるものが少ない」という声が上がり、深夜帯の補完策を検討した企業もあります。
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忙しさから食事が偏りやすい
繁忙や不規則な働き方により、カップ麺や菓子パンなど簡易的な食事に偏るケースがあります。小売業の現場でも、夜間作業で軽食が続く従業員に対し、「体調が心配」と施策を検討した例がありました。
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個々に食べる習慣が定着し、コミュニケーションが生まれにくい
在宅勤務やフリーアドレス化などで“個々に食べる”ことが当たり前になり、部署横断の会話が減ることもあります。また、「食をきっかけに事業部門を越えた交流を促したい」という意図で施策を導入する企業もあります。
企業が食事面をサポートすることで、こうした状況を少しずつ改善し、働く環境を整えるケースは多くあります。毎日の行動に関わる領域だからこそ、福利厚生としての効果が現れやすい取り組みです。
▼ これらの背景は、大きく次の3つの課題に整理できます
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1. 従業員満足度の向上
昼食代の負担や勤務帯による不公平感をなくしたい、という課題。
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2. 健康経営®︎の推進
忙しさや不規則な生活で偏りがちな食事を整えたい、という課題。
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3. コミュニケーションの活性化
“個々に食べる”習慣が広がる中で、交流を促したい、という課題。
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次の章では、この3つの課題に対して、仕出し弁当・置き型社食®︎・デリバリー・外食補助の4つのサービスがそれぞれどのように役立つのかを整理していきます。
社員食堂の代替にも!食事の福利厚生サービス4タイプ
食事の福利厚生には様々なタイプがありますが、ここでは代表的な4つを紹介します。
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仕出し弁当タイプ
事前注文した弁当が指定時間に届く形式。
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置き型社食タイプ
社内に冷蔵庫や専用ボックスを設置し、24時間好きなタイミングで購入できる形式。
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デリバリータイプ
従業員がWeb等から店舗商品を個別に注文し、オフィスに届けてもらう形式。
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外食補助タイプ(チケット・カード支給)
企業が従業員に食事補助券やICカードを配布し、提携飲食店で利用する形式。
4タイプの詳細はこの記事でも紹介しています:
関連記事:中小企業の人材課題を解決|社員食堂なしでも実現できる食事支援サービスとその選び方
課題別にみる|4タイプにはどんな特徴がある?
食事の福利厚生が検討される背景には、従業員満足度・健康・コミュニケーションといった複数の観点があります。
ここからは課題別に4タイプの特徴・活用シーンを整理します。
1. 昼食代の負担を抑えたい/勤務帯によって食事機会の差をつくらない
= 従業員満足度に関わる課題
昼食代の負担が気になる、夜勤の食事は選択肢が乏しい──。
こうした悩みには、従業員の費用負担を抑えやすい、または勤務帯の差が出にくい仕組みが役立つことがあります。
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仕出し弁当
ご飯とおかずがセットで提供されるため、一定の決まった価格で利用しやすい点が特徴。
会社補助と組み合わせることで「負担を軽くしたい」場面で検討されやすい仕組みです。
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置き型社食
好きなタイミングで利用でき、昼勤・夜勤など勤務帯の差を埋めやすい形式。
主食・主菜・副菜から好みに合わせて商品を選べる点も特徴です。
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デリバリー/外食補助
価格は店舗やメニュー内容により変わりますが、会社補助と組み合わせることで、負担を軽くしながらも従業員が店舗やメニューを自由に選べる特徴があります。
「費用負担を軽くしたい」「勤務帯の不公平をなくしたい」という悩みは実際の現場でも聞かれます。ここで、三交代制の現場を持つ企業が仕出し弁当と置き型社食を組み合わせて課題解決に取り組んだ事例をご紹介します。
執筆者が聞く!食事の福利厚生のリアル
約300人が三交代制で24時間稼働する製造業 C社
仕出し弁当と置き型社食で“勤務帯の差”を埋めたC社の選択
東北地方に工場を構えるC社では、約300名が三交代制で勤務しています。
日勤・夕勤には仕出し弁当と温かい麺類の提供を行っていましたが、深夜帯だけは食事の選択肢が少なく、夜勤従業員から「夜中に食べるものが少なくて寂しい」という声があがっていました。
当初、同社は社員食堂の新設も検討していました。
しかし従業員アンケートの結果、
「より安価に利用できる仕出し弁当のほうがありがたい」
という意見が多く、最終的に “温かい麺類は食堂で、主食は仕出し弁当で提供する” という現在の体制に落ち着いたといいます。
残った課題は「深夜帯の食事機会」。そこで導入したのが 置き型社食でした。
好きなタイミングで利用できるため、夜勤でも無理なく食事を確保でき、勤務帯による不公平感をやわらげる役割を果たしています。
担当者は次のように話してくれました。
「従業員にとって、休憩での食事時間が一番の楽しみなんです。だからこそ、少しでも充実した時間にしてほしいと思いました。」
C社の取り組みは、
“昼食代の負担には仕出し弁当を、勤務帯の差には置き型社食を補完的に”
というように、目的に応じて複数の方法を組み合わせながら、従業員を支援する好例です。
2. 食事の偏りを改善したい
= 健康経営に関わる課題
「忙しくて買いに行けない」「軽食ばかりになる」──。
業務状況によって食事の内容が偏りやすい職場では、無理なく栄養をとれる選択肢があることが大切です。
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仕出し弁当
