従業員が妊娠・出産したとき総務の対応は?必要な手続きの流れ

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    社員が妊娠し、出産をすることは、大変喜ばしいことですね。その一方で、本人にとっては休暇の仕組みや保険関係の手続きなど、初めて知ることばかりで心配が尽きないと言えます。

    総務担当社員が各制度の内容を十分に理解し、適切な説明及び迅速な手続きを進められれば、妊娠・出産した従業員本人の不安を和らげることができます。従業員が安心して出産や育児に備えられるよう、会社としての手助けを行いましょう。

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    出産に関しての一連の流れを確認しよう!

    まず、妊娠から出産、育児休業を経て復職するまでの一連の流れを説明します。大まかな流れを掴んでいることが大切です。

    • 妊娠が発覚、安定期に入る頃までに会社へ報告
    • 産前休業の申請
    • 産前休業の開始
    • 出産
    • 育児休業の申請
    • 産後休業の開始(産後休業は申請有無に関わらず取得可能)
    • 育児休業の開始
    • 復職

    出典:「妊娠・出産・休業・復帰までのフローチャート」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/ryouritu/dl/yuukikeiyaku_03.pdf)(2024年5月13日に利用)

    出産の手続きに関して|事前に確認しておきたい項目とは?

    手続きを進めていくにあたり、出産に関して確認しておくべきことがあります。以下の項目をチェックしていきましょう。

    出産予定日を確認

    産前休業の開始日は出産予定日によって決まります。予定日をヒアリングし、産前産後休業や育児休業期間の開始予定日を把握しましょう。

    従業員は、出産予定日の6週間前から産前休業を取得できます。また、産後休業にあたる出産の翌日から8週間は原則就業することができません(産後6週間経過後、本人が請求し、医師が認めた場合は就業可能)。このことは労働基準法に定められています。

    育児休業は、原則として子どもが1歳になるまでの期間で、従業員が希望する時期に取得できます。1回でまとめて休む方法だけでなく、2回に分割して取得することも可能です。育児休業については、育児・介護休業法(正式名称「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)に定められています。

    企業側は、従業員から妊娠の報告があったら、出産予定日のヒアリングを行うとともに産前・産後休業や育児休業についてのアナウンスをするとよいでしょう。いつから取得できるのか、どのような届出が必要なのかといったことを伝え、従業員が安心して出産・育児に臨めるような支援を心がけましょう。

    出典:「労働基準法(◆昭和22年04月07日法律第49号)」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73022000&dataType=0&pageNo=1)(2024年5月13日に利用)

    出典:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(e-Gov法令検索)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000076_20230401_503AC0000000063)(2024年5月13日に利用)

    出典:「育児休業特設サイト」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/)(2024年5月13日に利用)

    出典:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の概要(令和3年法律第58号、令和3年6月9日公布)」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000788616.pdf)(2024年5月16日に利用)

    扶養の確認

    子どもが生まれた後に、誰の扶養に入るのかを確認しておきましょう。自社にて扶養手続きをすることになった場合、後に書類をスムーズに届け出ることができます。

    出産育児一時金の直接支払制度を利用できるかどうか確認

    出産育児一時金とは、出産時の経済的負担を軽減するために、健康保険や国民健康保険から支給されるお金です。直接支払制度とは、出産育児一時金を健康保険から医療機関へ直接支払い出産費用に充てる仕組みですが、医療機関によっては取り扱っていない可能性もあります。

    そのため、出産する予定の医療機関は直接支払制度を取り扱っているのかどうかを、従業員に確認します。直接支払制度を実施していない医療機関で出産する場合は、企業は申請を適宜サポートしてあげると、従業員の安心につながるでしょう。

    出典:「出産育児一時金について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001000562.pdf)(2024年5月16日に利用)

    出産の手続きに関して|会社が行う各種届出とは?

