男女雇用機会均等法

    男女雇用機会均等法とは?差別となる取り扱いや措置について解説

    男女雇用機会均等法では、雇用のさまざまなシーンにおいて性別を理由とした差別を禁止しています。差別につながるような規定や対応をなくすには、法律で定められた内容を確認することが重要です。

    採用時の条件や配置転換、さらにはセクシャル・ハラスメント防止措置や妊娠・出産後の女性労働者への対応など、企業がとるべき対応について解説します。

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    男女雇用機会均等法とは

    男女雇用機会均等法とは、職場における性別を理由とした差別を禁止し、男女の平等な扱いを定めた法律です。

    正式名称を「 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 」といい、採用・昇進といった雇用の各ステージにおける差別の禁止や、婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止等を定めています。

    男女雇用機会均等法の改正の流れ

    男女雇用機会均等法は、1979年に国際連合で採択された「女性差別撤廃条約」の批准に向け、国内法を整備するため1985年に制定、翌年86年より施行されました。それから2022年の現時点まで、4回の改正が行われています。

    ・1997年改正(1999年10月施行)

    1997年に改正された際は、当時、女性の時間外労働や深夜業について制限を定めていた労働基準法の女性保護規定が全面的に廃止されると共に、母性健康管理についての保護が強化されました。さらに、募集・採用・配置・昇進から定年・退職・解雇に至るまでのさまざまな雇用上の差別について、85年時点では事業主への「努力義務」にすぎなかったものが、97年の改正では「禁止規定」として強化されています。また、セクシャル・ハラスメントに対する事業主の配慮義務も定められました。

    ・2006年改正(2007年4月施行)

    1回目の改正からおよそ9年後の2006年改正では、これまでの「女性差別禁止」から、男女を問わない「性別」を理由とする差別の禁止に改められました。前回の改正で盛り込まれたセクシャル・ハラスメントについても、保護対象を男性にも広げ、かつ事業主の配慮義務を「措置義務」とすることで強化しています。

    さらに、雇用上の差別禁止事項について、配置における業務の配分・権限の付与、降格、職種・雇用形態の変更、退職勧奨、労働契約の更新が追加されました。また「間接差別の禁止」として、厚生労働省令で定める「募集・採用における身長・体重・体力要件」「募集・採用における転勤要件」「昇進における転勤経験要件」の3つが禁止されました。

    この改正での大きなポイントとして、「出産・育児による不利益扱い」が禁止されたこともあげられます。妊娠や出産等を理由とした解雇や降格といった扱いを禁止すると共に、妊娠中及び産後1年以内の解雇も無効とされました。

    ・2016年改正(2017年1月施行)

    この改正では、妊娠・出産等に関するハラスメント、いわゆるマタニティ・ハラスメントの防止措置義務が設置されました。これまであった妊娠・出産等を理由とする不利益扱いの禁止だけでなく、事業主に対して、これらのハラスメントが発生しないよう防止措置を講じることを義務としたのです。

    ・2020年6月以降

    2020年6月に、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行されました。これにともない、男女雇用機会均等法で規定するセクシャル・ハラスメント防止についても事業主の責任が強化されています。セクハラについて相談した労働者の不利益な取り扱いを禁止するなど、事業主の責務が明確化されています。

    男女雇用機会均等法で禁止されている差別

    では、男女雇用機会均等法で禁止されている差別について、具体例を用いながら以下にみていきましょう。

    雇用管理全般における性別を理由とした差別の禁止

    募集・採用にはじまり、配置や昇進、教育訓練、退職の推奨、定年、解雇、労働契約の更新など、雇用管理全般において性別を理由に差別をすることは禁じられています。

    たとえば、女性管理職が退職し新たに募集をかける際に「女性がしていた仕事だから、後任も女性に」と限定して採用する行為は、職域の固定化や性別で仕事を差別することにつながります。性別を基準とするのではなく、仕事内容や求める能力等を明確にして、募集・採用を行わなければいけません。

    ほかにも、さまざまな場面で性別を理由とする条件や待遇の違いは、法律に反する差別に当てはまります。

    募集・採用での差別の例

    ・「男性歓迎」「女性向きの職種」のような、対象を限定する表記を行うこと
    ・「保母」「営業マン」「看護婦」「スチュワーデス」のように男性又は女性を表す言葉を含む職種の名称を用いる
    ・女性のみ未婚者を対象など、男女で異なる採用条件を掲示する
    ・男性を先に選考し、男性の募集が終了したのちに女性の選考を行う

    参考:P9 男女雇用機会均等法のあらまし |厚生労働省

    配置・昇進・降格・教育訓練等の差別の例

    ・深夜時間帯のシフトには男性社員のみ配置させる
    ・既婚女性社員は新規プロジェクトメンバーには推薦・立候補ともに不可とする
    ・営業部の外勤はすべて男性社員であり、女性は自動的に内勤に配属される
    ・英語研修の参加対象が、マーケティング部の男性社員のみとなっている
    ・既婚もしくは子持ちの女性社員は、研修に参加するためには上司の推薦が必要となる
    ・社宅を利用できるのは男性社員のみ

