オフィスで1日中座って仕事をしていると「腰が痛い」「肩こりがひどい」「疲れやすい」といった不調を感じるサラリーマンは多いのではないでしょうか?特に内勤の時間が多い方にはよく聞く症状だと思います。
北欧では既にポピュラーな働き方になっている「立って働く」スタイル。コロナ禍の在宅勤務で耳にすることも増えたこのスタンディングデスクについてご紹介します。

スタンディングデスクとは?
スタンディングデスクはその名の通り「立って使用する机」のことです。
一般的な日本企業ではデスクに「座って働く」のがポピュラーだと思います。これが北米、特にデンマークやスウェーデンでは、上下昇降可能な机が普及し、「立って働く」スタンディングデスクスタイルが浸透しています。この2国では近年、オフィスデスク総販売台数に占める上下昇降式デスクの割合が9割を超えるといったデータも出ています。
高い浸透率の背景として、例えばデンマークでは政府機関が国内のオフィスをチェックし、法に沿っていない企業にはペナルティを与えることを可能としていたり、スウェーデンでは、企業に対して、職場環境の定期的な改善が定められており、座るだけでなく「立って働く」ことが可能な設備導入を推奨しているといった理由があります。
日本での普及も進んでいる
北欧でスタンダードになっているスタンディングデスクは、日本でも徐々に普及し始めています。
先日オフィスツアーをさせて頂いた「印刷ならラクスル」のCMでおなじみのラクスル株式会社でもスタンディングデスクが導入されていました。エンジニアの人たちにとても好評とのことでした。
同社にはさらにスタンディングデスクならぬ、サイクリングデスクまでありました。従業員の健康、働きやすいオフィスを意識している同社はこの数年で大きく業績を伸ばされています。
座りっぱなしによる悪影響
スタンディングワークがポピュラーになった背景として、長時間デスクで座って仕事をすると死亡リスクが高くなるといういくつかの記事が発表されたことも影響しています。
有名なところでは、2013年TEDカンファレンスで、ビジネスライターのニロファー・マーチャントがデスクワークの知られざる危険性として、「座りすぎはかつての喫煙と同様に危険な行為」として、ウォーク&トーク・ミーティングを推奨するプレゼンテーションを行いました。
その他にも座りっぱなしが健康障害を招く可能性のある調査結果が出ており、企業経営者や管理部の方々にとっては割とホットな情報となっています。
AlpaPatel博士らによる研究結果(2010年発表)においても、1日6時間座って過ごす人は、座る時間が3時間未満の人に比べ、死亡リスクが女性で34%、男性で17%高いことがわかっています。
また、長時間座って、かつ運動をあまりしない人の場合は、座る時間が短い人に比べ女性で94%、男性で48%死亡リスクが高いそうです。座っている時間が長いほどエネルギーの総消費量が少なく、体重増加や肥満になりやすいことが原因として上げられています。
スタンディングデスク導入のメリット
とはいえ、普段座って働いている私たち日本人の感覚は「立ちっぱなしで働くのはしんどいのでは?」というのが正直なところ。「スタンディングワーク」の具体的なメリットをご紹介しましょう。
生産性向上・業務効率アップ
スタンディングデスクを利用することで、仕事中に立ったり座ったりすることができます。立ったり座ったりを繰り返すことで、血流が良くなり、眠気も覚め、集中力が増して仕事の生産性が上がると言われています。
実際に過去の実験では、座りっぱなしの作業、立ちっぱなしの作業に比べて、座ったり立ったりして作業を続けた人のほうが、作業パフォーマンスが上がるという結果が出ていたりします。
また、昨今注目が集まる「ABW(Activity-Based Working)」は、仕事内容に合わせて自由に場所を選ぶことができる働き方のことです。働く場所がオフィスだけに限られていないため、自分が働きやすいと思う環境で働くことができる柔軟なワークスタイルとして導入企業も増えています。