    産前休業取得の申請に関する様式は定められておらず、従業員からの申出によって取得できるとされています。育児休業の申出は、書面によって行わなければなりません。申出期限は原則として育児休業取得開始の1ヶ月前までとなっています。

    厚生労働省によると、書面には次のような事項を記載する必要があります。

    “(注:①~④は必ず明らかにしなければならない事項、⑤~⑭は特定の場合に明らかにしなければならない事項です。)
    ① 申出の年月日
    ② 労働者の氏名
    ③ 申出に係る子の氏名、生年月日及び労働者との続柄等(子が出生していない場合は、出産予定者の氏名、出産予定日及び労働者との続柄)(※2)
    ④ 休業を開始しようとする日及び休業を終了しようとする日
    ⑤ 申出に係る子以外に1歳未満の子を有する場合には、その子の氏名、生年月日及び労働者との続柄(※2)
    ⑥ 申出に係る子が養子である場合には、養子縁組の効力発生日
    ⑦ 1歳までの育児休業の場合は2回、1歳6か月又は2歳までの育児休業の場合は1回休業した後などに再度の申出を行う場合は、その申出が許される事情
    ⑧ 1歳までの育児休業をしている労働者が、1歳6か月まで又は2歳までの育児休業の申出を行う場合には、申出が許される事情
    ⑨ 配偶者が1歳までの育児休業をしている労働者が、1歳6か月まで又は2歳までの育児休業の申出を行う場合には、配偶者が育児休業をしていること及び申出が許される事情
    ⑩ 特別の事情(34 ページ参照)があり、休業を開始しようとする日の1週間前に育児休業開始日を指定する場合は、その申出が許される事実
    ⑪ 育児休業申出を撤回した後に、特別の事情があり、再度育児休業を申し出る場合は、その申出が許される事実
    ⑫ パパ・ママ育休プラスの特例により 1 歳に達する日の翌日以後の育児休業をする場合には、労働者の育児休業の開始予定日が、配偶者がしている育児休業期間(産後パパ育休含む)の初日以後である事実
    ⑬ 申出に係る子について、既に育児休業の申出をしている場合は、その期間
    ⑭ 申出に係る子について、育児休業申出を撤回したことがある場合は、その旨” 出典:「育児・介護休業法のあらまし 育児休業制度」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355360.pdf)(2024年5月13日に利用)

    手続きの方法は企業によって異なりますが、「産前産後休業届」「育児休業申請書」などの申請フォーマットを用意するケースが一般的です。企業は従業員から休暇取得の申し出があったら、必要な手続きについて連絡し、書類を提出してもらいましょう。提出された書類はきちんと管理しておきましょう。

    出典:「育児休業制度リーフレット」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001194426.pdf)(2024年5月13日に利用)

    出産手当金の届出

    出産手当金とは、健康保険の被保険者が出産の為に会社を休み、給与が受けられない場合に支給される手当金です。

    対象期間は、出産日(出産予定日よりも後に出産した場合は、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間です。出産が出産予定日よりも遅れた場合は、出産予定日から実際に出産した日までの期間についても支給対象となります。

    申請方法は加入している健康保険によって異なりますが、「出産手当金支給申請書」などの提出が求められるのが一般的です。

    申請書には、出産した医療機関での医師の証明の記載も求められますので、予め従業員本人に渡し、出産後に必要事項を記入してもらった用紙を回収しましょう。回収後、給与に関する証明欄に会社が記入し、健康保険加入先へ提出するとスムーズに手続きができます。

    (参照:全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3290/r148/)」、参照日:2024/5/16)

    (参照:全国健康保険協会「健康保険出産手当金支給申請書(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r125/)」、参照日:2024/5/13)

    出産育児一時金受給の届出

    出産や妊娠にかかる費用は健康保険が効きませんので、高額になることがあります。出産育児一時金とは、出産や妊娠時の家計への負担軽減を目的とした制度です。

    妊娠4ヶ月(85日)以上で出産(早産、死産、流産、人工妊娠中絶も含む)したときに出産育児一時金が支給されます。出産育児一時金の額は、子ども1人あたり50万円となっています(場合によっては減額もあります)。

    出産育児一時金には、健康保険から医療機関へ一時金を直接支払い、出産費用に充てる「直接支払制度」があります。この制度を利用している医療機関での出産であれば、基本的に従業員本人と医療機関で手続きが行われます。

