有給休暇の取得を促進させよう!ユニークな企業事例を紹介

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    就職や転職で「選ばれる企業」のひとつの目安が有給休暇の取得率です。長時間労働の削減や優秀な人材の確保などを目的に、社員が有給休暇を取りやすい環境づくりに取り組む企業が増えています。

    では有給休暇の取得率を上げるためにはどうすればよいのでしょうか。本記事を参考にしていただければ幸いです。

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    有給休暇とは?

    有給休暇の仕組みについてご存知の人も多いでしょうが改めて確認しましょう。

    有給休暇とは勤続年数が半年を超えた社員に与えられる制度で、8割以上の出勤率が付与の条件です。半年間の勤務で10日の有給休暇を取得でき、最長で6年6カ月以上勤務を続けると有給休暇は20日となります。有給休暇を利用することで、土日祝といった普段の休みとは違う日に休むことができ、欠勤扱いにはなりません。

    社員と企業にとって仕事とプライベートを充実させて生産性を高めて働くのは望ましいことです。ところが「多忙で休めない」「社内に有給休暇を取る雰囲気がない」など、さまざまな理由で取得率が低い企業もあるのではないでしょうか。

    多くの労働者が有給休暇を取得できるように、厚生労働省は2019年4月に年10日以上の有給休暇を付与している労働者に対して、年5日の有給休暇の取得を義務化しました。国が本腰を入れて進めている有給休暇の取得率向上について、目的と効果を事例を交えて紹介します。

    出典:「年次有給休暇の時季指定義務」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000350327.pdf)(2024年5月17日に利用)

    離職率を下げる!有給休暇の取得率を上げるメリット

    有効求人倍率が上がり売り手市場の昨今、優秀な人材の流出は企業にとっても痛手です。離職率が低い企業になるためにはどのような戦略が必要でしょうか。離職率の現状と改善策を説明します。

    離職率の現状

    経営者や人事部門にとって離職率は従業員満足度の目安になります。また求職者にとっては「長く働ける企業か」判断する材料にもなります。離職率が高く頻繁に求人募集をしている企業は、選ばれないリスクが増えるかもしれません。

    厚生労働省が公開した「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、1年間の入職者数(企業に入社した人数)は約780万人、離職者数(企業を辞めた人数)は約766万人でした。

    詳しく見ると1月1日時点で採用から1年以上経過し、引き続き働く労働者が約5120万人に対して新しく採用された人の割合が15.2%(約780万人)、辞めた人の割合が約15.0%(約766万人)となっています。その差は約14万人で、離職者が想像以上に多いことがわかります。

    出典:「令和4年雇用動向調査結果の概況」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/gaikyou.pdf)(2024年5月10日に利用)(調査主体:厚生労働省、調査対象:5人以上の常用労働者を雇用する15,120事業所を対象として入職者調査55,954名、離職者調査72,767名に実施した集計調査、集計期間:2022年6月20日~2023年2月24日。)

    では離職率の増加にはどのような背景があるでしょうか。「有効求人倍率の推移」と「転職者が前職を辞めた理由」を基に見ていきます。

    なぜ離職率が増加するのか?

    有効求人倍率の増加

    さまざまな要因がありますが、1つは有効求人倍率との関係です。

    有効求人倍率とは仕事を探す人1人に対し、何人分の求人があるかを示す指標です。倍率が1を超えると「求人より仕事が多い」、1を下回ると「仕事不足」となります。たとえば有効求人倍率が1.05倍の場合、仕事を探す人100人に対して105人分の仕事がある状態なので「売り手市場」と言われます。

    厚生労働省の「一般職業紹介状況」によるとリーマン・ショック後の2009年の有効求人倍率は0.47倍で低迷しましたが、2023年の平均の有効求人倍率は1.29倍で、上昇しているのがわかります。有効求人倍率の増加(売り手市場)は会社に満足していない社員にとって「転職」を後押しするものになったといえるでしょう。

    出典:「一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39833.html)(2024年5月11日に利用)

    出典:「一般職業紹介状況(平成21年12月分及び平成21年分)について」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003v91.html#:~:text=2%20%E5%B9%B3%E6%88%9021%E5%B9%B4%E5%B9%B3%E5%9D%87,%E3%82%920.41%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E4%B8%8B%E5%9B%9E%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82)(2024年5月11日に利用)

    働きやすさ(衛生要因)に課題

    社員が働きにくいと感じる職場環境も、離職者が増加する要因になります。どのような理由で社員が働きにくいと感じるのかは、離職理由が参考になるでしょう。

    厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、1年間の転職者が前職を辞めた理由で男女ともに多かったのが「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」です。ほかにも「職場の人間関係が好ましくない」「収入が少ない」という理由が上位にありました。

    出典:「令和4年雇用動向調査結果の概況」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/dl/gaikyou.pdf)(2024年5月10日に利用)(調査主体:厚生労働省、調査対象:5人以上の常用労働者を雇用する15,120事業所を対象として入職者調査55,954名、離職者調査72,767名に実施した集計調査、集計期間:2022年6月20日~2023年2月24日。)

    戦力の中核人材が辞めると企業全体の生産性や社員のモチベーションが下がり、さらなる離職者を出すリスクもあるでしょう。また「働きやすさ」を求めて就職・転職活動をする人は、離職率が高い企業を避ける傾向にあります。離職率の増加は優秀な人材の流出と優れた人材確保の両方に大きなダメージを与えてしまいます。