    参考:P12 男女雇用機会均等法のあらまし |厚生労働省

    定年・解雇・労働契約の更新の差別の例

    ・男性と女性で定年の年齢が異なる
    ・リストラを行う際に既婚女性のみを対象とする
    ・女性社員のみ、子どもがいることを理由に雇止めをする

    参考:P18‐19  男女雇用機会均等法のあらまし |厚生労働省

    「深夜業の三交替制は、女性のみ希望制とする」というような職務配置も、男性は全員対象にしているにも関わらず、女性は異なるという点で男女雇用機会均等法に反する措置となります。

    雇用管理における措置で、個々の労働者の家庭状況や希望に配慮するのであれば、一方の性に対してのみ状況を考慮することのないよう、男女双方均等に対応しなければなりません。

    なお、福利厚生の差別の禁止については、厚生労働省令で以下の4つに範囲が限定されているため、「女性社員のみ制服貸与」といった待遇は法律に反する差別とはなりません。

    性別の差別が禁止される福利厚生の範囲

    ・生活資金、教育資金その他労働者の福祉の増進のために行われる資金の貸付け

    ・労働者の福祉の増進のために定期的に行われる金銭の給付

    ・労働者の資産形成のために行われる金銭の給付

    ・住宅の貸与

    参考:P11 男女雇用機会均等法のあらまし |厚生労働省

    間接差別の禁止

    間接差別とは、以下の要素がすべて当てはまるものをいいます。

    ・性別以外の事由を要件にする
    ・一方の性の構成員に他の性の構成員と比較して相当程度の不利益を与えるものを
    ・合理的理由なく講じること

    これを踏まえ厚生労働省令では、以下の3つの措置については、合理的な理由がない場合、間接差別になるとして禁止しています。

    労働者の募集又は採用に当たって、労働者の身長、体重又は体力を要件とすること

    募集の際、「身長・体重・体力要件を満たしている者のみを対象とする」ことは合理的要件として認められます。しかし、たとえば引っ越し業者など荷物運搬の業務に従事するにあたって、その業務を行うのに必要な筋力・体力以上を要件にすることは、合理的な理由があるとはみなされません。

     

    労働者の募集若しくは採用、昇進又は職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じるこ とができることを要件とすること

    転勤を有する職種や、全国広域に支店を持つ会社で、社員の募集をかける際に「転勤が可能であること」を条件に掲げることは珍しくありません。しかし、広域にわたり展開する支店・支社が存在せず、そのような事業展開もない場合等に、「転居を伴う転勤可」を要件に定めることは、合理的な理由とはみなされません。

     

    労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること

    一定の役職の昇進にあたって、転勤の経験がある者のみを対象とすることは間接差別にはなりません。しかし、当該業務を遂行する上で、転勤を伴う勤務経験が特に必要と認められないような場合は、合理的な理由があるとはみなされません。

    上記にあげた3つの厚生労働省令に該当しない場合でも、裁判において間接差別として違法と判断される可能性があります。

    妊娠・出産を理由とする不利益な扱いの禁止

    妊娠・出産を理由に、事業主の以下の行為を行うことは法律により禁止されています。

    ・女性労働者が婚姻・妊娠・出産した場合には退職する旨をあらかじめ定めること
    ・婚姻を理由に女性労働者を解雇すること
    ・妊娠や出産など、厚生労働省令で定められている9つの事由を理由に、女性労働者に対して不利益な扱いをすること

     

    妊娠・出産を理由とした不利益な扱いの例

    ・降格させる
    ・就業環境を害する
    ・自宅待機を命じる
    ・減給や賞与での不利益な算定
    ・人事考課で不利益な評価を行う

    参考:P29‐30 男女雇用機会均等法のあらまし |厚生労働省

    また、妊娠中もしくは出産から1年以内の解雇については、事業主が妊娠・出産を理由としていないことを証明しない限り、無効とされます。

    格差を積極的に解消するためのポジティブ・アクション

    ポジティブ・アクションとは、固定的な男女の役割分担の意識や過去の経緯から、男女の労働者に格差が生じている場合、その格差を解消しようと企業が自主的に行う積極的な取り組みのことをいいます。

    男女雇用機会均等法は第8条で「女性労働者についての措置に関する特例」を定めています。この特例により、男女間格差を解消する目的で、女性を有利に扱う措置については、性別を理由にした差別にはあたらないとされます。

     