    医療機関が直接支払制度を採用していない場合や、直接支払制度を利用せず出産育児一時金を従業員が直接受け取る場合は、健康保険への届出が必要になります。なお、この際に必要な書類は健康保険によって異なります。手続きを行うのは従業員本人ですが、企業としても届出のサポートをしてあげるとよいでしょう。

    出典:「出産育児一時金について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001000562.pdf)(2024年5月16日に利用)

    育児休業給付の届出

    「育児休業給付金」とは、雇用保険の被保険者が育児休業を取得し、一定の要件を満たした場合に支給される給付金のことです。これとは別に、「産後パパ育休(出生時育児休業)」を取得し、一定の要件を満たした被保険者に支給される「出生時育児休業給付金」という給付金もあります。

    どちらも手続きを行うのは被保険者を雇用している事業主で、提出先は事業所の所在地を管轄するハローワークとなっています。電子申請も利用可能です。なお、従業員の希望があった場合は、本人が申請を行うこともできます。

    必要書類の中には、母子健康手帳のコピーなど、従業員本人に準備してもらわなければならないものもあります。申請期日を過ぎてしまうことのないよう、早めに書類を整えるよう心がけましょう。

    育児休業給付金の届出に必要なもの

    育児休業給付金の届出に必要な書類は「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」です。また、育児休業の取得を証明するものとして、次のような添付書類が求められます。

    “① 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など
    出生時育児休業を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの
    ② 母子健康手帳(出生届出済証明のページと分娩予定日が記載されたページ)、医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)など育児の事実、出産予定日及び出生日を確認することができるもの(写し可)” 出典:「育児休業給付の内容と支給申請手続」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001126859.pdf)(2024年5月16日に利用)

    育児休業給付金の手続きを行う際は、受給資格確認と支給申請が必要です。受給資格確認手続は初回の支給申請を行う日までに、初回の支給申請は育児休業の開始日から4ヶ月を経過する日が属する月の末日までに行わなければなりません。2回目以降の支給申請は、原則2ヶ月ごとにまとめて申請を行うこととされています。

    出生時育児休業給付金の届出に必要なもの

    出生時育児休業給付金の届出に必要な書類は「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書」です。また、育児休業の取得を証明するものとして、次のような添付書類が求められます。

    “① 賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など
    出生時育児休業を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの
    ② 母子健康手帳、医師の診断書(分娩(出産)予定証明書)など出産予定日及び出産日を確認することができる、いずれかのもの(写し可)” 出典:「育児休業給付の内容と支給申請手続」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001126859.pdf)(2024年5月16日に利用)

    出生時育児休業給付金の手続きを行う際は、受給資格確認と支給申請が必要です。手続きは子どもの出生日(出産予定日より早く生まれた場合は出産予定日)から8週間が経過する日の翌日から可能です。また、手続き可能となった日から2ヶ月が経過する日が属する月の末日までに、手続きを行わなければなりません。

    出典:「第11章 育児休業給付について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000172768.pdf)(2024年5月16日に利用)

    社会保険料免除の届出

    年金事務所に申出を行うと、従業員が産前産後休業や育児休業を取得している期間の社会保険料負担が被保険者・事業主共に免除されます。

    従業員が産前産後休業を取得する際は「産前産後休業取得者申出書」を、育児休業を取得する際は「育児休業等取得者申出書」を、管轄の年金事務所または日本年金機構の事務センターに提出しましょう。提出期日は産前産後休業あるいは育児休業の終了日から1ヶ月以内です。

    なお、年金額を計算する際には、この免除期間中も保険料を納めたものとして取り扱われます。そのため、産休・育休中の社会保険料免除期間が将来の年金額に影響することはありません。従業員にもこの点を伝えておくと、安心して産休・育休を取得できるでしょう。

    (参照:日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20140122-01.html)」、記事更新日:2023/8/10、参照日:2024/5/13)

    従業員が安心して出産・育児に臨めるようにサポートを

    従業員の出産・育児に関する手続きには多くの書類があり、書類によって届出先も異なります。どの手続きも従業員が安心して出産・育児に臨むために必要なものとなっていますので、一つひとつ確認しながら、確実に手続きを進めていきましょう。

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