    離職率を改善する方法

    では離職率を改善するために企業はどのような対策を打てばよいでしょうか。労働者の職務満足に関する「ハーズバーグの2要因理論」では、Frederick Herzberg(フレデリック・ハーズバーグ)氏が労働者の職務満足を「動機づけ要因(働きがい)」、不満足を「衛生要因(働きやすさ)」に分けて考えました。

    動機付け要因(働きがい)とは

    理念やミッションについて何のためにやっているのか、仕事そのものに対する興味や成長意欲などが当てはまります。

    衛生要因(働きやすさ)とは

    健康的に安心して働けるかという「心理的安心」です。福利厚生や社内制度などが当てはまります。

    離職率には、働きがい(動機付け要因)・働きやすさ(衛生要因)の両方が影響を与えているといわれています。有給休暇取得の義務化は働きやすさ(衛生要因)にフォーカスしており、有給休暇の取得率を上げることで離職防止が期待できます。

    有給休暇取得に繋がる制度

    1カ月の連続有給休暇「浮世離れ休暇」| 株式会社トライバルメディアハウス

    マーケティング支援を行っているの株式会社トライバルメディアハウスは、勤続満5年を迎えた社員に対し、1カ月連続して有給休暇を付与する「浮世離れ休暇」を導入しています。普段できないような秘境の旅や資格・免許の取得などといった貴重な体験をし、心も身体もリフレッシュしてさらなる活躍につなげるための制度です。

    (参照:株式会社トライバルメディアハウス「働く環境(https://www.tribalmedia.co.jp/recruit/environment/)」『株式会社トライバルメディアハウス』、参照日:2024/05/04)

    健康促進休暇制度 | 株式会社アイ・ティ・エス

    株式会社アイ・ティ・エスの健康促進休暇制度は半年間病欠しなかった社員に対して、1日だけ好きな日に休みが取得できる制度です。健康を維持することは難しく、簡単そうでなかなか取得できないため社員のモチベーション向上につながる制度になっています。

    (参照:株式会社アイ・ティ・エス「面白い制度(https://www.its-smile.co.jp/recruit/system/)」『株式会社アイ・ティ・エス』、参照日:2024/05/04)

    以上、ユニークな休暇制度の事例を紹介しました。働きがいだけでなく、働きやすさや環境を重視して仕事を探す求職者が増えています。採用強化や従業員の満足度を向上させるため、他の会社と差別化を図るのもよいかもしれません。

    2019年4月から始まった有給休暇取得の義務化について

    2019年4月より施行された有給休暇取得の義務化は、具体的にどのようなものなのか要点をまとめました。

    目的と効果

    どんな目的があるのか?

    内閣府の統計によると2016年の有給休暇取得率は48.7%です。

    出典:「平成28年就労条件総合調査の概況」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/16/dl/gaikyou.pdf)(2024年5月11日に利用)(調査主体:厚生労働省、調査対象:日本標準産業分類(平成25年10月改定)に基づく16大産業に属する常用労働者が30 人以上の民営企業を対象とし、産業、企業規模別に一定の方法により抽出した企業を対象として4,520名に実施したアンケート調査、集計計測期間:2015年1月~2016年1月。)

    世界各国と比較しても日本の取得率は低い傾向だったので、政府は取得率向上のために有給休暇の義務化を打ち出しました。
    では具体的にどのように変わったのでしょうか。2015年2月に厚生労働省が公開した「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」の答申を見てみると以下のポイントが記されています。

    “3.年次有給休暇の取得促進
    使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、そのうちの5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。ただし、労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については時季の指定は要しないこととする。”出典:「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱の答申」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000075867.html)(2024年5月15日に利用)

    つまり会社は6カ月以上働いている社員に対して、本人の申し出と会社の指定にあわせて年に5日、有給休暇を取得させなければなりません。有給休暇を取得できなかった人からすると、年に5日休暇が増えるのは非常に嬉しいことでしょう。

    施行後の効果

    有給休暇の取得が義務化されてから取得率に変化はあったのでしょうか。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査の概況」によると、1年間に企業が付与した有給休暇日数の労働者1人平均は、17.6日です。このうち労働者が取得した日数は10.9日、有給休暇の取得率は62.1%となり1984年以降で過去最高の取得率になっています。

    有給休暇の取得が義務化された2019年の取得率は52.4%でした。施行後から取得率が向上したのは、有給休暇取得の義務化による効果が大きいといえるでしょう。

    出典:「令和5年就労条件総合調査の概況」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaikyou.pdf)(2024年5月5日に利用)、(調査主体:厚生労働省、調査対象:事業所母集団データベース(令和2年次フレーム)の企業(単独事業所及び本社・本店・本所の事業所)を母集団として、日本標準産業分類(平成 25 年 10 月改定)に基づく 16 大産業に該当する産業で常用労働者30人以上を雇用する民営企業のうちから、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した約6,400社を対象として3,768名に実施したアンケート調査、集計計測期間:2022年1月~2023年1月。)

    福利厚生を活用して有給休暇の取得をすすめよう!

    有給休暇は社員のワークライフバランスを支える貴重な制度です。しっかり休めてこそ仕事の時間が充実し、発揮される能力があると多くの企業が認識しているでしょう。

    有給休暇の日数が付与されただけの「絵に描いた餅」になってしまっては、社員だけでなく企業にとっても損をする要素がたくさんあります。有給休暇の取得が促進できるような福利厚生を整えたり、組織や管理職の積極的な働きかけをしたりすることが、有給休暇の取得率向上のカギとなっているようです。

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