    特例として認められる措置

    ・女性労働者が、男性より相当程度少ない役職で、募集又は採用に当たって情報の提供で女性に有利な取り扱いをする

    ・女性労働者が、男性より相当程度少ない職種で、新たに採用を行う際に、配置のための資格試験を女性のみに奨励する

    ・同じ雇用管理区分の男性の数と比較して、女性が相当程度少ない役職の昇進にあたって、昇進試験を女性労働者のみに奨励する

    ※「相当程度少ない」とは、女性労働者の割合が4割を下回っていることを指します。

    きらら

    また、国でも男女間格差の是正のため、ポジティブ・アクションの普及促進活動として、シンボルマーク「 きらら 」を設定。経営者団体と連携し「 女性の活躍推進協議会 」を開催しながら、女性の活躍のため企業事例の収集などさまざまな取り組みを行っています。

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    男女雇用機会均等法によるハラスメント防止措置義務

    採用や配置といった場面での性別を理由とした差別の禁止に加え、男女雇用機会均等法はマタニティ・ハラスメントやセクシャル・ハラスメントを禁止し、企業に防止措置を講じるよう義務付けています。

    企業は、具体的にどのような対策を講じなければいけないのか、以下にみていきましょう。

    職場でのセクシャル・ハラスメント防止措置義務

    男女雇用機会均等法では、雇用管理上必要な対策措置を事業主に義務付けています。さらに、セクシャル・ハラスメントを相談したことを理由に解雇や不利益な取り扱いをすることを禁じています。

    セクシャル・ハラスメントとは、性的な言動による嫌がらせを指します。セクシャル・ハラスメントを防止するには、何がセクシャル・ハラスメントになるのか、正しい知識を従業員・管理者共に持つことが必要です。そして、セクハラが発生した際、企業は事実を確認し、行為者・被害者に対してそれぞれ適切な措置を講じられるよう、体制を構築する必要があります。

    雇用管理上とるべき対策措置は、以下のものです。

    ・セクハラの内容およびあってはならない旨の方針を明確にし、研修や掲示、社内メール等でその旨を周知・啓発すること
    ・セクハラの行為者に対する厳正な対処について、方針と内容を定め、就業規則等に明記した上で社内に周知・啓発すること
    ・セクハラの相談窓口を設置すること
    ・相談担当者が適切に対応できるよう研修等を行うこと
    ・セクハラの相談を受けた場合は、事実関係を迅速かつ正確に確認すること
    ・セクハラの事実確認ができたあとは、行為者・被害者にそれぞれ適切な対応を迅速に行うこと
    ・再発防止に向けた措置を講じること
    ・相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知すること。
    ・相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

    さらに、上述の防止措置に加え、妊娠・出産等に関するマタニティ・ハラスメントでは、原因や背景となる要因を解消するための措置として、以下の2つがあげられています。

    ・業務体制整備など、労働者の実情に応じた必要な措置を講じること(例:妊娠した労働者への業務分担の見直し)
    ・妊娠や出産にかかる制度について、本人に周知・啓発を行うこと

    参考:P39‐43 男女雇用機会均等法のあらまし |厚生労働省

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    妊娠中・出産後の健康管理に関する措置

    男女雇用機会均等法は、妊娠中や出産後の女性労働者の健康管理のために、事業主に対して、妊産婦検診のための通院時間の確保について定めています。また、妊娠中または産後1年以内の女性労働者が何らかの指導を医師から受けた場合、その指導事項を守れるよう勤務時間の軽減といった措置を講じることが義務付けられています。

     

    保健指導・健康診査の定期受診のための時間確保

    ・妊娠23週まで:4週間に1回
    ・妊娠24週から35週まで:2週間に1回
    ・妊娠36週から出産まで:1週間に1回
    ・産後(出産後1年以内)は、医師等の指示により必要な時間を確保できるようにすること

    医師から指導を受けた場合、事業主が講じるべき措置

    ・妊娠中の通勤緩和(時差出勤、勤務時間の短縮、交通手段・通勤経路の変更 等)
    ・妊娠中の休憩に関する措置(休憩時間の延長、回数の増加、休憩時間帯の変更 等)
    ・妊娠中または出産後の症状等に対応する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業 等)

    参考:P44‐46 男女雇用機会均等法のあらまし |厚生労働省

    法律に違反した企業への対応

    法律に定める差別の禁止事項に反する事実がある場合、その事実の有無を確認するため、厚生労働大臣は事業主に報告を求めることができます。法に反する行為がある場合、もしくは厚生労働大臣の報告の求めに応じなかった場合や、虚偽の報告を行った場合には、20万円以下の罰金が課せられます。

    差別措置を是正する勧告に従わない企業は、企業名公表の対象となります。

    参考:P58 男女雇用機会均等法のあらまし |厚生労働省

    性別を理由とした差別撤廃のため男女雇用機会均等法を正しく理解しよう

    さまざまなシーンで、性別を理由とした差別は法律により禁止されています。

    差別を行わないためには、何が禁止されている差別事項に該当するのか、正しく理解した上で、自社の採用や配属、昇給・昇格などに携わることが重要です。法律で定められている事柄や事業主の義務を確認し、業務に活かしましょう。

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