このように、立ったり座ったりと動きのある環境が、従業員一人一人の生産性を上げ、会社全体の業務効率の向上につながっていると考えられます。
社内コミュニケーションの改善
こちらも実際に導入している企業の話では、立って仕事をしていると、「声をかけやすくなる」という意見も多くあるようです。
立って仕事をしていると座っている時よりも目線が高くなり、歩いている人と目線が合いやすくなります。そのため、近くを通りがかった同僚や上司が、そのまま「ちょっといいですか……」といた感じで自然に話を始められることができるというのです。
チーム内の情報共有や簡単な打ち合わせもスタンディングデスクで行うことで、簡潔さを意識するようになり、ミーティング時間の短縮化や効率化に繋がるといいます。
スタンディングデスク導入のデメリット
メリットが多い一方で、スタンディングデスクにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。あらかじめ導入する前にチェックしておきましょう。
脚・足首が疲れやすい
長時間にわたるスタンディングデスクの使用は、脚全体や足首に負担をかけてしまいます。そもそも二足での直立姿勢が背骨に負担をかけるため、スタンディングデスクのみを使用するのは身体にとってあまり良い影響をもたらしません。
さらに、立ったまま同じ姿勢を取り続けることで脚がむくみやすくなってしまいます。
座りっぱなしと立ちっぱなし、どちらも身体には良くないため、同じ体勢のまま作業をしないことが重要だといえます。
専用チェアを利用して疲労を軽減
出典:スタンディングチェア(オフィス・人間工学・ガス圧高さ調整・ブラック) 150-SNCERG7BKの販売商品 | 通販ならサンワダイレクト
たとえば、スタンディングデスク導入の際にこのような専用チェアを同時に導入することで、座りっぱなし・立ちっぱなしを防ぐことができます。
立ち姿勢と座り姿勢を簡単にスイッチすることができ、また骨盤にも負担をかけにくい設計がされているため、長時間の使用も可能です。
スタンディングデスクの種類・選び方
では、実際に導入を検討する際に知っておきたい、スタンディングデスクの種類や自社に合ったスタンディングデスクの選び方をご紹介します。
高さ固定タイプ
このタイプは、スタンディングデスクとして使用できるように、既に固定された高さで使用します。
他のスタンディングデスクと比べて比較的安価ですが、固定された高さのため、自分に合ったサイズを探すのは難しいかもしれません。
手動式、ガス圧式スタンディングデスク
まずは試験的にスタンディングデスクを導入してみたい場合にオススメなのが、手動で高さを調節できるタイプです。
昇降の手間はかかりますが、電動式よりも低価格でスタンディングデスクを導入できます。低コストで気軽に導入できるため、本当に従業員に使ってもらえるか不安な場合に、試験的に導入することができます。
電動式スタンディングデスク
電動式は一気に値段が上がりますが、コントローラーの昇降ボタンで簡単に高さを調整できる優れものです。
力を使わずボタンひとつで昇降でき、レバーの位置などを覚える必要もないため、非常に楽に使うことができます。最近の電動式スタンディングデスクだと、スマホで上げ下げをしたり、好きな高さを記録しておいて、ワンタッチで高さを調整できたりするものもあります。
卓上タイプ
デスクタイプのものよりも導入ハードルが低いのが、卓上タイプです。
既にオフィスや家にあるデスクの上に設置して使用するため、新たなスペースを確保する必要性もありません。また、立ち作業から座り作業に変えたいときもテーブルをどかすだけ。この手軽さが、卓上タイプが持つ便利な特徴です。
デスクバイクタイプ
オフィスに導入されるほか、在宅勤務が増えたことで自宅でのフィットネスとしても導入されている、デスクバイクタイプ。
デスクで仕事をしながら運動ができてしまうため、運動不足の解消になるとともに気軽にフィットネスができます。運動をしながら仕事をすることで、眠気覚ましや脳の活性化にもつながりそうですね。
【種類別】おすすめスタンディングデスク5選!