複数のおかずとご飯がセットになったお弁当形式のため、選ぶ手間を抑えながらも、一定のバランスを保った食事を確保したい企業にとって使いやすい方法です。
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置き型社食
主食・主菜・副菜のラインナップから必要なものを選べるのが魅力。軽食に偏りがちな環境でも、お惣菜を一品プラスするといった使い方ができることが強みです。
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デリバリー
飲食店の中には栄養バランスを意識したメニューを提供している場合もあります。職場にいながら、好きなメニューの中から“より良い選択”をしたい人 におすすめの方法です。
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外食補助
利用できる店舗に応じて、定食など栄養バランスを意識した食事が選べます。外食の自由度を保ちつつ、食事内容に配慮したい人 におすすめの方法です。
こうした「忙しさによる食事の偏り」や「栄養面の不安」は、多くの現場で実際に聞かれる課題です。ここからは、食事の福利厚生を取り入れることで“偏りがちな食事にもう一品加えられる環境”をつくった企業の事例をご紹介します。
執筆者が聞く!食事の福利厚生のリアル
北陸地方で20名規模の建設業を営むB
「カップ麺ランチ」を変えたい、B社の健康経営
北陸地方で20名規模の建設業を営むB社では、現場従業員の食事がカップ焼きそばなどに偏っている様子に危機感を抱いたことが、食事支援を検討するきっかけだったといいます。
「カップラーメンやカップ焼きそばの1.5倍、2倍の大盛りばかりで……。これはまずいなと」
早朝出勤が多く、朝食はコンビニで済ませがち。
昼食も手軽な食事に偏りやすいという課題がありました。
そこで導入したのが置き型社食。
導入後は、カップ麺だけだった昼食にお惣菜を一品加える利用も見られるようになり、無理なく食事内容を改善するきっかけになっています。
「身体が資本。その体をつくるのは食事。おかずを一品足してくれるだけで安心します」
B社ではもともとバランスボールの設置や年2回の健康診断など健康投資に積極的でしたが、食のサポートが日常的な健康づくりをさらに後押ししているようです。
B社の取り組みは、
“忙しさで偏りがちな食事に、一品プラスできる環境をつくる”ことで、現場でも続けやすい健康経営を実現した好例といえます。
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3. 個々に食べる習慣を変え、社内コミュニケーションを活性化させたい
= コミュニケーション活性化に関わる課題
在宅勤務やフリーアドレス化で「一緒に食べる機会が減った」と感じる企業では、自然に人が集まる“きっかけ”をつくる仕組み が役立つ場面があります。
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仕出し弁当
決まった時間に弁当が届くため、同じタイミングで同じ場所に集まりやすい形式です。
休憩スペースでのちょっとした会話のきっかけになります。
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置き型社食
社内の共用スペースに設置され、メニューについてなど共通の話題ができることで自然な交流のきっかけになることがあります。
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デリバリー
個別注文で、かつコミュニケーションを主目的とする場合は他の施策と組み合わせる形で活用することをおすすめします。
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外食補助
外に食べに行く選択肢があることで、「誰かを誘ってランチに行く」という小さな交流が生まれやすいのが特徴です。
実際に食事の福利厚生がどのようにコミュニケーションのきっかけをつくり出すのか──。ここでは、置き型社食の導入を機に、 “食べる時間の共有”が社内のつながりを生んだ企業の事例をご紹介します。
執筆者が聞く!食事の福利厚生のリアル
北陸地方で20名規模の建設業を営むB
“一緒に食べる”が交流のはじまりに。B社で生まれた変化
北陸地方で20名規模の建設業を営むB社では、置き型社食®︎の導入をきっかけに、社内コミュニケーションにも思わぬ変化が生まれたといいます。
担当者によれば、導入当初に従業員全員で試食をしたことが良いきっかけとなり、
「このメニュー、美味しい」「次これ食べてみて」
といった会話が自然と増えていったそうです。
コロナ禍を経て“自席で食べる”ことが当たり前になっていた同社でも、置き型社食の導入後は、ミーティングテーブルに自然と人が集まり、一緒に食事をする姿が見られるようになりました。
B社のケースは、
“一緒に食事をする”という小さな仕掛けが社内のつながりを自然に育むことがある、
そして特別なスペースを用意しなくても、既存の場所がコミュニケーションの場として機能しはじめること
を示す好例といえます。
まとめ ─ “目的に合った形”で食を支えるという考え方
食事の福利厚生は、従業員の健康や働きやすさを支える大切な取り組みです。4つのサービスにはそれぞれ異なる特徴があり、重要なのは単純に特徴を比べることではなく “何を解決したいのか” という視点です。
- 昼食代の負担をやわらげたい
- 忙しくても栄養を確保できる環境を整えたい
- 夜勤・在宅など多様な働き方に対応したい
- ランチをきっかけに交流を生みたい
こうした目的に合わせて、
単体で導入する・複数を組み合わせるなど、企業ごとに合った形をつくることができます。
施策の規模に関わらず、従業員の“日々の食”を支える取り組みは働きやすさに繋がりやすい領域です。
自社に合う方法を見極めたい場合は、今回の「課題別整理」を参考にしてみてください。
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従業員への食事支援を検討する中小企業のご担当者さま向けに、自社に合ったサービスの選び方や、目的別の活用事例をご紹介します。働きやすさの向上や健康支援に取り組みたい方は、ぜひご参加ください。

※「置き型社食」は株式会社OKANの登録商標です。
※ 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※本記事は、OpenAIが提供するAIツール「ChatGPT」を活用し作成されています。情報の正確性・信頼性を担保するため、内容は人間による確認・編集を行っています。