ここでは、今後スタンディングデスクの導入を考えている方に向けて、種類別におすすめのスタンディングデスクを紹介します。
各商品の特徴や価格をチェックしながら、自社に最も合いそうなタイプをチェックしてみましょう。
手動高さ調節|Bauhutte 昇降式スタンディングデスク
出典:BHD-1200H | バウヒュッテ スタンディングデスク オフィスデスク通販 – Kagg.jp
手動で高さ調節ができるスタンディングデスクの中で、圧倒的な人気を誇るのが「Bauhutte 昇降式スタンディングデスク」です。
日本のゲーミング家具ブランドBauhutte(バウヒュッテ)が出しているスタンディングデスクで、価格は17,500円。他のスタンディングデスクと違い、机となる部分が2枚あるのが特徴です。
下の天板はスライドして出すことができるため、上にパソコン、下にキーボードを置くなどさまざまな使い方ができます。導入で迷ったときの1台目にすると良いでしょう。
価格:17,500円(税込)
電動高さ調節|Fenge 電動昇降デスク
出典:Fenge 電動昇降デスク|amazon.co.jp
こちらは、ボタンを押すだけでで高さ調節ができる「Fenge 電動昇降デスク」です。
このデスクの魅力は、なんといってもお手軽なところ。上下のボタンとともに1から4の番号のボタンがあり、好きな高さを記憶させるメモリー機能が付いています。
手動で昇降するのが面倒だったり、手を挟んだりするリスクもないため、どんな人にもマッチするスタンディングデスクといえます。
価格:26,999円(税込)
折り畳み可能|E-WIN スタンディングデスク
出典:E-WIN スタンディングデスク|amazon.co.jp
スタンディングデスクを必要な時にサッと出して使いたい……という方におすすめしたいのが、折り畳みができる「E-WIN スタンディングデスク」です。
こちらは折り畳みができるとともにキャスターも付いているため、立って作業がしたい時にも力を使わずすぐに出すことができます。足を延ばすだけの組み立ても、非常に簡単です。
比較的重さはありますが、組み立てから移動まで女性1人でも十分にすることができるのは嬉しいところとなっています。
価格:12,000円(税込)
卓上|Fenge リフティングテーブル
出典:Fenge リフティングテーブル|amazon.co.jp
こちらはテーブルの上に置いて高さを出すタイプの卓上デスクです。
立ち仕事をしたいけれどスタンディングデスクを置く十分なスペースはないという方にはピッタリの商品となっています。既にある机に置くだけで座りっぱなしや立ちっぱなしを防ぐことができるため、比較的導入ハードルは低いといえます。
また、オフィスではなく自宅で使う際には、床の上に置くだけでちょっとしたテーブルとしても使うことができるため、広い用途で便利に使える商品です。
価格:8,999円(税込)
デスクバイク|FlexiSpot デスクバイク V9
出典:FlexiSpot デスクバイク V9|amazon.co.jp
見た目からするとフィットネスマシンのように見えますが、仕事用デスクとしても十分に活躍してくれるのが、こちらの「FlexiSpot デスクバイク V9」です。
こちらのデスクは、自転車をこぐペダルがついており、座りながら下半身を鍛えることができる優れもの。運動となると億劫でやめてしまうという方も、仕事をしながらの運動のため自然に習慣づくのではないでしょうか。
コロナ禍から継続している在宅勤務で少し身体がなまってきたという場合にも、場所を問わずできる自宅フィットネスとして、活躍してくれること間違いなしです。
生産性がアップするワークスタイルを見つけよう
スタンディングデスクを活用することで、じっくり考えたり集中したい時は座って、リフレッシュしたい時や同僚との会話やアイデア交換を活発にしたい時は立つという具合に、仕事の内容によって効率の良い方で業務を行うことができます。また、立ち座りを切り替えることで精神的なストレスや心身の疲れが軽減されます。
楽天をはじめとしたトップ企業でもスタンディングデスクが活用されるなど、従業員が働きやすく、自由にワークスタイルを選択できる環境が整備されています。
スタンディングデスクをきっかけに、生産性や健康を意識したオフィス環境へとシフトしていくことを検討してみてはいかがでしょうか。現状の働きやすさを把握するために、以下のチェックシートを活用するのもおすすめです。
